「メタ視点」と「メタファー表現」で、場を揺さぶるグラフィックレコーディング

こんにちは!BRUSHのビジュアルファシリテーターの和波です。

※ BRUSHは、グラグリッド三澤、名古屋、小野、和田、パートナー和波の5名で結成しているビジュアルファシリテーションチームです。

今日は、私がさまざまな場でグラフィックレコーディングを実践してきた中で感じた「メタ視点による場への影響」と、「メタな表現を取り入れて場を揺さぶる試み」についてご紹介します。

メタ視点による場への影響

私はグラフィッカー(ビジュアルファシリテーターなど対話を可視化する人の呼称)としてワークショップや会議など対話の場で多くの声を可視化してますが、そう言った「場」にグラフィッカーが入ること自体がメタな視点の導入なのではないかと考えています。議事録のイラスト版であれば描く人は誰でもいいかもしれないですし、AIで絵を持ってきたりと人間が行わなくても良いのかもしれませんが、グラフィッカーは場を独自の目で見つめ切り取ることで、新たな認知を場の参加者一人一人に呼びかけられると思います。

ここで「円錐」という図形を想像してみてほしいのですが、この図形は真俯瞰や真下から見ると○に見えますが横から見たら△で、斜めから見て円錐だとわかる図形です。この円錐のように、同じモノやコトを見ているつもりでもその人の視点によって全然違うように見えるということは対話の場では多くあります。

これだけだと第三者視点の導入しましょう、という話なのですが、グラフィッカーが入るとこの三者のやりとりを切り取った視点(ちょうどこの挿絵を見ている視点)が入ります。「みんな△とか○とか言ってますが、そもそもこれ、形の問題ではなく数の問題では?」とか「みんな△とか○とか言ってますが、そもそもこれ、コンテクスト切り離して話していいんでしたっけ?」と言ったように、その議論と違うレイヤーから問いかけることができるのです。

場に対して「そもそも今考えること自体が良いのか?」「そもそも何のために来たんだっけ?」といったメタな視点を導入するために、グラフィッカーは大きな力になると思います。グラフィッカーはその議論の世界線の外側にいるからこその問いかけができ、そしてその問いかけをパワフルに可視化する力があるのです。

議論を描くことや描いたものを使って体験を振り返ることで参加者の方はより多様な視点で議論に臨めたり、無意識下のモヤモヤに気付けたり、その後のアクションに臨める。これは場の価値につながると感じています。

メタファー表現を取り入れて場を揺さぶる試み

今度は表現としてメタファーをグラフィックに取り入れるとどんな変化があるのか2つの事例と共にご紹介します。

事例1つ目は、【会議を変えるイベント】『書いて使う 会議を変えるノート』出版記念イベント - "書いて使える"を体感!ワークショップ付のイベントで描いたパネルトークのグラフィックレコードです。その中で出版のきっかけ話がされました。「本当は出版という形ではなくセミナーというアウトプットになるはずだったが、サービスデザインに課題を持つ人に対して議論可視化メリットをどう伝え広げていくかとなった時にノート出版という形になった。ノートにすることで読んで学び描いて体感ができ、それを次の世代に繋げられるのではないか」と、著者である三澤さんが語りました。

そのエピソードを「ヒマワリ」を使った絵で表現をしてみました。出版のきっかけとなったセミナー話が種となり土の中から出てきてやがて本という花を咲かす。この本を読んだ人は学びと体感により茎を伸ばし成長し花が咲き、今度は学びを周りに伝えてあげようとノートをその学びの種としてまわりに飛ばしていく、という意味を込めました。振り返りの時にこの絵を見て会場から「腹落ちした」だったり面白さと共に納得感や共感を持ってもらい場に返す価値を生めました。

事例2つ目は、Code for Japan Summit 2014イベントのアンカンファレンスで「理想とする電子政府」について行政の方やエンジニアさんやデザイナーさんなど色々な立場の方々でグループになり、アンカンファレンスで議論した時のグラフィックレコードです。

議論を進める上で、電子政府で実現したい体験についてはたくさん事例が出てくるのですが、いまいち「それ」が何だかピンときてなくて話がふわっとしてしまいました。そこで、私は「それ」を「コンシェルジュ」に例えて描いてみたところ「それだそれ!」と場が盛り上がりました。別の次元での視点を取り入れ、電子政府の話でありながらコンシェルジェといった具象でありながら抽象なイメージを描いたことで議論がブーストしたのです。

まとめ

『頭では理解できているが、腑に落ちていないことを突破する鍵』という言葉はビジュアル・ミーティング 予想外のアイデアと成果を生む「チーム会議」術の著者であるデビッド・シベットさんの言葉ですが、(この書籍についてはこちらの記事もおすすめです)

この言葉のようにメタファー表現が場に与える効果は、「ピンとこないんだよね・・頭では理解してるんだけど・・・」と言う人の思考レイヤーに刺激を与え、突破する鍵になれる可能性がある点です。違う世界線から場を診てグラフィックとして場におとしこむことで、その可視化がブースターとなることもあるのです。

言葉で表せないものを描くことで、そこから言葉が生まれることもある。見方によっては物語も正義も如何様にでも変わるからこそ、対話の場においてメタな視点も表現も必要だと思います。向き不向きな場はありますが、正しいとか間違ってるというマルバツ式で捉えて描くのではなく、対話で繋げて新しい価値を生み出すためにこれからも描いていきたいと思います。

※ 今回のお話は個人的に取るスケッチノートではなく、特に場で描いて共有する「グラフィックレコーディング」「ファシリテーショングラフィック」などの手法を使ったビジュアルファシリテーションを行う場を想定しています。

(BRUSH 和波 )

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