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「資格試験の時間的価値の意味について」の考察

1.まえがき
・私は、今年3月にグロービス経営大学院を無事に卒業し、経営学修士(MBA)となりましたが、そこから自分自身で次に挑戦する資格はないかと考え、同期入学の同級生と社会保険労務士(以下、社労士)の試験にチャレンジすることを決めました。
・ただ、その時は、社労士試験が年1回だけのペーパー試験で、その合格率が6%程度と超難関試験であること以外、殆どこの試験のことを知らず、基本的には社労士の社会における役目、特に弱い個人労働者を守るという理念に共感して試験を受けることとしました。
・しかしながら、今年8月に初めて社労士試験を埼玉県下の会場で受験し、その大まかな合格ラインの7割を超えることができずに不合格(確実)ですので、正式な結果の発表は今月29日ですが、今、社労士試験を受けようとしている人、またそもそも私と同じように弱い個人の労働者を守る仕事をしたいと考える人のために、この経験をNoteに書くことを決めました。
・以上のことから、MBA取得以来後2回目のNote投稿として、この経験を自分なりに論点整理した上で、投稿をしたいと思います。
・なお、本論に入る前に、その試験会場での出来事で、これから資格試験に臨む方は肝に銘じていただきたいことが1点ありますので、そのことだけ書いて本論に入らせていただきます。
 それは、当日の試験会場で、たまたま私と同じ部屋の会場での出来事でした。
 このコロナで、会場が分散をされており、私は比較的大きな会場で、会場内には100名弱程居ましたが、やはり数名は最初から棄権をされている方がちらほら居て、受験料安くないので、もったいないけど、コロナのリスクで参加しなかった人も居るのだろうと思いました。
 その中で試験が始まる10分ぐらい前になって、一人のまだ年齢的には若そうな男性の方が、気分が悪いのでトイレに行かせて欲しいと手を挙げられて、退席されましたが、そのまま試験会場には戻られませんでした。
 つまり、どんなに一生懸命勉強して、受験をすれば確実合格できただろうという人であっても、その日のその時間に受験できなければ資格を得ることはできません。私が一番感じたのは、私も半年間で1,000時間以上勉強して社労士試験に臨みましたので、そのことが一旦は無に帰すことになることから、その棄権をした本人が一番悔しいだろうと思いました。
 以上のことから、その日への体調管理は絶対に怠らないようにすることを肝に銘じて試験勉強に取組んでくださいということだけ最初に申し上げます!
 
