見出し画像

Extreme Hearts×Hyper×Stage───心の限界を超えて、確かに存在した2048年夏

◆はじめに


 2023年3月26日(日)に、山野ホールにて開催された「Extreme Hearts × Hyper × Stage」。

 私個人は本編放送直後のCMでイベント開催が告知されたその瞬間から毎日、エクハのことを考えない日は一日もないくらいずっっっと首を長くして待ち焦がれていたイベントだったのですが、アニメの放送から半年以上が経って、インターネット上でエクハの話題を見かける機会も当然ながら大分少なくなっており、


「もしかしてみんなエクハのこと、もう飽きちゃったのかな……」

 ……なーんて、ちょびっとでもそんなことを思ってしまっていた自分が恥ずかしくなるほどの熱狂、大盛況のステージでした。

 あの夏、エクハがみんなに刻んだものを改めて再確認できた一日。
 最高の場所で時間を過ごせたエクストリームハーツァー(造語:エクハ大好きな人の意)の1人として、簡易レポというカタチではありますが、ここに文章を綴っておこうと思います。

 もう既にたくさんの素晴らしい文才、文豪・メイカーが世に名文を投稿しまくっているようなのですけど、だからって私が筆を置く理由になんてならないですよね!
 ちなみに、もちろんアニメ全話を視聴してからイベントに臨みました。
 現在YouTubeで全話公開中。※2023/4/2 21時まで


◆イベント前 物販など

 イベント当日の朝。
 天気は生憎の雨。青空に逢いたいエクハファンに神様は厳しい。

 そういえばアルバムのリリイベの日も雨だったなと思いながら、物販のため12時半ごろに現地へ到着した私と友人を待っていたのは、すでに長蛇の列を作り上げている沢山のエクハファン達の姿でした。

 一体今までどこにこれだけのファンが隠れていたというのか。

 300人……400人はいたでしょうか、会場前の広場の中でぐわぁーーーーっと伸びる真っ黒の行列に、私は「なんだ……エクハってやっぱり大人気アニメだったんじゃん……!」とちょっと失礼感動。

 その後、物販列で偶然フォロワーの方と再会したり、抱き枕カバーの売切れ一番乗りがまさかの小日向さんで行列がザワついたり、

 係員さんがクオン社のTシャツ(非売品)を着ていてうらやましくなったり、続いてすぐに前原さんのカバーも売切れたり、

「抱き枕カバー、全て残り極小ですッッッ!!!」

 という係員さんの声がした瞬間私の前に並んでいたファン達が全員(本当)、使命感に駆られるように抱き枕カバーを買い求めだしたり、

 私も負けじと葉山所長の抱き枕カバー1枚!と言ってお金を差し出した直後に隣のレジに並んだひとが同じ注文をして「あっ、今ので抱き枕カバー全種売切れです……」となったりなど色々ありましたが、開演4時間以上前だというのに、オタクたちのエンジンはもうかなり温まっていました。

 そうして時間が過ぎて開場時間となったのですが、入り口でチケットをもぎってもらった先、なぜか存在した抱き枕カバー展示ゾーン(?)というイカガワ=シ・ゾーンを超えた先にも何故か長蛇の列が。

 なんだなんだ!?と思ってみると、最終回のラストでCDショップに飾られていた等身大RISEポップが設置されておりまして、それの撮影待ちの待機列。
 一応並んでみたのですが、このままだと列がはけるまでに開演時間に差し掛かってしまう……ということで、係員さんの指示で撮影待機列はストップ。終演後にまた撮影できますとの言葉で、私を含むオタクたちは一旦解散し、ホール内へと入っていくのでした。

◆イベント開始

 イベントスタート。
 登壇したキャスト陣からの簡単な挨拶の後、始まったのは本編のイチオシシーンの振り返りコーナーでした。
 各キャストさん達が事前に選んだシーンの映像をみんなで見ながら、半ばコメンタリーのようなカタチで進行していきます。
 全部に触れるとちょっとアレですので、自分の中で強めに印象に残ったやつをいくつか。


第7話 咲希VS理瀬のPK戦

 このシーンを選出したのは小鷹咲希役の岡咲さん。「人生において大事なことを咲希が教えてくれてる」と憧れのような目線で語る岡咲さんの熱はもちろんなのですが、ノノ役の橋本ちなみさんがキャラクターの声帯で度々放つ、

「百合です……!」
「ごちそうさまです……!」

 という雑な百合認定 合いの手が本当に面白くて、このコーナーの後も続く橋本さんの暴走(?)の先触れとして、とても印象的でした。
 橋本さんがこんなにも面白い人だったなんて、私全然知らなかったよ……!


