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「正しさ」「頭で考える」からの解放~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業【2019年オープニング】 ~

2018年度にはじまった、新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業「おえかきシンキング」
2019年度の授業もはじまりました!
今年の「おえかきシンキング」授業で学んでゆくのは、「『常識を超えて新しいものを生み出す』ための、これまでの枠にとらわれない、新しいことを創造する考え方」。
手を、体を、たくさん動かしながら学びを深めていきます。

↑今年の授業内容の大きな方向性となった、プロジェクト型総合学習『落六DASH』のテーマ「常識を超えて新しいものを生みだす」。
これは落六DASH戦略会議にて、6年生を中心に、生徒が自ら考えたミッションです。現在の社会でも、たくさんの大人が葛藤しながら挑戦しているテーマですね!

「常識を超えて新しいものを生みだす」ってどういうこと?

今年の授業も、オープニングは体育館で実施!授業前に、体育館に大きくコンセプトのグラフィックを準備し、生徒たちをお迎えしました。

これから何がはじまるんだろう?生徒達もどきどきです。

まずは、私たちグラグリッドのメンバー全員で、「常識を超えて新しいものを生みだす」ことがなぜ今の社会で求められているのかを、演じて表現しました。

舞台となっているのは、とある会社の商品開発会議。
「もっと機能を増やそう」「ターゲットを細分化しよう」「安くしよう」と様々なアイデアがでてきます。経営者の一声で、アイデアが実現することに。
しかし、生み出した商品は売れません。


常識の延長線上で生み出された商品が世の中にあふれ、コモディティ化し、「売れない」ことに悩む大人たち。
「どうしたらいいんだー」経営者、現場の悲痛な叫びが体育館に響きます。
そこへ、グラグリッド名古屋が登場。

名古屋:「よかったら、一緒に絵を描きながら考えてみませんか?」
経営者:「なんだなんだ!絵を描くの?」
名古屋:「絵を描くことって、実は「常識を超えて新しいものを生み出す」大きな力になるんですよ!」
経営者:「どういうことでしょう?新しいものを考えるのなんて、頭で考えればわかるじゃないですか。」
名古屋:「常識を超えるには、頭で考えるだけじゃだめなんです!体をつかって、自分だけの発見を大事にするのが大事なんですよ!早速、アイデアをだす挑戦をやってみましょう!」

こうして描くことで実際にアイデアをうみだしてゆくこと、まさに社会でも様々なプロジェクトにて実施されていることを、演じながら伝えていきました。

そして、これまでの枠に囚われない、新しいことを創造する考え方を紹介していきました。
実はこうした考え方をまずはじめるのに、最適なのが「ノート」なんです!

6年生のノートを見てみよう!

落合第六小学校の6年生は、昨年度の授業をうけて、どんどんノートが自由になっていったそう!早速生徒たちのノートを紹介してもらいました。

これらのノートは同じ授業をきいて描いたものです。
でも、生徒たちは決して黒板を写すだけにはとどまらず。自分で見出した意味、ストーリー、世界観を解釈しながら、自由に絵や文字を用い、表現していました。

この解釈、そして表現の自由さこそが、常識をこえた新しいものを生み出すことにつながるのです。

自分なりのノートで「解釈して表現する」をやってみよう

6年生のノートを見て、4年生も、5年生も、そして6年生もワクワクがとまりません!
早速自分なりのノートで「解釈して表現する」に挑戦です!

最初のお題は、落六小の校歌!
「どういうことだろう?」最初は悩みながらも、生徒たちの手が徐々に動き始めていきます。

描かれていくのは、多様な文字、そして絵。
生徒たちは、ふだん歌っている校歌の意味を手を動かしながら考え、解釈し、捉えなおしていきました。

校長先生のプレゼンテーションをきいて、自分なりのノートで「解釈して表現する」!