2.前結論
(1)そもそも、なぜその資格が自分に今、必要なのか?
〇ずばり、結論から入りますが、社労士のような難関試験を受けるためには半年やそれこそ数年の学習期間が必要ですから、その間のモチベーションの維持がとても重要になります。
①そこで、まず受験に当たり意識すべきことは、経営やビジネスモデル構築と同じように、自分のmission、vision、valueをしっかり定義しておく必要があります。
②その上で、その試験の外部・内部環境分析をして、次の点を踏まえていただきたいと思います。
・最初は、大まかにで構いませんが、科目等から学ぶべき全体の範囲、ボリュームはどれぐらいあるのかの把握
・その学習のために、全体として時間(例えば1,000時間とか)から、自分が1日で使うべき時間数(例えば、5時間とか)を考え、受験までの期間を逆算して求める必要
・そして、特に重要なのが、テキスト選び、その会社選びで、勿論、通学でリアルに学校に通うのが一番受験勉強には効果的だと思いますが、費用やそもそも金銭の時間的価値からすると、オンラインよりかなり投資の額が高くつきますので、多くの方がこのコロナで進化したオンラインでの受験方法を選択すると考えて話を進めます
③私はMBAでの同級生が、フォーサイトという会社の教材で受験勉強をするということを聞きましたので、同じテキストであればお互いにその後の勉強会もスムーズにできると考えフォーサイトの教材で学習を進めましたが、現実的には勉強会の開催は難しく、殆どフォーサイトの教材のスキームに則って半年間勉強を進めて、3月から受験勉強を始めて、8月の約半年間で試験本番を迎えたところです。
〇私が、失敗をしたと感じた一番の肝の部分は、この社労士試験の全体範囲の把握、分析をやらずに、フォーサイトのテキストだけに沿って受験勉強を進めた点です。
 まず、最初にどこの会社のスキームが自分に合っているのか、さらに言えば長期間のモチベーションを保つことができるのかを綿密に事前調査・分析を行った上で、会社を決めるべきだったと、大いに反省をしているところです。(くれぐれも、フォーサイトのテキストのできが悪いという意味ではありませんので)
(2)資格試験に当たっての、自分のmission、vision、valueの定義について
〇これがないと、とても半年間以上続く長い受験勉強を効率的に、生産性を上げながら合格まで続くロードマップは描けません。
・社労士試験は、最難関と言われる資格試験の司法書士よりはましですが、本当に超難関試験ですから、試験範囲も広いですし、内容も判断理由が分からないところを記憶だけひとまず乗り越えても、午前中の選択式は記憶だけも合格ラインに届くと思いますが、午後のメインの五肢択一問題はとても歯が立ちません。
・ですから、自分に合った会社選び、テキスト選ぶのは重要なんですが、その前提として自分のmission、vision、valueの定義をしておかないと、勉強が困難な状況に陥った時、とてもそれを継続することができません。
〇ここで、皆さんが社労士試験を受験するに当たって、mission、vision、valueをこうするべきだ、と私から申し上げるつもりもなく、そもそもこのようなものは自らが腹落ちして作るものなので、もし本当に社労士試験を受験しようと考えている方は、purposeと共にこれを、自分が腹落ちするまで明確に決めてください。

3.理由
(1)なぜ、自分のmission、vision、valueの定義が必要なのか?
 〇すでに書いてはいますが、MBAでも人材マネジメント(以下、HRM)や組織行動学(以下、OBH)が重要。特に良く「組織は人である!」と多くの経営者が言われ、昔の旧財閥でも「人の三井、組織の三菱」と言われ、私も公務員になる前は三菱系の企業に勤めていましたので、その「組織の三菱」と言われる会社でも、その本当の意味は人を育てるということですから、入社から約半年間は研修で、全国の支店や関係会社等での講義等を受けて実際の勤務に就いたぐらいです。(40年以上前の話なので、今はやっていないとは思いますが・・・)
 〇ですから、就職の際の会社選びにおいても、その企業のリーダーやマネジメント層は当然ですが、一般の社員、それこそ新入社員であっても、今の時代は明確なキャリアプランを持つべきであり、そのために会社のmission、vision、valueが、自分のmission、vision、valueと合っているのか?が会社選びの一番の重要ポイントだと、私は考えています。
 〇逆に言えば、特に今のベンチャーから成長した一流企業の人事が「戦略人事」と言って、リファラル採用を重視したり、最初に人のエシカルの部分を最重視するのは、現代のリスクを考えれば、根本的に人の倫理観は教育では変わりようがないので、それが欠落した人はどんなに仕事ができても採用しないというのが、このような企業の人事の考え方になります。
〇つまり、例え社労士試験に合格し、社労士になっても、顧客である人、企業から選ばれないとその仕事はありませんし、何のため苦労して社労士になったか?ということになりかねませんので、確かに合格しなければ資格試験への挑戦の意味はないのですが、モチベーションを維持しながら長期間の勉強期間を乗り越えるためにも、選ばれる人、社労士であることが必要なのです。
(2)それを明確にした上で、何をするべきか?
 〇これもすでに触れていますが、受けようとする資格試験の全体の範囲、自分にとってのその内容のレベル、そして何より1日何時間勉強し、トータルでどれぐらいの勉強時間を要するのかを把握しておくのが重要です。
 〇初めに私は半年間、1,000時間以上の時間を費やしたと言いましたが、時間は命であり、もう二度と帰ってきません。たとえ時間は金なりとしても、1,000時間×2,000円としても、2百万円の価値を社労士試験のために投じたことになりますので、たとえテキスト代が0円であっても、かなりの額を投資したことになりますので、私の場合、フォーサイトのテキスト代等が約10万円程度かかりましたが、そんなのは全体の投資価値のほんの一部でしか過ぎないことになるからです。
 〇ですから、もし時間が100時間しか取れない、500時間しか絶対に無理、という人は最初から社労士試験は受けないことが賢明か、もし500時間で合格しようとするなら、自宅や職場近くの有名なリアルの学校に通われることをお勧めします。
  また、今の自分が100時間しか取れないなら、資格試験で狙える資格は自ずと決まるでしょうから、私も簿記3級はその位の勉強時間で取りましたので、必要のないものまで取れというつもりはありませんが、今後の自分にとって必要な資格にまずは挑戦された方が賢明だと思います。(その簿記試験については、後述します)

