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失われた視力を求めて

2023年4月24日。3年弱かけているお気に入りのArumamikaメガネのフレームが外れてしまった。フレームが外れるというのはどういうことか。

どう説明するか思考中

このメガネは外側の丸いフレームのなかに、多角形のフレームが入っており、その多角形のフレームのなかにレンズが入っている。丸なのか、角なのかどっちつかずなところが好きである。ぱっと見はその構造すら分からない、気づいてくれた人にはもれなく褒めている。ハンター試験場前のあの人みたいだ。

値段はそこそこしたのだが、数年前にツイッターか何かで発見し一目惚れして購入した。ちょうど出ていたカラーがめちゃくちゃ好みでタイミングもよかった。人生は劇的に変わることはなかったが、「そのメガネいいですね」「気づいちゃいましたか。さすがですね。」とやり取りする人生にはなった。
そして「毎日身に着けるものだから高いものを」という購買意識を奮い立たせる教訓にもなった。

参考:別モデルだけど大体同じ形。かっこいい。

もはや俺の臓器であるメガネ。目が飛び出た状態で購入したお店に写真をメールする。するとお店で修理できるとすぐ返信が来た。感謝。

そのお店は、浦和にあるポンメガネさんである。往復1時間かかるがすぐいった。移動時間は昨日買った「電車のなかで本を読む」をひたすら読んだ。島田さんの書く文章は、自分に語りかけてくるようで、読んでいるというより、話を聞いているやさしさがある。ただただその声に耳を傾けた。電車の中で友人と話す機会がめっきり減っていたので、なんだか懐かしさもある。

一冊の本との出会いというのは、たとえるなら、ひとりの人との出会いであって「世の中にはこんな人がいるんだ」とか、「最初はとっつきづらいかと思ったけれど、ほんとうは、こんなに魅力的なんだ」とかそういう人間の多様さと同じ類いのものです。

電車のなかで本を読む/島田潤一郎

浦和駅を降りて、しばらく道をまっすぐいく。購入した時以来なので、ああこういう道だったとか、あの時はものすごい暑い日だったな。という感情が生まれる。思い出を噛み締めていると、一瞬通り過ぎるも無事着いた。そして10分ぐらい弱ですんなり元通りになる。もう一度生まれるように嬉しくなった。
どうやら外側のフレームの締りがゆるくなって外れたらしい。ゆるみ止め剤も打ってもらった。細かい配慮が本当にありがたい。
素敵な眼鏡たちを最後に見て回り、やはりこいつがナンバー1だ、と謎の自信をつけてお店を出る。

せっかく浦和に行ったので、となりの北浦和駅近くにある幸楽湯に寄った。奥におっさんのセーブポイントがあった。そこで全回復して研ぎ澄ました感覚をもってディスクユニオンでdigして帰り、いつもの日常に戻った。

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