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自分の心の声、他者の声をきいて受けとめうあう~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業【第三回】 ~

グラグリッドと、新宿区立落合第六小学校で行っている参加型体験授業「おえかきシンキング」。
第二回の授業「空想する」では、身近なものからヒントを得て、未知の世界(新しい社会システムをつくる)を考え出す方法を学んでゆきました。その中で「質問する人の存在が、想像の飛躍の大きなきっかけになる」という示唆が得られました。

第三回目の授業は「きく」。「きく」は、未来をつくるための想像の飛躍を支える、大事な土台の力の一つだと私たちはとらえています。自分という世界を飛び出して、未知で異質な他の人の世界に飛び込むということが、「きく」ということ。
大人にとっても難しいことですが、だからこそ、小学校にてチャレンジをすることに決めました。

輪になって、体をほぐそう!

授業の最初は、みんなで円になって、体をつかって遊びます。
普段の授業とうってかわって、机のないフラットな空間で、思い思いに体を動かす生徒たち!

体がほぐれたところで、さっそく「きく」ワークがスタートします。
まずは、自分の心の声をきくことから。テーマは「(前日まで行っていた)展覧会、どんなことがあった?どんなことを感じた?」。
目をつむって、心の中にある自分だけのストーリーを、きいていきます。



「私は、あなたの話を深くききたい」の証、リスニングペンダント

自分の心の声をきいた後は、二人組で相手の話をきくワークに入りますが、その前に!
「きく」ための、大事なルールを共有します。

【リスニングペンダントのルール】
①リスニングペンダントは「私は、あなたの話を深くききたい」の証
②聴く人:
リスニングペンダントをつけている間は言葉を発さない。相手が話していることから、理由・本当の意味を考える
③話す人:
リスニングペンダントをつけた人がうけとめてくれると信じて、話す
④リスニングペンダントを受け渡す時に、話す人は「私の話をきいてね」とペンダントを聴く人に渡す。聴く人は「あなたの話をききます」と受け取る。

リスニングペンダントの受け渡しの練習をした後、ペアで相手の話をきくワークに入ります!
話す人は、ペンダントを聴く人に渡して、「展覧会、どんなことがあった?どんなことを感じた?」という自分のストーリーを語っていきます。
聴く人は、相手の話をうけとめて、聴き終わったのちに「こういう風に感じたよ」を返します。

普段の会話とまったく違う、ペンダントを使った会話のルール。「相手が話している間は、話しちゃいけないの?反応しちゃいけないの?」と戸惑う生徒、違和感から体がこわばる生徒も見受けられました。

そんな違和感の一つ一つも、ファシリテーターと先生が、一緒になって受けとめていきます。実際にペンダントを受け取ったときの「きき方」を演じてみせたり、「ちょっとやってみよう!」と背中をおしてみたり。
「こういう風にきけばいいのか!」と、だんだん生徒たちも感覚をつかんでいきます!

相手の話を、的を絞って「きく」

次は、相手の話を的を絞って「きく」挑戦です!
4-5人のグループに分かれて、自分の展覧会でのストーリーを「話す人」を決めた後、ペンダントの色に応じた「きく」役割を決めていきます。

話し手のストーリーを、ペンダントをつけた一人一人が役割ごとにきいて受けとめて、「こう感じたよ!」と感じたことを伝えていきます。
最初は緊張していた話し手の生徒達。でも、聴き手の生徒にきいてもらい、「自分はこう感じたよ!」と受けとめた証の言葉を返してもらった瞬間、ふっと表情が変わる瞬間がありました。

ほっとしたような、うれしそうな、てれくさいような、誇らしいような…様々な表情を私たちは見ることができました。


相手の話を、クラス全体で「きく」!

最後のワークでは、クラスの生徒全員、1人1色ずつペンダントをつけて、それぞれの「きく」役割を持ちます。
話し手は、クラスの先生!先生の展覧会でのストーリー「先生にとって、5年生、6年生と過ごした最後の展覧会、どうだった?」をきいていきます。

先生の話をきいた後は、同じペンダントの色同士で集まって、「自分はこう受けとった!」を共有していきました。

さまざまな「きく」をチャレンジした生徒たち。
最後に、自分の心の声をもう一度ききました。
目をつむって、「深くきいてみてどうだった?」を問いかけます。

静かに自分の心の声をきいた後は、紙に心の声を描いて、授業は終了です!


自分の心の声をきくこと、描くことで、生まれるパワー

「きく」のワークを通じて、とても印象深かったのは、生徒たちが一人一本ペンを持った瞬間でした。生徒たちの意欲が目に見えて上がったのです。

ワークの随所で、ききとったことを形にするために、私たちは紙とペンを渡していました。その中でも特に、「一人一人に紙とペンを渡す」「描く」を行ったときに、生徒たちが水を得た魚のようにいきいきして、どんどん思考や意見を自由に出すことができたのです。
一人一本ペンをもって、紙に描くということは、「あなたの心の声をきいて、伝えていいんだよ」という、存在そのものを認めるということなのだと、改めて感じました。

また、特に深くきく体制が見られたグループのふりかえりの場では、「自分の声をきく」という時間の大事さを感じた生徒の声が多くみられました。

深くきくことができた生徒ほど、自分の心の声を「きく」ことを大事だと気づいていたのです。

普段の生活や学びの中で、自分の心の声をきく、ということは実は見逃されがちです。
心の声は、小さな小さな声かもしれません。でも、その声をきいて大事にできてこそ、他人をうけとめ、つながるきっかけになるのです。

(和田)



▼新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業の記事はこちら

【第一回:「楽しむ」】
未来へ向けて「1人1本の自由」が生み出すパワー!
「楽しむ」を超越し、「解放」しあった子供たち

【第二回:「空想する」】
身近なものからヒントを得て、新しい意味を創りだす!

【第三回:「きく」】
自分の心の声、他者の声をきいて受けとめうあう

【第四回:「まとめる」】

それぞれが活きる未来を「まとめる」

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