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FRENZ2023出展作「マシロとクロナ」ができるまで

FRENZとは?

FRENZは主に個人や少人数で制作・活動する作家による、Friends(仲間達)とFrenzy(熱狂)するための映像上映イベントです。

全ての上映作品が新作でジャンルに規定はありません。様々な映像を一堂に会して楽しむことを最大の目的としており、「普段は意識して映像作品を見たことがない」「ネット上の映像作品にはあまり詳しくない」という方にも楽しんでいただけるよう目指しています。

ボーカルやギターの音で熱狂する音楽ライブのように、制作者も観覧者も一緒に映像に飲み込まれましょう。

最高のFriendsと、最高のFrenzyに向かって!

https://frenz.jp/

2023年9月17日、新宿LOFT/PLUS ONEにて行われた新作限定映像上映イベント「FRENZ 2023」夜の部に制作者として参加しました。

この記事はその出展作である「マシロとクロナ」を制作する過程のメモをまとめたものになります。
作品はyoutube・ニコニコ動画にも投稿しておりますので、現地で観覧できなかった方はまず作品をご覧ください。



制作スタート

FRENZ、憧れの舞台なんですよね……。
動画サイトで存在を知ったのが確か2013年、初めて現地参戦したのが2018年。
「みんな映像上手いし、俺なんかが出ても……」と毎年出展申し込みを見送っていた私ですが、おそらく出展に必要なのは技術ではなく熱意と覚悟です。今年こそはあの舞台に……! 
腹をくくって制作を始めたのが2月頃だったかと思います。

私は2018年頃から『女の子とモーショングラフィックス』という映像ジャンル作品の収集と制作を行っています。
これは、キャラクターの透過png立ち絵と幾何学的なモーショングラフィックスを用いた動画のことです。主にキャラクター文化周辺の販促映像などに良く見られ、アニメやゲームのOPからボカロPV・歌ってみた動画、最近はソシャゲのキャラ紹介PVやCMなどでも見かけるかと思います。
そういった映像作品が好きで、自分でもそれらの手法を取り込んだ作品を作ったりしていました。

なので、これまで制作してきた作品のノウハウを生かし、『かわいいキャラクターが出てきて、画面が音楽に合わせて気持ち良く動いて、ちょっとネタ要素もあって、いい感じの動画』そんな作品を作ることに決めました。

こういった作品を成立させるのに必要な要素は、『設定』『音楽』『イラスト』の3つがあります。
いつも楽曲先行・企画先行で誰かに頼まれて映像を作ることが多いのですが、今回は自分主導の企画です。なんでもできるのでうれしい……!
さぁて、どんな設定にしましょうか。

全体テーマ設定

企画のスタートは『オセロ』というモチーフです。白と黒で見た目にもわかりやすい対立構造があって、丸いコマがひっくり返ると陣営が変わる陣取り合戦ゲーム。

アイデア出しのために実物を買いました 今は完全に埃をかぶっています

最近はモチーフからモーショングラフィックスを考える傾向にあります。モーションの取っ掛かりとして元のモチーフの性質からインスピレーションを得ないと手が動かないんですね。その点でもオセロは演出甲斐のあるモチーフかなと目を付けました。
二人用のボードゲームなので、プレイヤーも二人出てくるのでしょう。キャラが二人……いろいろ脳内で企画を揉んだ結果、天使vs悪魔のキャラ設定を乗せて、白陣営・黒陣営でファンを取り合う配信者派閥バトル!! という形がおぼろげに見えてきます。……なんだか雲行きが怪しくなってきました。

バカのバイキングになりかけてしまっているので、次に具体的な動画のフォーマットを決め、出来そうなことを絞っていきます。
動画の尺はこれまでの慣れと一人で完成できそうな量感として、BGAのような2分程度の尺を想定。具体的なストーリーを示すにはあまりにも尺が足りなさそうなので、世界観がわかるようなコンセプトムービーを作ることになりそうです。
それこそアニメやゲームのOPのような感じのもの。存在しないゲームのPVみたいなフォーマットにしてもいいかも、なんてこともこの段階では考えていました。ちびキャラが盤上で動いて、エフェクトとともにバババッとコマをひっくり返していくのとか見たいな……。

