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「町を舞台に仕事をする」の未来図

卒業アルバム続きで恐縮ではありますが、飽きずに読んでもらいたい。

この時期毎日どこかしらの小学校に入り浸っている。はしごの日もある。
今日はとある小学校に、朝・昼・夕方と3度も足を運んだ。
とうとうこの地域にもインフルエンザが到来した。感染が発覚し、ある児童は楽しみにしていた行事に参加できず、ギャン泣きで帰って行ったと先生から聞く。6年生も大詰めを向かえたこの時期、クラス愛も育まれ、友達とひと時も離れたくない気持ちの涙らしい。と、職員室の横で先生と立ち話。いや、長話。先生からも卒業まであとわずかという、少し寂しい気持ちが、言葉の端々や表情から感じ取れる、この時期なのである。

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クラス写真。
全員揃ってこそクラス写真。休みの子を出窓的コラージュで、笑顔のみんなの片隅にそっと添えるのはかわいそうだ。だから全員揃って撮影したい。
なかなか全員揃わず、クラス写真が撮れない日が続くと肝を冷やす。
「ならば夏に撮ればいいじゃないか?」と言われることもあるが、それは意味がない。やはり卒業を間近にした時のクラスの空気感。それこそクラス愛に満ちた写真こそアルバムに飾りたい。だから夏もいいが、この時期の写真が何より大事。

朝、先生から連絡が来る。
「全員揃っています!!」
すべてをほっぽらかして駆けつける。(え!早退!...ってこともあるので)
教室にいくと、みんなで黒板に寄せ書きをしている。思い思いに書いている。騒がしいと先生に怒られながらも、みんな笑顔で一生懸命書いている。
そんな黒板に、ボクへのメッセージが書かれていた。
ぐっとくるんだよ。これが。

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カシャ。
待ちに待ったクラス写真の撮影。全員揃ったクラス写真がアルバムを飾る。

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2011年。大震災が、この外房地域にも被害をもたらしたあの年。
ボクのブログを読んでくださっていたお母さんから連絡があった。
「卒業アルバムの写真を撮ってもらえませんか?」
その電話が、ボクと卒業アルバム、ボクと学校とのはじまりだった。

春。教室にいく。
教壇に立って、みんなに挨拶をする。そしてひとりひとりの写真を撮る。その写真に名前を添えて名簿を作る。顔と名前を覚えるため。ここから卒業までの、長く楽しい卒アルロードがはじまる。
卒業までの数ヶ月、こどもたちとどんな関係が築けるか。ワクワクする。
こどもたちの輪に入る。こどもたちの渦に飛び込む。
この卒業アルバムの撮影は、写真の技術やセンスより、こどもたちのその時の体温を写真に残す...そのことだけを心がけて、こどもたちを撮り続ける。

撮りためた写真をセレクトして、アルバムに仕上げる。先生や友達のメッセージが添えられる。大切な思い出のアルバムを、卒業証書と一緒に抱えて巣立っていく。それが卒業アルバム。
それは数年して集まる同窓会にはなくてはならないシロモノだ。思い出話の中心にあるのは、この卒業アルバムだろう。

先日、町から成人式の記念撮影の依頼がきた。
聞くと、卒業アルバムの写真を撮っているカメラマンさんにお願いしたいと。2012年の卒業生だ。思い出深いこどもたち。胸が熱くなった。

ボクの夢。
この地域のこども達が大人になって、そのこどもたちと一緒に仕事をすることだ。多分その頃、ボクは老いぼれ爺さん。ボクにかわって、成人したこどもたちが母校の卒業アルバムの撮影に駆け回る!
「町を舞台に仕事をする」の未来図が、この地域のこどもたちの将来につながれば、なんて素敵な未来だろう。
そんな小さな夢を描いている。

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さてさて、こどもたちと先生。
只今、文集にてんやわんやしている最中である。

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