ネイティブ英語ではなく明瞭性、理解性を目指す
英語学習者、とりわけ日本における英語学習の方向性がネイティブ英語を目指している点については、以前の投稿で幾度か疑問を呈してきた。
外国語教育の専門的な知見からすると、母語話者の発音を目指す母語発音原則(nativenss princeple)と、いわゆる外国語独特の訛りを容認したうえで、「通じやすい」発音を目指す明瞭性原則(intelligibility principle)のアプローチがある。
発音の枠を超えて、語彙使用や文法も含めた上で、母語話者が聞いてどれだけ理解できるかを示す理解性(comprehensibility)を用いるアプローチも提案されている。
発音面だけに注目してみると、英語の明瞭性を決定づける要因については議論が分かれていて、それぞれの音を発音するときの正確度が重要なのか、それともアクセントやリズムといったプロソディーにより左右されるのか、今のところ学問的には決着がついていないようだ。
しかし、明瞭性・理解性を保つ上では、アクセントと子音の発音の影響度が強く、母音の発音については「訛り」として誤差の範囲内として理解されるので、さほど影響力はないと位置づけられている。
文献
山根繁(2015)、日本人学習者の目指す明瞭性(intelligilibility)の高い英語の発音とは、関西大学外国語学部紀要 13, p. 129-141
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