「また金がかかる」

7月27日(日)

ベッドごと引きずられるみたいな揺れで目覚めた。深夜三時過ぎ。地震、と理解するまでに少しかかった。眠ったままの頭でツイッターを見て震源地が三重県沖であるらしいことを確認し、「津波の心配はありません」の文言に出会う。開けっ放しの窓の向こう側で雨がざあざあ降っていて、たくさん雨が降っているから火事にはならないな、と謎に安心し、また眠りについた。

朝起きると首を一周取り囲むように赤い湿疹ができていた。汗のたまる鎖骨や肘の内側、ブラジャーがあたる肩や脇の下にも少し。まぶたも腫れてぴりぴりする。急に暑くなったから仕方がない。昔から、季節の変わり目など気候の急な変化についていけなくて、身体の一番表面がわかりやすく不調を訴えてくる。ホットヨガやサウナを始めて、花粉症や呼吸器系の症状はかなり楽になったが、突発的な肌荒れに関してはなかなかよくならない。ゴールデンウィーク明けも同じ症状で病院に駆け込んだので、そのときの余りの薬を応急処置的にべたべた塗る。この様子だと飲み薬も処方してもらったほうがいい。これ以上悪化すると自分がしんどい。明日皮膚科に行こう。また金がかかる。

「また金がかかる」

最近、何をするにもお金のことばかり考えている。ピルを飲んでも改善しない不正出血にはうんざりするけれど、何度検査しても悪いところはない、ストレスでしょう、規則正しい生活を、と言われるばかりだから検査の費用を払うのもばかばかしいと思ってしまう。っていうかもうピルの費用も払いたくない。半年分買いためるとばかにならない。中出しエッチがしたいわけでもなければ生理痛が我慢できないほど重いわけでもなく、ただ排卵異常から来る生理不順の改善のために飲んでるのに月の半分以上不正出血しているなら払う意味ない。

ピルへの不満が飲み方の適当さに表れている。テトリスかよ。これでも毎日ちゃんと飲んでる。

医者には、不正出血は副作用の一種だから、と言われるが、飲む前から不正出血していたのに飲み始めても同じように不正出血してるんだったらまじで何のための薬なんだよと思う。鎮痛剤の副作用が頭痛だったらおかしいだろうが。鼻血が止まらないとか吐血が止まらないとかだったら重病なのに、月一で股から血出るだけでうんざりなのに、それが大病でもないのに延々続くとか勘弁してほしい。大病だったらそれはそれで金がかかって困るけど。

婦人科とピルへの不満になってしまった。お金の話に戻る。お金というか金の話。マンションを買った友達に資金繰りやローンについて根ほり葉ほり尋ねてしまったりする。化粧品や服やら大量に買いながら、飲みにいく度に「お金がない」という私にTが辟易しているのもわかっている。住んでいる部屋の契約更新、整体の前払い、ボーナスはあっという間にマイナスになる。

植本一子『台風一過』に、お金のことを過剰に気にしてしまう人は愛情に飢えている、みたいな言葉があって、やっぱりそうなんだ、と思った。読書会でもその部分に共感した、と発言したのだけれど、わかる、という人がけっこういて安心したのだった。

しかし、どんなに散財が続いて預金残高が乏しくても、友人との交際費や旅行の費用、服やコスメや美容院代などは別にケチりたい気持ちにならないことに気づいた(そしてまた残高を減らしていく)。「また金がかかる」と思ってしまうのは整体含めた医療費、家賃光熱費日用品などの生活費、そしてTと会うのにかかる費用だ。あと税金。私が惜しいのは「ハレ」と「ケ」でいったら「ケ」の方にまわす金らしい。健康な身体や精神的充足、生活基盤などの安定した「ケ」があってこその「ハレ」だとわかってはいる。だけど、ただ生きるだけで必要経費がかさむ。たくさんの金を払わないとなんでもない日常を維持できないことにうんざりしている。身体はもう老化の一途をたどっていくのに精神的には幼いままなのかもしれない。自分のお小遣いなのに、自由に使えないのがいやだよう! みたいな。

今日も「某仕事」でお台場へ。二日連続ヴィーナスフォート。頭痛がひどいのでスタバに入ってホットコーヒーを飲み、チョコのスコーンをもそもそ食べた。前に皮膚科で、肌の調子が悪いときは辛いものや脂っこいもの、カフェインや酒は避けた方がいいと言われたのを今更思い出す。そう考えると日々、肌に悪いものばかり摂取しているな。昨日食べた担々麺は美味しかったから後悔していない。

仕事を終えて、乗換駅の池袋で、カフェで本を読むか一杯ひっかけるかルミネで服を見るか考える。しかし財布に千円札一枚しか入っていないことを思いだし、おとなしく最寄り駅まで帰る。ドラッグストアでG退治に必要なものを手に入れたら財布の中には数十円しか残らなかった。Gとの共存を選ばない限り、これも生きるための必要経費だ。

日付が変わる頃にやっと川上未映子『夏物語』を読了。

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