4.他事例
(1)自分に必要な資格は何か?
 〇私は、もうすぐ農林水産省を辞職して、自らの力で現場の農林水産業の課題を解決するために起業します。
  ですから、この判断基準としては、起業するために必要な資格は何か?また、起業するまで時間はもう3ヶ月程しかありませんので、その間に取れる資格として、簿記3級に挑戦し、次に簿記2級に挑戦をしたいと考えています。
 〇なぜ簿記2級かと言えば、理由は以下の3つ
①3級での基礎知識があること。
②勉強時間が300時間ほどしか使えないこと。
③ユーチューブ動画(ふくしままさゆき氏)での2級の内容が面白いこと。
  ⇒特に、③が重要で、これがないと独学でのモチベーションの維持が難しく、300時間で受かることは困難だと考えているからです。また、社労士試験でも感じましたが、ただ記憶するだけでは、文章を複雑化した応用問題には対応できません。
   このような問題に対応するためには、なぜそうなるのか?それは法令のどの様な考え方でそのように解釈するのか?と言った、根本的な法制度やシステムの理解が必要だと思いましたが、そのことをふくしままさゆき氏も言われています。
〇勿論、これからの自分に必要な資格は、人ごとに違うでしょうから、私が簿記を取った方が良いですと申し上げるつもりはないですが、もし同じように起業するような方で100時間程度しか、今、勉強時間が作れない方は、勉強癖を付けるためにも、簿記3級に挑戦されることはお勧めします。
(2)勉強癖を付ける意味は?
〇一言で言えば、勉強が苦にならない、モチベーションを維持できる能力を身に付けるためです。
 幸い、私は、約4年間大学院で学び、その間は月に10冊程度の経営の本を読み、同様の数のケースを読み、毎回の授業で事前にアサイメントを作って授業に臨みましたので、勉強癖は今でも維持しています。
 正直、これがない人が私のように平日5時間や、休みの日に10時間以上など勉強するのは非常に困難だと思いますので、難関試験で勉強時間を要する試験程、この勉強癖のレベルが高いことがマストとなると(笑)
〇本当は、自分が持っている他の資格試験のことも書きたいのですが、取得した時点がもう30年前とかなりますので、そんな資格試験のこと書いても、今からその資格試験受ける方の参考にもならないと思いますので割愛します。(なお、珍しいものでは「危険物甲種取扱者」の資格を持っています。)