キャラ設定

次はキャラの見た目を考えます。
私はトリガー作品が好きなのですが、去年『プロメア』を見まして、ピンクと水色の蛍光色を差し色で入れる奴をやりたい……と密かに考えていました。
この時点でのイメージボードがこちらです。

illustlatorで描きました

白黒でコントラストの高いシックな画面にしつつ、ピンクと水色のグラデ感でサイバー的なルックを足せないかと考えました。
オセロのモチーフは「ひっくり返る」がポイントなので、キャラ設定もキャッチ―な二面性を持ったキャラクターを想定しました。純情ヤンキー・腹黒オタサーの姫をなんとなくイメージしています。
衣装はセーラー服ベースのイメージ。魔法少女的な変身バンクとか作れたらいいな、なんてのも考えていました。

これは余談ですが、この「金髪ヤンキー×毒舌ゴスロリ」要素と「セーラー服は戦闘服」要素、「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」「キルラキル」じゃないですか? 制作中にふと気づきました。本当に今石作品が好きです。

この時点での仮タイトルは「Future Angel v.s. Bass Devil」。
この段階ではFuture Bassをお願いしようとしていたのでした。というわけで次は楽曲発注編に進みます。

楽曲発注

楽曲制作はいつもBMS作品でお世話になっているKAHさんにお願いしました。「要するに音ゲー曲っぽい奴を作ってください」とお願いすればまあ間違いないでしょうという信頼です。
最初はFuture Bassっぽい曲調でいい感じの奴を~、くらいのイメージでDMを送ります。

一番最初の依頼DM 本当に何も決まっていない……

流石に文面だけではわからないとのことで、いろいろリファレンスを探します。最初に共有したのはこれでした(非常に良い女の子とモーショングラフィックスでもあります)。

いやどの辺がFuture Bassなんだという感じですね。具体的なリファレンスの共有は大切。
結局BPMとジャンル感はこんな感じで、明るいパートと暗いパートと、二面性のある感じにしたくて~、と伝えつつ楽曲制作を進めてもらいます。
「なんかパリピ向けすぎるんでもうちょっとオタクっぽくなりませんか?」とか「楽曲の展開もうちょい詰めまくれませんか?」など、様々な注文を付け、だいたい2分の尺でおいしい部分のみという最高の楽曲を作っていただきました。
結果としては、やんちゃでちょっと可愛いパートとバチバチのベースが鳴るパートを順番に提示して、最後に交互に繰り返すという構成になりました。楽曲単体としても楽しいものになったと思います。

ちなみに、2種類のドロップを交互に繰り返すリファレンスには「LADY'S ONLY  - Plot Armor」を共有していました。おもしろいですよね~。TLでみかけたのか、個人的に「花いちもんめ式」と呼んでいます。

イラスト発注

並行してイラストの方も打ち合わせを進めます。お声がけしたのはこれまたBMS関係でお世話になったことのあるうまるつふりさんです。
うまるつふりさんとはBMS作品『バーチャルセラピー』で一緒に作品を作ったことがあり、ちなみにこのBGAを制作する過程で「女の子とモーショングラフィックス」という概念にも目覚めています。最初の制作動機は美少女ADVゲームOPのパロディでした。歌詞にフリガナを振っているのは女児ポイント。

早速うまるつふりさんにイメージボードと動画テーマを共有したのち、もう少し具体的なイメージを共有できないかと考えました。
私は絵が描けないので、今回は着せ替えでオリジナルキャラが作れるwebサービスでキャラクターのイメージを具体化してみることにしました。
私は「自分のアバターを作るゲーム」ってイマイチ乗り切れず、プリセットキャラを使う側の人間なのですが、自分と切り離した創作キャラだとなんかいろいろやりたくなりますね。

この時点ではキャラ名もありませんでした

イラストのポーズ案も考えて投げます。下手でもいいのでとにかく伝えるのが大切……。

マシロ_座り
クロナ_座り
立ち

そしてこの資料でほぼ最終版のイラストがポンと返ってくるので、すごいって話ですよ。絵がうまい人、絵がうまい……。キャラクターデザインの細かいところの相談にも乗っていただき、本当に助かりました……!

