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“古典男子”は絶滅危惧種!?

古典文学が好きだ。古典といっても『古事記』から始まる奈良時代から、俳句などの江戸時代までと時代が幅広いが、私は特に平安時代が好きである。

文学部で日本文学を専攻していて、卒論は平安文学の『伊勢物語』だった。(あまり気に入っていないので書き直したいが。)

「古典が好き」というと、よくレキジョ(歴史女子)と混同する人がいるけど、私は特に戦国時代や幕末には詳しくない。大河ドラマも見ない。戦などの人殺しのシーンにあまり耐性がないせいもある。

中学生の頃からずっと、平安時代の女性の書く文章や生き方に興味があった。それは今も変わらない。『枕草子』や『平家物語』の冒頭文を国語の授業で暗記させられたが、私は嬉々として覚えた。古典の言葉の音が、耳に心地よく響いた。

だが研究となると、知識のマウンティングや世界で二人しかいない論争などの狭い世界が自分に合わなくて、院には進まなかった。

『源氏物語』などの有名な物語は研究もやり尽くされていたし、大学教授の少ないポスト争いにも勝てる気がしなかった。

それでも、女性は意外と私のように「高校の時の古典の授業が好きだった」という人がチラホラいる。会社で働きながら、趣味や教養として平安時代の文学を楽しむ人もいる。

実際、30代〜40代で古典を一緒に楽しむ女友達は増えた。会社の外に飛び出して、専門家でもない私が古典のイベントを地道に続けたおかげである。古典を読んで可愛い女子ときゃっきゃうふふしたい。

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しかし、残念ながら同世代の男友達は増えなかった。友人にも「『古典が好き』っていうさわやかな30代の普通の男の子がいないね。突き詰めてるか、変わった人が多い。」と言われた。(反論は受け付ける。)

それは私も感じているところで、同世代の男性には女性のようなライトな古典ファンは少ないなぁと思う。

仲良くしているお坊さんにも言われた。笑。男性よりも女性の方が精神年齢が高いから、知的好奇心も女性の方が早く持つのだそう。(お茶や華道などの習い事も女性が多いね、そういえば。)

正直にいうと、古典文学を読んでも腹は膨れないしお金にもならない。百人一首を知らなくても生きていける。

だからこそ同世代の男性で「古典が好き」というと、伝統芸能に関わる人か研究者か職人さんが多いイメージ。これで食べていこうとプロを目指してる人。

いやその道を極めてても良いのだ。それは否定しない。ただ会話をしてても、「これおもしろいよね」って言った後に「それはだね…」と自分の知らない知識を返して欲しいんじゃない。そこまでのレベル求めてないというか…、共感してほしい。ワガママなのは分かってるけど。

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平安時代の人たちは、仏教を心の拠り所にしていた。『源氏物語』にも因果応報などの仏教思想が出てくるし、主人公の光源氏は常に出家したがっている。貴族たちも臨終の間際は出家して、極楽浄土を目指した。

だから、私は仏教にも興味を持った。仏教の勉強しながらお坊さんの中で古典好きな人いないかなと探した。

しかし当たり前だけど、彼らは仏教思想には詳しくても日本文学には詳しくないのだった。浄土真宗でよく読まれる蓮如さんの書いた「御文(おふみ)」の中にあった引歌に気づいていなかった。

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アラサーの考古学者の男性と仲良くなった時に聞いたのだけど、韓国の考古学者は女性が多いのだそうだ。日本以上に学歴主義でシビアな韓国は、お金にならない考古学の学者になりたがる男性は少ない、とのこと。その彼も、学者を続けるのが少ししんどそうだった。

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「男は地位や名誉が好き。」これも別のお坊さんが言ったセリフである。真理だと思う。

正直な話、古典を勉強しても今の現代日本で地位や名誉はついてこないから、働き盛りの20代〜30代の男性に何をプレゼンしたらいいのか分からない。難問すぎる。

今の時代は英語を勉強した方がお金になる。周りを見てても心底そう思う。

きっと、平安時代のように和歌や漢詩が詠めたら昇進するのであれば、男性も必死に勉強すると思う。英語と同じように。

古典が好きなことを名誉にまで回復させるにはどうしたらいいのか。映画やゲームが好きなのと同じように古典も選んでもらえたら。私には手に負えない問題である。

だからしばらくは私は、古典は同世代の女性と楽しもうと思っている。

同世代の男性はまだ外に外にと視線が向かっていて、足元に目が向かない世代である。それで良いと思っている。私には可愛い女子がいる。笑。

もっと歳を取って、同世代の男性の知的好奇心が追いついてきたらいいな。私のモテ期はきっと50代後半だ。それまで待とうホトトギス。

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