5.結論
(1)自分にとっての金銭の時間的価値として意味のある資格試験とは?
 〇前結論や理由で、最初にその資格試験における、自分のmission、vision、valueの定義の必要性を書きましたが、そもそもそれがないと、何のためにその資格試験を目指すのか?が曖昧なことから、勉強が困難な状況になった時にモチベーションを保つことができません。
 〇モチベーションが保てなければ、勉強に1,000時間を超える様な時間を要する難関試験への勉強を長期間続けることは困難で、社労士試験も数年にわたって何度も受ける方が多いと思いますので、更にたくさんの方がこれより多い時間数を費やしていると考えられます。
 〇そのことを考えれば、先に具体的に1,000時間で200万円という投資費用を算出しましたが、その投資費用に見合うだけのNPVがある必要があり、ファイナンスのDCF法で逆に考えれば、その投資費用は時間の経過と共に更に価値を増すことと考えるべきだと思います。
〇勿論、今の若者が良く判断基準とするコスパが良い悪いだけで資格試験を決めるのは間違っていると私は思いますが、それでも金銭の時間的価値を考えずに難関試験に挑戦するのは旧日本陸軍の竹槍戦法と同じだと思います。
 コスパへ意見の反対に腹落ち出来ない方は、こちらの本をお読みください。
Amazon.co.jp: なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか eBook : 田坂 広志: 本
(2)はっきり言って、受験は「戦略」です!
 〇戦略は軍事用語ですから、無駄死にしないためには、自分に合った勉強法を見つけることが重要で、受験のための会社、またそこのテキストが自分と合っている必要がありますから、社労士試験であればそもそもオンラインでは本当の意味での内容を理解できない、対面での先生との議論を好むという人は、リアルに受験のための学校に通うべきであり、例えその費用が半年で100万円だったとしても、その時間的価値を考えれば、合格するならかなり割に合う投資ではないかと、私は考えます。
 〇このことからも、オンラインを選択する方が、全ての会社のお試しテキスト取り寄せて、オンラインでの授業を含めてそれを比較検討するのはかなり時間要するので、やってもいいとは思いますが、自分と日頃の学習レベルが同じような方、またその会社のテキストで合格したような方の複数名に聞いて、数社に絞った上で自分でもオンラインでのお試しをやってみるのが一番失敗しない方法だと思います。
 〇そして、モチベーションを保ち、そして学習レベルを着実に上げるためには独学より、仲間と一緒に切磋琢磨するのが一番です!
  もし、それができるのであれば、是非そうして自分の学習レベルを上げて金銭の時間的価値を無駄にしないように、全力で仲間と共に資格試験に取組んでもらいたいと思います。
(3)最後に、フィジカルも保つこと!
 〇これまで、モチベーションを中心にメンタル、そして勉強法というテクニック、スキル中心に述べてきましたが、よく言われる「心・技・体」、そして「健康な魂は健康な肉体に宿る」ですから、受験に臨む日頃の運動、健康な体作りは絶対に必要です。
 〇冒頭のまえがきで書いたように、当日、そこで体調不良で受験ができないようになれば、これまでの苦労が水の泡です。そうならないためにも、日頃からの健康には十分留意して、難関試験のために日々の生活習慣も調整してもらいたいと思います。
 〇なお、1回受験を失敗したからと言って、それで今まで勉強したことが全て無に帰すとか、もう二度と受けられないということはありませんので、そこで得たナレッジは必ず他でも生きるものですから、私も含めてになりますが、特に若い人には起業もそうですが、難関試験の失敗は新たなチャンスの到来だと考えていただきたいという応援メッセージを述べさせていただきます。
〇最後に問いを立てますが、「その資格試験の向こうに、あなたの北極星はしっかり見えていますか?」という問いでいったん終わります。

6.あとがき
 私も、今回、初めて社労士試験を受験しましたが、その範囲の広さ、膨大さ、問題の困難さに、独学ではとても合格するのは難しいだろうと感じ、モチベーションを保つのに大変苦労しました。
 ですから、皆さんには独学での社労士試験はお勧めしませんし、可能な方はリアルに信頼がおける受験のための学校に通われることをお勧めいたします。
 なお、その際はやはり金銭の時間的価値をしっかり考えて、定量的にファイナンス理論から、本当に今の自分に必要な資格なのか?の見極めをして、戦略構築、そして合格へのロードマップを描いてから、難関資格に挑戦し合格してください!

―以上―

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