めちゃくちゃキャンバスサイズの大きいイラストを眺める時間が映像制作で一番好きです

楽曲・イラスト。完成データが着実に手元に揃ってきました。
この時点で7月11日。後は8月末に向けてガシガシ編集作業を進めていくだけです!





まぼろしのFRENZ

2020年7月13日。FRENZ2020開催中止のお知らせ。

いや、薄々気づいてはいました。
春先から新型コロナが流行し、様々なイベントが中止されている現状。換気も難しい会場にキャパギリギリまでお客さんを入れ、歓声を上げたり鴨ロースを食べながら映像を鑑賞する……三密の代表例みたいなイベントが中止されるというのは、予想通りの結果ではありました。

そうなんです。ここまでの作業はすべて2020年の出来事なのでした。
「去年プロメアを観て」というのも配信ではなく劇場公開の話ですからね。(プロメアは2019年劇場公開)

正直に言うと、制作スケジュールが想定よりかなり遅くなっていたので、ありがたい話ではありました。〆切は無くなったけど、その分ゆっくり自分の納得のいく作品を作っていくぞ! と。
楽曲・イラストなど関係者各位には「今後FRENZが再開されるかどうかもわからないので、ネット公開を目標に切り替えて制作を進めます。公開する際には連絡します!」と送信し、一人粛々と作るフェーズに入ります。




突然〆切がなくなった作品がどうなるか。



2020年。コロナ禍での就活に戸惑いながらもオンライン面接を切り抜け。
2021年。いまだ続くコロナ禍のなか、無事修論発表と卒業式を迎え。
2022年。社会人になって退勤後の無気力さに唖然とし。
Aeはおろか、作業用PCすら起動しなくなって。




もちろん、作品完成の連絡が行われることはなく。





――――映像オタクの、死





オタク、再生産

毎日8時間働いて、たまに残業もして。ひと案件終えたら達成感もあるし、仕事のスキルもついてる気がするし、ありがたいことに残業代もきっちり出るし、先輩も褒めてくれるし。
仕事と生活で人生は充実します。休日は「休む日」なんだから休んだらええ。
そう。それもそれで、全然良いんですけど。


3年ぶりに開催されたFRENZ2022に観覧者で参加。相変わらず壇上の皆さんの煌めきが眩しくて。
売り子で手伝った同人音楽即売会の春M3。こんな数の人間が本業の合間を縫って同人活動やってんのか。
時々作業通話に誘ってくれる;3zutamaさん。「原付くん、FRENZ出ないの? 一回くらい出なよ~~~」と圧をかけられ続け。


なぜか手元に素材はあるんですよ。
3年ぶりに開いた画像ファイルや音声ファイル。



あー、めちゃくちゃ好みだ……。
やっぱりちゃんと形にしたいかも。



2023年6月。
日々の労働で高まった内圧に、ポッと小さな火が灯ります。




方向性の再設定

私がコロナ禍に奪われたものも沢山ありますが、コロナ禍に与えられたものもあります。ひとつが時間です。
2020年。コロナ禍の下宿で一人、私は研究に励んでいるふりをしながら、積んでいた漫画や小説をたくさん読むことができました。

そして、百合のオタクになってしまいました。
仲谷鳰先生・伴名練先生、最高の作品を作ってくれて本当にありがとうございます!!


もうね、俺、関係性しかやりたくないよ。shipping。


3年経ってみると、世界観より具体的なストーリー・会話劇の方に興味がある自分がいました。個人的な関係性を描きたい……もっと直接セリフを出したい。
女の子とモーショングラフィックスはボカロMVや歌ってみた動画で見かけられる手法ですから、歌詞=テキストを表示するノウハウはたくさん蓄積されています。
この手法でキャラクターのセリフを表示できないか。地味ではありますが、大きな方向転換です。

「セリフを読ませる動画」に舵を切り始めると、視線誘導を考える必要が出てきました。ただ画面上に文字を置くだけでは、なんだか読みにくいのです。リリックビデオでは耳と目で補完しあいながら歌詞を認識するのか、あまり画面配置に意識を向けなくとも文字を読める映像が作れていたようです。
今回はインスト楽曲。セリフを読み上げる音声も入れる予定はなし。
困った……。

困ったときは先行研究を参照! 文字を読ませる動画といえばこの方!

