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未来へ向けて「1人1本の自由」が生み出すパワー!~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業~

「もっともっと、紙がほしい!もっと描きたい!」「こっちにも、紙!!」
「新しい生物が生まれたよ!」「この星と、この星はこうつながる!」
「隕石が落ちてきたこと危機を伝えあうための言語が生まれた!」

体育館には歓声が響きわたり、気づけば描かれた紙で床がいっぱいに埋まっていました。

新宿区立落合第六小学校で実施した、絵を通じて「考える力」「まとめる力」「促す力」を育む、参加体験型授業「おえかきシンキング」第一回目。
私達は、体育館中に溢れた子供たちの生みだす圧倒的なパワーを目の当たりにして、驚嘆を感じずにはいられませんでした。

この記事では、そんな「お絵かきシンキング」授業、第一回目の様子を、全体ファシリテーターを担当した和田の視点からレポートします。

「未来へ進む力」へ向かって進む、お絵かきシンキング授業~第一回目『楽しむ』~

授業前に、スタッフ全員で、体育館いっぱいにロッケンロール紙をしきつめて、コンセプトのグラフィックを準備し、生徒たちをお迎えしました。

総合学習「落六DASH」の縦割り班ごとに、ロール紙の前に整列!

おえかきシンキング授業のはじまりです!
生徒たちは何がはじまるのかはわからなくとも、ペンを早速持って、紙の前でわくわくうずうずした様子。

手をうごかしはじめる前に、少しだけ授業の説明を。
「この授業は『未来を進む力』を学んでいきます!」
未来を進む力のタペストリー、入場!

「そのために、『うながす力』『まとめる力』『考える力』を育んでいきます!」
3つの力のタペストリーもあわせて入場します。

続いては、第一回授業「楽しむ」にあたっての、今日の挑戦の発表です。
「見たことのないものを創っちゃおう!」

上手とか下手とか、正しいとか正しくないとかをはるかに超えて。
今ない未来を考えていくために、とてもこれは大事な挑戦だと私たちは考えています。

見たことないもの、私達も創っちゃった!

ペンの持ち方からはじめよう!

チェックイン後、早速授業スタート!
大人と同じで、「人とコミュニケーションをとるために描く」土台となる、ペンの持ち方からはじめます。

持ち方を試しながら、最初の一歩、縦線をひいていきます!
縦線になれたら、横線、いろんな線、文字。どんどん描いていきます。

どんどん、どんどん、手がうごきはじめ、体もめいっぱい動き始めます。
「〇と△と□、線を使えば、人の顔や様々なものがつくれるよ!」
生徒たちはどんどん試していきます!

気づけば、線から、どんどん新しい生き物がうまれたり!
線を力いっぱい描き続ける子も!

走り始めた生徒たちの圧倒的な創造力は、大人の予想をはるかに超えてゆく!

この時点で、体育館中にしきつめたロール紙は、はやくも様々な線や絵でうめつくされました。
「紙がたりませーーーーーん!」
「紙がもっとほしいですー!」
予想をはるかに超えるスピードに、私達は驚きを隠せませんでした。

生徒たちの勢いは、もうとめられません!新しい紙をもらった生徒は、体育館をものすごいスピードで走り、グループへ持ち帰ります。

縦割り班の6年生が中心となって、低学年に指示をだし、グループの紙を広げていきます。
新しい紙に、今度はカラーペンも加わり、さらにダイナミックに、カラフルに絵が広がっていきました。ファシリテーターの私の説明なんて、はるかに超えた世界が、そこにはありました。

体育館中のいたるところで、生まれる、はじまりの線。混沌は止められず、体育館いっぱいに広がっていきます!

おえかきマラソン!

混沌の中で、ここでちょっとしたゲームを!
〇△□、線だけで、10秒以内にコミュニケーションで伝わる絵を描く「おえかきマラソン」です。

かまえて、せーの!「時計!」「学校!」「チーム!」

お絵かきマラソンは、簡単なものだけではありません。
「最後の問題です!最後は…宇宙人のケーキ!」
「えー!!!」「何それ~!!」
生徒たちに、戸惑いとわくわくが、一気に広がります。

お絵かきマラソンが終わった後は、他の人との鑑賞会!

「こんな描き方があるんだね!」
違いをみるたびに、発見や、笑い、新しい会話がうまれていきます。

感じた違い、難しかったところ、気づいたことをどんどんシェアしていきました。1年生と2年生はここまで!

新しい星を作ろう!そこの住人も描こう!ロッケンロール紙チャレンジ!