つづいては、この授業の一番の山場!
校長先生のプレゼンテーションをきいて、自分なりのノートで「解釈して表現する」ことに挑戦です。

校長先生のプレゼンテーションは「以心伝心を考える~言葉にしなくてもあなたの思いは通じるか~」というもの。
決して「わかりやすい」内容ではありません。生徒たちは前のめりになったり、ペンをもったり、前方へ集中したり、首を傾げたり。それぞれの体勢で話をうけとめてゆきます。

校長先生の話しが終わって、空気がほどけると。
一気に手が動き始めました。
生徒それぞれが静かに受けとめたものが、体育館中の紙という紙にあふれだしていくようでした。

プロのビジュアルファシリテーター(名古屋、和波)も生徒に負けじとどんどん手をうごかして。

そうしてできあがった絵を、クラスの班の中でシェアしていきました。

心の声をきいて、ふりかえり

最後に、「おえかきシンキング」授業恒例の、ふりかえりの時間です。
1分間、目を閉じて、心の声をじっくりきいて、ふりかえっていきます。

静かに目を開いて、心の声を描きだします。

最後に、描いたものを持って記念撮影!
今年はじめての「おえかきシンキング」授業が終わりました。

先生方と一緒にふりかえり

授業終了後は、先生方と一緒にふりかえりの時間です。
生徒たちが描いたものを見ながら、自分が感じたこと、生徒たちにおきたことを、立場を超えて共有しあい、解釈していきました。


生徒たちが解放されたこと、解放されなかったこと

こうしたふりかえりを通じて、私たちは生徒たちが「解放されたこと」「解放されなかったこと」があることに気が付きました。

①生徒が解放されたこと
・「頭で考えること」からの解放
・「正しさ」からの解放

②生徒が解放されなかったこと
・「表現の自由さ」からの解放

①生徒が解放されたこと:「頭で考えること」「正しさ」からの解放
生徒たちは表現しながら(=手を動かしながら)解釈することで、考えを深め、発見をしていきました。
その発見の過程と、結果の多様さに対して、生徒達が気づいて、楽しさを感じていている発話や態度が多くみられました。

②生徒が解放されなかったこと:「表現の自由さ」からの解放
他方で、「シンプル」「見やすく」「わかりやすく」「うまく描く」に意識がいってしまった部分も見受けられました。
集合知を生み出すための多様な解釈を生み出す「表現の自由さ」が、固定的になってしまう傾向にあったのです。

「自由な表現」の持つ意味

スケッチノートをはじめとするグラフィックレコーディングについては、「きれいに」「見やすく」という側面がどうしても注目されてしまいがちです。

しかし、「常識を超えて新しいものを生みだす」際には、そうした「きれいに」「見やすく」に囚われてしまうことが、実は大きな障害ともなってしまうのです。「表現」が固定したものに囚われて不自由な状態だと、「解釈」の幅が知らない間に狭くなってしまうのです。
今、社会の中で大人が「多様な解釈」を生み出すのに苦しんでいるのも、この表現の不自由さが要因としてあるのではないでしょうか。

「表現」が自由であることが認められると、「解釈」の幅が広がる。
解釈が多様になると、その多様さの中から、新たな意味を見出すことができる。

この授業を通して、私たちは改めて、表現の自由さをもっともっと広げていくために、2つの大事なことに気づくことができました。
・生徒たちの「表現」の自由さ、多様さへ光を当てること。
・「上手く描かなくていいよ」ではなく「手を動かしてみよう」で!

「常識を超えて新しいものを生み出す」ために、生徒達のみならず、大人にとっても大事ですね。
次の授業では、こうした「表現の自由さ」と、そこから生まれる「多様な解釈」について、もっともっと手を動かしながら学んでいきます!
どうぞお楽しみに!

ファシリテーター:和田あずみ(株式会社グラグリッド)
サブファシリテーター:尾形慎哉・小野奈津美(株式会社グラグリッド)、中村佳奈子
グラフィックレコーディング:名古屋友紀(株式会社グラグリッド)、和波里翠
ワークショップレコーディングフォト:逢坂憲吾

(和田)

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