機能美pさん。偉大な先駆者です。(FRENZ当日は上映順がひとつ前で、畏れ多かったです。)

いろいろ見ていくと、吹き出しを作るとそこに目線が向けられるらしいぞ、と気づきがありました。
機能美pさんの作品が必ずこの手法をとっているわけでもないのですが、レイアウトの実力でぶん殴るような視線誘導はなかなか真似できませんし……

吹き出し。
画面上にポンと出てくると、自然と目線がひきつけられる。テキストの下には平面が敷かれるので、背景に埋もれて読みにくい問題も回避可能。元ネタは漫画ですよね。非常に合理的なシステム。

そして、ここで丸い吹き出しがクルっとひっくり返るシーンが頭に思い浮かびます。
オセロのモチーフ。キャラの二面性。セリフの裏に真意があって……ひっくり返ってウラオモテ。

あ、これだ!!! これこれこれ!!!
演出のメインネタが決まりました。

  • 女の子とモーショングラフィックスを作る

    • →キャラクターのセリフで関係性

      • →吹き出しが ひっくり返って 二面性


さて、3年の時を経て再び火のついたFRENZへの創作意欲。
作品を完成させるためにやるべきことも明確に決まりました。
セリフを書いて、吹き出しに入れて、リリックビデオの要領で動かす。
それでは早速ストーリーとセリフを決めていきましょう。


台本書き

でも、そのセリフを書くのが本当に難しくて…………。

やることが決まっても、それができるかどうかは別問題。この工程、難しかったです。
そもそも面白くてうま味のあるキャラ設定と関係性の絡みなんて、なかなか思いつかないですよ……。世の中に存在するコンテンツ全てがありがたいものに見えました。

キャラ設定と具体的なセリフ回しを行ったり来たりしながら試行錯誤していきます。それぞれキャラ設定を立てつつも、会話劇として面白くなるように……。

ここで参考にしたのは逆転裁判です。
ちょうど制作に入る直前の時期にsteamでなんとなく買って遊んでいて、とても面白かったです。このトンチキ設定上で濃いキャラクターが個人的な価値観でバトルしあう、そんなエンタメド直球のストーリーがとても刺さって、方向性が明確になりました。最初は腹黒オタサーの姫だったクロナが「毒舌ストリーマー 兼 節約術本ベストセラー作家 兼 赤スパ連投限界オタク」という設定になったのも大体逆転裁判のせいです。

「設定をどんどん極端にして、その状態でしか成立しないすれ違いを真摯に描き、最終的にはコメディのラッピングで皆さんにお届け♡」というようなスローガンを掲げシチュエーションとセリフを必死に練り上げていきます。私はこの関係性の形もまた百合だと思っていて……(ろくろを回す動き)。


そして逆転裁判からもう一つ、表情差分が映像を面白くする、というのも学びました。法廷で追い詰められた真犯人が豹変するあのシステム……めちゃくちゃ面白いですよね。この作品でも表情差分が展開に勢いを与えるはず!と、ここで急いで発注します。迅速に対応いただいて本当に感謝です……!


かわいい


かわいい

編集作業

モーショングラフィックスは5年もやってるので、今回は手癖です。「FRENZの皆さん、初めまして」という気持ちで名刺代わりになるようなモノを……という気持ちでした。
基本的な映像構成も3D空間上にキャラクターの立ち絵を配置し、カメラを平行移動。いつもの奴ですね。

テキストモーションのリファレンスは『ビバハピ』です。TOHRU MiTSUHASHiはいつの時代もすごい……『唱』もすごかった……

モーショングラフィックスは気合いです。心を殺してキーフレームを打つ作業。

最終的にお盆休みはマシロとクロナの制作にすべて費やし、それでも終わらなかったので退勤後にぐちゃぐちゃになりながら制作を進め、何とか〆切に間に合わせることができました。

