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映画「The True Cost」を観て、気になったことをなぐり書きメモ

映画「The True Cost (ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償)」を観ました。
わざわざ海外の大学院でサステナビリティを学んでいるくらいなので、ファッション業界の低コストを追求する体質から生じる、発展途上国の搾取縫製工場(Sweatshop)問題については既に知識レベルで知っていましたが、観て衝撃を受けました。どこか心の奥底で「遠い国の知らない人たちの問題」と他人事にしていたかもしれません。

本来ちゃんと編集して公開すべきですが、時間がないので気になった点や感想をなぐり書きでメモしたものを、一旦そのまま公開しますm(_ _)m

トレンドに踊らされる消費者

ZARAやH&Mなどのグローバルファッション企業、52週に1回、つまり毎週新モデルを世に送り出している。
トレンドは「去っていく」もの。見た瞬間に「欲しい」と思っても、「本当に必要かどうか」を一度立ち止まって考えなければならない。

大手ブランドと下請け工場の不均衡なパワーバランス

海外の下請け工場、星の数ほどある。
→Value Chainの上流にいる大手ファッション企業は、下請けを選べる。つまり、「このコストで作れないと言うなら別の工場と契約する」という交渉が可能に。
→買い手側にバーゲニングパワーがある(Bargaining power of buyers)

下請け工場のオペレーションの限界

下請け工場がこれ以上生産コストを下げるためには、工場を閉めるか、どこかで手を抜くしかない。
→「労働環境の安全性を下げる」のが、暗黙の了解になっている。
→そこで2013年にバングラデシュ・ダッカで起こった「ラナプラザ崩落事件」。グローバルファッションブランドの服を縫製する工場で床が崩落し、1000人以上の労働者が亡くなった。工員は、建物にひび割れが入っていることを以前から上層に指摘していたが、労働を継続されていた。

バングラデシュの縫製工場で働いている人々の給与は約2ドル/日。一方、グローバルファッション業界全体での年収は3兆円にのぼる。
バングラデシュの縫製工場オーナーは、「21世紀に他人の命を犠牲にして、低価格による利益を追求するなんてこれは価格の圧力だけでなく、関わる全ての人の責任なんだ」と話した。

スウェットショップ(搾取工場)の正当化

世界の6分の1にあたる人が、グローバルファッション業界の一部として働いている(最も労働集約された業界)。
「経済的な利益が出ている」という理由で、低価格を正当化する人が未だに多い。
→自由市場研究の専門家「実は、現地の人々にとって、縫製工場での労働は最悪のオプションではなく、彼ら彼女らもその仕事を自分で選んでいるというケースが多い。」

見過ごせない「環境負荷」と「犠牲者」

・コットン栽培
世界のコットンの80%以上が「ラウンドアップ」という除草剤に耐性がある、遺伝子組み換え品種。非常に強力な農薬で、土壌に蓄積するだけでなく、人に対して発がん性、先天性欠損児、知能発達遅延などの影響があることも指摘されている。除草剤や肥料は、使うたびに次の使用量が増えることから、作中では「麻薬」とすら表現されていた。
コットンの種、それに使う農薬、その農薬によって生じたがんを治す薬。これらをすべてを一つの会社が作っている。犠牲が増えるたびに設ける仕組み。まるで悪魔のようなビジネスをやっているのがモンサントという会社。インドでは、膨らむコストを払えず、モンサントに土地を抑えられ、多くのコットン農家が自殺してしまうという。
(16年間の間で、25万人ものコットン農家が自殺した。)

・余った服のゆくえ
服は簡単に捨てるべきものではない。チャリティーに服を寄付しても、オフセット(相殺すること)はできない。
寄付された10%ほどしか、受取国のリサイクルショップで買われない。
その後、余った莫大な量の服は途上国に贈られる。(ハイチなど)
その影響で、地元の衣料店はほとんど潰れた。

・大量生産消費に問題提起
パタゴニアの環境部門(Environmental Affairs)「パタゴニアはConsumers(消費者)という言葉が嫌いだ。Customers(顧客)の方が好ましい。我々と一緒に、消費を減らすという取り組みの一部になってほしい。」

・革なめしの環境負荷と工員の健康被害
場所:India・Kanpur
安いレザーの生産地。革なめしによる健康・環境被害。
毎日、5000万リットルもの汚染水が川に流れている。有害物質 chromium 6 (クロム)など。
生活水、飲み水にも影響。深刻な皮膚の病気、癌も。
→川に流れたクロムの影響だと言われている

・市場の限界
環境への負荷といった、経済市場の外側にかかるコストが無視されている。そのツケは誰が払うの?未来の世代たち?

犠牲の上で成り立つ「甘い汁」を啜り続けるファッション業界

この映画に際し、インタビューを申し込んだほとんどのメジャーファッション企業が取材を断った。

途上国の政府らは巨大ファッション企業が提供する労働に依存している。もし、労働者の最低賃金を上げれば、他国の工場に移動されてしまうので、どの国も労働法を制定することを頑なに拒むという負のサイクルになっている。
→「その国の最低賃金を適切に払っている」的な大企業の文言は、搾取していると宣言しているようなもの。

資本主義に忠実に従っているうちは、ファッション業界はこのまま変わらないと思った。
資本主義下では、資本は増え続けなくては成長できないが、資源にはリミットがある。

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