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職場女子飲み記録 〜〈配慮に見せかけた排除〉について〜

7月10日(水)

 
仕事帰り、職場の同世代女子AちゃんとPと三人で、豚肉料理のおいしいイタリアンに行ってきた。

 私の勤務先は社員も取引先も顧客も女性比率が極端に低いので、部署はばらばらでも女性陣には何となくの連帯感がある。かと言って普段からべったりとつるんだりすることはなく、数ヶ月に一回飲みに行ったり、ランチのタイミングが合えば愚痴を吐き出しあったりするくらいの関係で、私はその緩やかなつながりをとても気に入っている。

 ラーメンと唐揚げをこよなく愛する職場のおじさんたちと飲むときには絶対使わない瀟洒なレストランで、ゴルゴンゾーラとクルミのドレッシングのサラダ、生ハムとサラミの盛り合わせ、うずらのフォアグラソース、豚肉のステーキ等の心ときめくメニューを次々口に運んでいく。

 私が、今度の夏休みはベトナムに行きたくて今色々とツアーを探していると言ったら、Aちゃんも一週間違いでハノイ旅行をするつもりであることが発覚し、Pもこないだの春にホーチミンに行ってきたと言うのでびっくりしてしまった。アラサー女子のベトナム人気!!!

 酒が進み、仕事の愚痴や人間関係の悩みについてあれこれ語り合っていたとき。うちの職場には、女性社員に対する〈配慮に見せかけた排除〉があるよねえ、という話になった。ベテランの女性がメインで担当して問題なく進んでいる仕事に、門外漢の男性が「サポート」という名目でしゃしゃり出てきたり、男性上司と二人で行く海外出張に私が立候補したら、「男女が二人きりで宿泊を伴う出張をするのはちょっとまずいんじゃない?」と勝手に立候補を取り下げられそうになったり。同じ給料をもらって同じ仕事をこなしているのに、「女性だから無理だよね!!」と勝手に機会を奪われて、「男社会で女性が働くのは大変だよね!!!」と他人事のような同情を寄せられて仕事の主戦場から排除される。オフィスでは大声で下ネタを言ったりパンツ一丁になって作業着に着替えているおっさんが普通にいるし、女性社員が子供の発熱で休めば聞こえるように文句言うおっさんもいるし、配慮してほしいところは何の配慮もないのに。なんてことを、赤ワインを飲みながらぶわーっと話す。

 
「これっておかしいよね」って言い合える場があるのは、たぶんすごく大事なことだ。男社会で女が働いていると、理不尽なことだらけで腹はたつしストレスがたまる。だけどそれが「おかしい」ってことに気づけなかったら、逃げることも戦うこともできずに、身動き取れないまま無防備に傷つけられ続けることになる。自分を傷つけるような価値観を内面化しないと生き延びられなくなってしまう。

 数は少なくても、滅多に会話を交わさなくても、「これっておかしいよね、むかつくよね、変えていきたいよね」って時々言い合える仲間がちゃんと会社にいてくれることに、私はとても支えられているなあと思うのだ。

#日記

 

 

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