FRENZ当日

提出後の虚脱感と仕事の波と体調悪化のトリプルパンチでぐったりしていると、あっという間に上映当日になってしまい、気づけばLPOでハラハラしながら上映待ち。上映順は出展者にも知らされていないので、次作品アナウンスの度に胃を痛めておりました。
といっても舞台上で何かするわけでもないのがFRENZの不思議なところで、作品案内後に何度も何度も見返したmp4が流れ、エンドクレジット。あっ、もう終わったんだ。ふわふわした感覚で壇上に上がり、布団の中で何度もイメトレしたセリフをぺちゃぺちゃ喋り、わけもわからず着席。

いや、何だったんだこれ……。

終演後に何人の方に直接感想を頂いたところでやっと「あ、上映されてたんだ……」みたいな実感がようやく湧いてきました。当日話しかけていただいた皆さん、本当にありがとうございました。

壇上でお見せした応援うちわ、そこそこウケててよかったです。前日にせっせと作った甲斐がありました。

これがほんとの"内輪"ネタってねw

まとめ

「マシロとクロナ」の制作記は以上です。

作品の特性上、一回で全てのうまみが伝わらない作品になってしまったのは自覚しています。とはいえたった2分で1回見れますので、何周かしていただくとだんだん私のやりたい百合が伝わっていくのではないかなと思っています。

公式紹介文にもありますように、FRENZは現地のライブ感がその醍醐味ではありますが、インターネット上の作品群でその存在を知った身としては、インターネットでも作品をたくさん味わっていただければこれほどうれしいことはありません。
「マシロとクロナ」をご視聴頂いた皆さん、加えてこの長文を最後まで読んで頂いた皆さん、ありがとうございました。


G.A.M.G.WORKS 自動車 原付












雑記

くぅ~疲れましたw これにてお気持ちnote完結です!

以下、映像オタクからみんなへのメッセジをどぞ
(ここから下は飲み会のダル絡みレベルのつぶやきです)


女の子とモーショングラフィックスってさァ

振り返り配信、うれしかった……。

2日目夜の部終了後に84yenさんに話しかけてもらって、舞い上がってしまった私は完全に失言をしました。あの、髪揺れした方が絶対に良いルックになるし、女の子とモーショングラフィックスに構図のバリエーションは無いです、本当に……すでに研究しつくされた枯れた技術です……。

そもそも、狭義の女の子とモーショングラフィックスと広義の女の子とモーショングラフィックスがありましてという話をしたいんですよ。
広義の定義としては、「人物と幾何学模様があれば"女の子とモーショングラフィックス"」と見なすものです。もはやイラストでなくてもよい。こういうMVも私は女の子とモーショングラフィックスだと思っています。良い。

最近は個人的にアクリルスタンドがアツくて……。社会人になってお財布に余裕があるのでオタクグッズをちょこちょこ買うようになったのですが、アクスタってすごいね……現実空間に「立ち絵」が実在して、顔動かすと視差効果が付くんですよ!? これもう完全に女の子とモーショングラフィックスなんだよな……。

そんな一方で、狭義の女の子とモーショングラフィックスというものも存在すると思っています。これは定義というよりも個人的な好みの話になるので「定義」というのは完全な誤用なのですが、一言でいうと「立ち絵イラストはイラストであれ」という思想です。
女の子とモーショングラフィックスは手描きアニメ手法のカウンターだと思っているので、わざわざアニメ側にすり寄らなくても俺たちの中でできる何かがあるんじゃないかなあ、というか。イラストとしてはきれいなシルエットなのに移動すると全く変形しない硬い質感を持つギャップが好きというか。……あーこれやっぱ完全に個人の好みですね。思想を垂れ流しているだけです。
だから、誤解なんですよ! すみませんでした!!! みんなはこんな妄言気にせず女の子とモーショングラフィックスを自由に作ってくれ!!!




マシロ推し?クロナ推し?

