クラウドファンディング再挑戦で200万円調達に成功したポイントとは
GOBでインターンをしている、大学2年生のくるみです。
現在私は、友人と進めているプロジェクトで、クラウドファンディングへの挑戦を検討しています。
とはいえ、経験がなく、初めてのことばかり。そんなときにGOBメンバーの友人の起業家がクラウドファンディングに成功したという話を聞きました。
「これはぜひ話を聞きたい!」と思い、先日インタビューの時間をもらいました。
お話を聞いたのは、株式会社Unwind CEOのとぅるもちさんです。
とぅるもちさんは、2021年にUnwindを創業。性生活やパートナーシップなどにまつわる社会課題に取り組み、「セクシャルウェルネス」という考え方を広めています。
そんな中、とぅるもちさんが現在手掛けているサービスの1つが、性生活の悩みを解決できるセクシャルウェルネスアプリ「tawagram(タワグラム)」です。
アプリを開発するにあたり、事業検証と資金調達のために2023年8月にクラウドファンディングに挑戦。しかしその時は60万円まで支援を集めるも目標金額には届かず終わりました。
しかしその後、さらなる改良を重ねて2023年12月に同サービスで2度目のクラウドファンディングに挑戦。見事200万円以上を集め、プロジェクトを達成しました。
2度の挑戦を経てのとぅるもちさんのお話には、クラウドファンディング成功のヒントがたくさん隠れていました。せっかくなので、実際のお話の中で私が特に大切だと感じたポイントを3つ、まとめてみました。
1:知り合いに直接アプローチ
クラウドファンディング成功の秘訣として、よく言われるのが「3分の1の法則」です。成功するプロジェクトの支援者は、以下の通り3分の1ずつに分かれる、といった内容です(*1)。
ここで重要なのは、まず自分の友人や知人からいかに支援してもらうかです。
1度目のクラウドファンディング時、とぅるもちさんは他のプロジェクトや事業の関係でなかなか時間が取れず、周囲への声掛けが十分にできなかったそうです。そこで2度目の挑戦では、何より友人や知人への声かけに奔走したといいます。
「一般的に、目標を達成したプロジェクトは、支援者の7割程度が知り合いだと言われています。そのため2度目の挑戦では、特にFacebookを中心に、友人や知り合いに直接声をかけました。結果的に目標金額は達成しましたが、それでも声掛けが十分だったかと言われると反省もあります。
私の場合、プロジェクトの開始前日になってようやく知り合いに声をかけ始めましたが、本来であればプロジェクトの初速を伸ばすために、もっと前からコミュニケーションを取るべきだったと思います。中には数ヶ月前から声かけをしている人もいるようです」
私の場合、どうしても直接連絡をすることに引け目を感じてしまう気持ちもありますが、自分のSNSで投稿しただけでは、支援にはなかなかつながらないそうです。
「SNSで全体に向けて投稿をすると『いいね』などのリアクションはもらえますが、投稿のシェアやそのさきの支援までしてくれる人はごくまれです。これまで関わってきた方や自分の活動に理解のある方を中心に『個別で』コミュニケーションをとることが重要です」
とぅるもちさん自身、「朝から晩まで知り合いに連絡するくらいの行動量が、プロジェクト達成の一番の理由だった」と振り返っていました。
2:「支援して」ではなく「シェアして」
知り合いへ声をかける際には、その「声のかけ方」も大切だと、とぅるもちさんは教えてくれました。
「まず大前提ですが、文章は読みやすいように短く端的に。また、連絡をする際には、定型文の使い回しは避けました。メッセージを送る前に必ずその人の近況などを確認し、冒頭でその人個人に対して、言葉を添えるようにしていました」
これは当たり前にも思えますが、意外と難しいものですよね。自分のために時間を使ってもらいたいなら、こちら側も相手のために時間を使うという意識が、重要なのかもしれません。
「またちょっとしたことですが、『支援してください』と押し付けるのではなく、あくまで『シェアしてください』とお願いをしていました。そうした工夫が功を奏してか、私のFacebookの投稿に、友人が自分自身の悩みを添えてシェアしてくれて、さらにその悩みに、友人のまた友人が共感をして......といった形で支援の輪が広がっていきました」
また、とぅるもちさんはシェアしやすいページ作りも工夫しています。
「1度目の挑戦では『快感』『プレジャー』など直接的な表現を使っていましたが、2度目は、意図的に性に関する直接的な表現やそのトーンを薄め、シェアしやすいページに設計しました」
3:機能を最低限にして検証
1度目から2度目の挑戦にかけては、クラウドファンディングの進め方の他に、プロダクト自体も改良しました。
といっても、プロダクトにさらなる機能を追加したのではなく、むしろ機能を絞り込んだそうです。
「1度目のクラウドファンディング挑戦時は、性生活に関する分析診断のほか、専門家とのマッチングなどの付随的な機能も搭載するイメージでいました。しかし、機能が増えるほどサービスの複雑さも増して伝える難易度も上がりますし、そのぶん開発コストもかさみ、目標金額も上げざるを得ません。そこで2度目の挑戦ではメインの機能である悩みの分析診断のみにフォーカスし、まずはこれだけを検証することにしました」
4:プロダクト自体のブラッシュアップ
プロダクトの見直しとしては他に、ターゲットユーザーも変更したそうです。
1度目の挑戦時は「性の悩みについて自己分析できる」という1人での利用を想定したプロダクトでしたが、2度目の挑戦時にはこれを「パートナーと2人で使用するもの」へと変更しています。
「当初はまず、1人で自己分析をしてほしいと思ってました。しかしユーザーインタビューをしていると、現状国内では性生活について自己分析する習慣が根付いていないため、利用のハードルが高いプロダクトになっていたことに気づきました。そこで、昨今パートナーシップのあり方が注目を浴びやすいという時流も踏まえて、パートナー同士の会話を促すプロダクトへと改良することで、より需要があるのではないかと考えたんです」
利用シーンだけでなく、アプリのターゲットユーザーについても新たな仮説を持って12月の挑戦に挑んだと言います。
「はじめは、性に対して探求心を持っていて前向きな女性をメインターゲットにしていました。しかしユーザーインタビューを通じてその認識を変えました。『産後まもない人から、10年以上経っている人まで、パートナー間での性の不一致に悩んだ経験がある人に注目するようになりました」
クラウドファンディング開始までに、ユーザーインタビューを重ねることで、プロダクトが刺さるターゲットや、その人に受け入れられやすいプロダクトの形を見つけておくことも、成功の大きな要因だとわかりますね。
ユーザーインタビューでの事例は、クラウドファンディングのページにも採用することで、どんな人に、どんなふうに使ってもらえるのか、よりわかりやすく示す工夫をしました。その結果、ページを見てくれた人たちからのリアクションも変わったそうです。
「具体的な事例を盛り込んだおかげで、プロダクトの機能だけでなく、それを利用した場合の影響もパッと伝わりやすくなったようです。1度目の挑戦時と比べると、今自分が抱えている悩みを率直に共有してくれる人も増えて、とても嬉しかったですね」
以上、とぅるもちさんのお話を受けて、私が印象的だった3つのポイントを紹介しました。私が現在進めているプロジェクトにも、ぜひ活かしてみたいと思います。
なお、実際にとぅるもちさんが資金調達に成功したクラウドファンディングのページはこちらです。ぜひ参考にしてみてください。