スピッツの思い出

スピッツの1stアルバムの世界に住みたいなあ。見た目可愛いけど毒牙を持つ小動物たちの群れ。笑顔で隕石の衝突を伝えるニュースキャスター。山の上のばかでかい煙突は虹色の煙を吐き続ける。そんな世界観。どんなやねん。


スピッツの存在を知ったのは少5の時で、確か1996年で、きっかけですが、当時、特別授業かなんかで、学校に1人の男性ミュージシャンが講演に来られました。その方は盲目の方でした。交通事故が原因だと話していました。名前は覚えていません。多分当時30代ぐらいで、アコギを抱えていました。正直講演の内容はうろ覚えで、目が見えない人の生活の不便さや心境なんかを話されたと思います。このような講演は年に1、2回あったから、感想文書くのめんどくさいなー、退屈に大人しく聞いておこう、と当時の僕は思っていました。その内、講演の最後になり、

「では僕の好きな曲を1曲歌いましょう」と言いました。「最近売れてるやつだよ」と。そして歌い始めた曲は、「チェリー」でした。僕はあまりの素晴らしさに感動しました。衝撃。歌い方はあまりにもパワフルで太い声で、だけど優しくて。お世辞にもうまいな、とは思いませんでした。だけど歌ってこんなに思いが伝わるんだ、と思いました。まあ、本家スピッツとは全然違います。でも僕にとって初めて聴いた「チェリー」はその歌手の歌でした。

次の日、僕は先生に昨日のミュージシャンの連絡先を教えてほしい、と言いました。僕は初めてファンレターを書きました。しばらくしてからその方から返事が帰ってきて、これまたなんて書いてあったか覚えてないんですが、、笑、一緒にカセットテープが同封されていました。カセットテープの中身はその方が歌う「チェリー」でした。僕はその「チェリー」だけが入ったカセットをしばらくの間ずーーっと聴いていました。

そんな僕を見ていた姉が、ある日、スピッツの「ハチミツ」というアルバムのカセットテープを僕にくれました。友人にダビングしてもらったそうです。それから僕は「ハチミツ」をずーーっと聴いていました。晴れの日も。雨が降って野球の練習が中止になった夕方。勉強している姉の横で。スラムダンク読みながら。僕はスピッツのことがとても大好きになりました。

あの時のカセットテープや手紙はどこかにいっちゃったけど、小学生の僕らの為に歌ってくれた「チェリー」を、僕は忘れられないでしょう。僕が未だに音楽が好きなのも、あの体験があったからでしょう。

終わり。

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