あー、目つき悪いけど心やさしい金髪ボーイッシュガール好きだな~~~。

ご挨拶が遅れました。シャニマスなら西城樹里、ゆゆ式なら櫟井唯、それ町なら紺双葉!!! 自動車 原付です、よろしくお願いします。

そんな私ですので、マシロのキャラ設定は自信アリでした。ギャップ萌えの王道「ツンデレ」のサブジャンルですし。
FRENZ実況TLでもマシロの方がウケてるかな~という印象でしたかね。「確定申告」ってワードもキャッチ―ですし。そんなパンチラインをクロナの方でも出せたらよかったな……。

クロナの方はメスガキに振るのか小物悪役に振るのか限界オタクに振るのか最後まで悩んでしまったので、初見で分かりにくいキャラ設定になってしまったかな……と反省しています。でも複数回見るとややこしい強火オタクみたいな感じで面白くないですか? ボケ担当としてトンチキ脚本の推進力になってくれた気はします。

クロナは、ファンを小馬鹿にしつつもそこまでひっくるめてプロレス感が面白い配信、という温度感を狙ったのですが、このバランスをとるのが本当に難しくて……。まず自分の引き出しに軽快なプロレス会話が全然ないことに気づきました。それに、気を抜くと「文化disの意図を受け取る人もいるかもな~」というセリフ回しになってしまうのも難しい。できるだけ多方面にリスペクトをしつつ面白いセリフを書きたいものです(でもこれ激ムズです)。


ちなみに艦これなら天龍です。……フフフ、怖いか?(そりゃ突然好みのタイプをプレゼンしてくるオタクは怖いですよね)


ケンカップルは両片思いの夢を見るか?

マシロとクロナの関係性、私は両片思いだと思っていて……!

んなわけあるかいという主張から走り出してしまいました。
前節ではどっち推し?みたいな百合に挟まりかねない話をしていたので、ここからは関係性のお話をします。

私、幼馴染腐れ縁ケンカップルが好きでして……。企画段階ではふたかおをやりたかったんですね。本文中でもサンプリングしていた少女☆歌劇 レヴュースタァライトの話です。2019年から喰らい続けています。劇場版も最高。メッセージ性も関係性も映像演出も、全部が最高の作品です。本当におもしろい……。
話がそれましたが、それで「ぼくのかんがえたさいきょうの幼馴染腐れ縁ケンカップルをつくろう!」と制作を始めたはずなのですが、試行錯誤していくと幼馴染でも腐れ縁でも喧嘩でもなくなってしまい……。なんで? どうしてこうなっちゃったんですか? 方向性のハンドリングって難しいですね……。

制作中盤、プロトタイプを作った段階で友人に見てもらったところ、「原付が百合好きなのは知ってるから、そういう作品なのかなと思ってみてたけど、……なんかもうちょっと百合っぽい展開の方がよくない?」と言われ、ハッとしました。
幼馴染でもない他人同士だし、わかりやすく好き同士の距離が縮まる話……というわけでもない。

これ、百合じゃないかもしれないな……。

設定魔改造の結果、いつのまにか百合の要素を見失っていました。

この気づきを受けて、キャラクターのギャップ萌え、二面性の面白さ、ギャグ方面に大きく舵を切ることにします。クロナが暴走ボケ、マシロが聖人ツッコミの構図を意識してまとめていきます。そりゃ百合はやりたいけど、やっぱり尺が……。
おかげで作品としてのまとまりは多少良くなったと思っています。

というわけで、いわゆる恋愛の"好き"同士の話ではなくなってしまいました。
しかしですよ。形はどうあれそれぞれの"好き"をそれぞれがそれぞれなりに伝えようとするのに、運悪くすれ違っている二人の滑稽ともいえる姿……うんうんこれもまた百合だね。いや、やっぱりこれって両片思いなんじゃないですか!?!? そうですよね!? どうですかね!?




蛇足をがーーーっと書き散らかしてしまってすみません。

来年のFRENZどうしますかね。今は空っぽです。なんもない。
でも気が向いたらなんかやりたいです。あ~~tears of overflowed bits みたいなのやりたいかも! いやあの、これも異常バランス感覚文字読ませ動画で……無理かな……

まあ、なんだかんだ映像制作は続けていくつもりなので、またどこかで作品が公開されたら見てください。
それとこっちの方が重要なのですが、女の子とモーショングラフィックスの目撃情報がありましたらタレコミお待ちしてます。



では、


マシロ、クロナ、俺「皆さんありがとうございました!」





マシロ、クロナ「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」



本当の本当に終わり


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