ディープテック・スタートアップ支援は約10倍に拡大。助成金採択における審査のポイントとは?【投資先企業向け勉強会レポート】
グローバル・ブレイン(GB)でPR・イベント周りを担当している新坂上です。先日、投資先のディープテック・スタートアップにお集まりいただき、研究開発や実証の支援策・補助金の活用方法に関する勉強会を開催しました。
現在、国はスタートアップ育成5か年計画を策定しており、日本にスタートアップを生み育てるためのエコシステム醸成に注力しています。第二次創業ブームを実現するために、スタートアップ向けの支援策が大幅に拡大され、特にディープテック領域においては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が中心となって研究開発や実証支援が拡充されている状況です。
一方、補助金の種類が増えつつある中で、どういったものが補助の対象になるのか、どのように進めれば審査が通りやすいのかといったご相談もよくいただきます。これらの疑問を解消すべく、NEDOイノベーション推進部の伊吹氏を講師にお迎えし、従来プログラムと比較して約10倍の予算額に拡大したという、2023年度より始まった「ディープテック・スタートアップ支援事業」を中心にご説明いただきましたので、その際のレポートをお送りします。
NEDOのディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)とは
NEDOではシードからアーリーステージのディープテック・スタートアップを対象に、研究開発を補助金で支援する制度を行っており、以下の3つの応募フェーズを用意されています。
どのタイミングからでも応募することが可能ですが、補助金の使用用途は研究開発費用に限定されており、1/3相当額をVCなどから自己調達することを条件に、2/3相当額をNEDOから補助を受けることができます。全フェーズを通して最大30億円、最長6年間の期間が用意されています。
公募スケジュールとしては毎年4回程度設けられており、2024年4月から募集が開始される第4回については、GX(脱炭素)分野におけるディープテック・スタートアップ支援関連の事業も新たに公募実施予定とのことです(※本記事掲載時点で公募開始済み、URLは下記の通り)。
第1回では114件のうち23件、第2回では69件のうち17件、第3回では69件のうち15件が採択されており、これまでに計55件の採択実績があります。
同事業は、早期に研究開発を進め、スタートアップのJカーブ曲線を加速させることを趣旨として行われています。これらの助成金は出資ではなく、返済義務がない一方で、目的がかなり厳密に定められている資金です。
重要視されている審査ポイントとは
審査のポイントは「事業性評価」「技術評価」「事業目的への適合性」の3軸で、それぞれを細分化した項目で審査が行われているとのこと。
事業性評価
顧客のペインがしっかり把握されているか
顧客のペインに対して提供予定のソリューションが明確で、達成妥協性があるのか など
技術性評価
新規性や優位性、顕著な競争力が期待できる技術か
技術上または知財権上で、ビジネス上の参入障壁をしっかりと構築ができているか など
事業目的への適合性
事業性や技術性の評価をふまえつつ、ユニコーンとしての成長可能性があり、このタイミングで国費を投じる妥当性があるか
審査はこれらの総合評価によって行われるため、どこか特定の要素に偏らないよう、全般的に網羅して申請することがポイントの1つになると、伊吹氏は語りました。
投資先の政策活用サポートや政策動向の調査を行う支援も
本勉強会を企画した河原木は、経済産業省を経てGBに参画。前職ではスタートアップ支援や中小企業の海外展開支援などに従事していました。
現在はGovernment Relationsチームにて、政府への規制改革の働きかけを通じたスタートアップの成長支援や、国の支援策を活用したい場合の活用サポート、スタートアップエコシステム構築に必要な政策提言など、幅広く活動しています。本勉強会に参加いただいた投資先スタートアップ各社に対しても適宜支援を行っていく予定です。
スタートアップ同士が学ぶ場、GBが積極開催
質疑応答の時間では、「書類の書き方で工夫すべき点」や「採択・不採択の違いと最近の傾向」、「補助金の対象範囲」など具体的な質問が活発に飛び交い、予定していた時間を大幅に超えるほど、参加者の関心の高さがうかがえる会となりました。
今後もGBでは、投資先のスタートアップを支援するさまざまな取り組みを行ってまいります。投資先企業限定となりますが、ご関心のある方は奮ってご参加ください。