そして3年生から6年生は、ワークショップ最大の挑戦「ロッケンロール紙チャレンジ」へ。縦割り班の班ごとに、真っ白なロッケンロール紙に、新しい星と住人を生みだしていきます。
与えられた時間は、たったの10分間。さあ、新しい紙=新しい星を埋め尽くすことはできるのでしょうか?!

よーい、ドン!

最初は、一人一人が小さく描き始めながら、お互いの様子を探っているように見えます。
だんだん絵と絵がつながって、何かが生まれていきます。

そこで大変な事態が!
「大変だー!隕石が落ちてきたぞー!」

隕石は、体育館で生まれ始めた新しい星の、様々なものを壊していきます。

隕石マン登場!新しい星を貫いていきます!

隕石がすでにあったものを壊す班もあれば、隕石から星を守るために新しい言語や道具をうみだした班もあり、ストーリーが無限に生まれていきます。生みだしたストーリーを展開するべく、新しい星=ロール紙を縦横無尽に、生徒たちが走り回り、描き続けます。

気づけば、新しい紙=新しい星は、ものの10分で、生物の誕生と進化、破壊、再構築が無数に折り重なった絵で埋め尽くされていました。

「何を楽しみましたか?」

さて、最後のワークのふりかえりです。その前に紙を変えていきます。もう、6年生は手慣れたもの。どんどん自分から紙を変えていきます!

今日のプロセスを、縦割り班のメンバーとともに味わう時間です。
高学年が中心となって、下級生の話したことも書き留めていきます。

大きな場に、自由に描けること。

チームでいちから、星をつくること。隕石が落ちてきたことも楽しかった!
星「守ってくれてありがとう!」

形で絵が描けること、コミュニケーションがとれること。

10秒の時間制限でのお絵かきマラソン!
紙質を味わえること(!!!!)
みんなで協力して星をつくること。

最後はみんなで、描いた星と一緒に記念撮影をしました!

おつかれさま!授業が終わったあと、自然と私達と生徒たちで、ハイタッチがはじまりました!

描いたもの以上の見えない何かを、私達は生徒たち一人一人と分かち合っていました。


計り知れない、子供の力~一人一本の自由~

授業が終わった後、私達は、校長先生や先生方、見学にきてくださった方と口々に「子供の力って、大人では計り知れないですね…」と話していました。
また、子供たちが生みだしたものに圧倒されて、その解釈はこの授業の時間内では全く追い付かない状態でもありました。

これからのために少しでも共有しあいたくて、授業後に、校長室で、それぞれが感じたことを語り合いました。

「ひとつの星」といっていたけど、区切り線をいれる人もいた、というような発見のシェア。

気持ちときかれても、「?」となる状況。

街や文化、言語が新しい世界に生まれていったこと。
分断された世界から、一枚の世界に進化していったこと。
アナーキーにならないか心配はしていたけど、いい意味で固定観念が壊れていくシーンが多々あったこと。

それぞれが、体育館で無数に生まれたシーンを見て、感じたことや、理解できなかったことも出し合います。また、私達の描くことに対しての思い、見学者の方の感じた思いも、自然とあふれていきました。

授業が終わってから、まる2時間。
この授業で生まれたこと、その生まれたものの持つ意味を、グラフィックを囲んでゆっくり話していきました。

特にトピックとして熱く語られていたと、私が感じたのが「1人1本の自由」でした。

落合第六小学校では、ファシリテーショングラフィックを導入していますが、そこで描く役割の人はグループの中で1名~2名程度だったそう。
「全員が1人1本、ペンを持って、大きな紙に描くということ自体がそもそも初めてだった」
「こんな自由な体験を、子供たちが味わえたのは今までなかった」
そう、校長先生がおっしゃっていました。

ペンは、一人一人が気持ちや感覚と向き合い、自分を表現することを促してくれる魔法の杖。
大きなロッケンロール紙は、その表現をうけとめて、他の人と交わる場。

この場の中で、表現がうまれ、異なる他者と交わり、壊れ、また新たに再構築されていきました。

私達大人が体育館で圧倒されたもの。
それは、混沌の中から秩序が生まれ、壊れて混沌に戻り、秩序が新たに生まれていくというダイナミズムでした。そして何より、楽しみの中で今ない何かを見つめて、子供たちが混沌と秩序の繰り返しの中で、自ら生み出し関わり合うパワーなのだと思いました。

落合第六小学校での試みは、まだまだ続きます!
第二回授業は「空想する」。
さてさて、どんなことがおきるのでしょうか?私達もとても楽しみです。


写真撮影:逢坂憲吾

(和田)

▼準備の様子はこちら




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