妄想と別れ

手のひらにアフリカ大陸を乗せてブーメランみたいに投げてみた。海に突き刺さった。深い海には聖なる遺体が眠り、ヒーリングミュージックが流れている、と妄想してみる。地球を操る存在が、僕らを試している。こんな怪しい思想が脳内を支配している。

情けないぜ。遊覧船には夢を乗せ、ボトルには愛を詰めて海に流す。さすらいのギター弾きは港町を転々としては恋を落としていく。そのかわりに街の匂いを拾う。刺を掻き分けながら歩くのだ。寂しい未来が待つとわかってても。


音楽を求めては。
俺に名前は要らんな。
さすらう覚悟で。


ここ最近は仕事をしまくっている。なぜか役職が変わり、俺は少し偉くなった。一体どこのどいつが俺を評価しているのか。俺は研修とか試験とか受けてもいないし、ゴマもすってない。ただ上司のそばで両手をへそのあたりでモミモミして満面の笑みを浮かべているだけだ。
とにかくいいことない。仕事が増えた。周りがよそよそしくなった。うるせ。俺は俺一人でよい。周りがどう思ってるとかしらん。俺はしがない一サラリーマンであると同時にロックンローラーなのだ。ロックのことで頭は支配されてるのだ。俺の正体はKINKSのYou Really Got MeとかNIRVANAのBleedとかが仕事中に脳内で流れているヘビーロックジャンキーなのだ。


自分自身と向き合って解決してきた。できないままのこともあった。みんな長いものに巻かれてるフリをしている。ベランダで入道雲追いかけてそのまま落っこちてもしゃーないか。たくさんの難しい言葉を知ってても、相手に伝わらなければ意味がない。逆に簡単な言葉でも自分の思いが伝わればそれでいいと思う。ギターも同じ。





今日も真面目な君とふざけた僕はゆく。
目眩で歪んだ道路は真っ二つ。
それでも歩く。
二人三脚でほふく前進してでも。

国境の駅に着く。
君は自分の分だけ切符を買う。
そしてあろうことに回送列車に飛び乗った。
そんなことって、あるのだろうか?
冷たい夢から醒めたみたいだな。
クウェートの映画みたいだな。
国境を越えたらどんな未来が待っているか、君は知ってたんだな。

取り残されたあとの30秒間を僕は。
取り残されたあとの30秒間を僕は。

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