・第12話 エンディングスタッフロールの入り~

 

 高架下でのふたりきりのライブ!……のセレクトと見せかけて実は72か月払いで購入契約を受けたノノのシーンだったというギャップのシーン。
 ここも橋本さんの語りがとてもよくて、ノノの行先に関してきちんと尺を取って描かれていたことへの感動と感謝を語られていました。
 当該のシーンはセリフのない絵だけの部分なのですが、振り返りの際に「陽和さまぁ~っ!」と即興でアテレコしてくださったのが、とてもうれしかったです。

 福原さんとの喋りの流れで、72か月払いを「婚姻届」と表現されていたのも印象深かった。


・第12話 ファイナルステージライブ May-Beeの『HELLO HERO』

 VTRを流しながらコメントに入ろうとしたMCの利根さんを、小澤さんが「だまって!」と遮った結果最後まで見ちゃうことになったMay-Beeのステージ。
 こちらをチョイスしたのは桜井羽月役の阿部さんと、当日体調不良で欠席された大西さん。
 VTRの上映中、客席がメイビーのカラーである黄色のペンライトで埋まる、という画があって、ライブステージではないのにライブをもう先取りしてみてしまったような、そんな感覚を味わいました。
 May-Beeのステージ、やっぱ最高ス……

・第12話 ファイナルステージライブ、『全力challenger』の葉山所長 

 

 陽和役の野口さん、純華役の優木さんがセレクトした1シーン。
 もはや説明不要、エクハスキーはこれのおかげであの夏を胸に刻まれてしまったと言っても過言ではない名場面。
 山野ホール全体が青のペンライトで、作中を再現したかのような青空一色となり、

 映像内で歌を詰まらせる葉山所長へのエールが檀上のキャストや客席の各所から飛び出し、場内はさながら応援上映会。

 まるであの日の神奈川ステージにいるような錯覚、劇中そのもののような状態に感極まって、私もこの時は涙を流しながら青のペンライトを振っていました。

(まさかライブ後半にそのものをぶつけてこられるとは……この時夢にも思っていませんでした)


 優木さんの、

「スノーウルフもわかってる。大丈夫って聞いてからの(ギター)ソロだからね」
「たくさんのキャラクターが出てきて、1話から出させてもらっているけれど、このシーンを見てExtreme Heartsは陽和のストーリーなんだなとすごく思った」

 という一連のコメントに、エクハ分り手としての優木さんの信頼度の高さというか、「凄み」を改めて感じました。

 普通ちょっと好きくらいじゃギターソロが始まるタイミングまで読み込まないですし……なにより短い言葉で芯となる部分を伝えるのが本当にお上手で。

 こちらのVTRを流している間、登壇されているキャストのかたがたがガヤやコメントを挟む中、野口さんはマイクを口元から遠ざけて映像をじっと見ておられました。

 その様子が、個人的に、なによりとても強く印象に残っています。

 この振り返りコーナーは、大スクリーンに上映されるエクハをみんなで観るという、なんだかんだみんなやりたかったけどやったことがない催しで、エクハの持つ絵的な良さ、音的な良さ、そしてライブシーンの没入感の三点を体験できたのがすごくよかったです。

 最終回のステージは特に、テレビの前の視聴者を劇中に取り込むような、現実と虚構の境界に引き込むような面があるので、尚更。
 いつか、本当にどこかで応援上映会というカタチで劇場で見てみたいなと、本気で思いました。
 だってそんなの絶対盛り上がっちゃいますよ!!



◆クイズコーナー

 アルバムのリリイベで行われたクイズエクストリームハーツ!の続編企画、「エクストリームハーツ ハイパークイズ」
 今回はRISEとMay-Beeに分かれての対決形式です。
 このコーナーのために、本編を見返しながらクイズで出そうなところを要チェックしていた人も多かったのでは?

 前回激ムズすぎる問題の連発に話題を攫ったクイズコーナーでしたが、今回のクイズの難度は全体的にいい塩梅で、ハチャメチャな理不尽感は大分少なかったように思いました。
(6フレームしか映らないうどん屋さんは流石にわかりませんでしたが!いい盛り上げにつながっていたと思います。コレコレこの難しさだよ!みたいな)

 私自身はうどん屋さんの名前とノノの髪色選びを間違えてしまったので、まだまだ精進が足りないなということで。
 とはいえ焼肉無料券の期間、自信あったから私も手を上げればよかったなーと後からめちゃくちゃ思いました。

 クイズ自体もとても楽しかったのですが、視聴者投稿問題のどれもが、界隈で名前を見かけたことのある人達からのものだったのでめちゃくちゃ笑えたのも、このコーナーの中身とは別の部分で笑いどころでした。
 世間って、狭い。

 そうしてクイズ対決に勝利したMay-Beeチームは商品獲得を賭けてゲームに挑戦することに。

 ここで唐突に現れたのが、おそらく会場内で知っている人がほぼいなかったであろう

手作りで作るのもオツなものらしいです

 コーンホール。

 元々がホビー出身の競技ということで、どこかハイパースポーツと被るところもあるコーンホールですが、後にツイッターで知った情報によると、得点が入ったらダンスを踊るのだとか。そんなところまでエクハとの親和性が……?運営さん、そこまで狙ってコレを……マジ……?

 間違いなく会場の99%の人がルールを知らない競技だったのですが、逆に細かいルールを誰もわかっていないからこそのよくわからないアツさというか、謎の盛り上がりを見せていました。

 大西さん不在の関係でチーム人数に偏りがあったため、

「裏切ります!!」(ノノ声帯)

 メイビー側に引き抜かれた橋本さんのプレーから、更なる得点につなげた阿部さんのミラクルに会場は大盛り上がり。流石!
 無事黒毛和牛をゲットしホクホクのメイビーチーム。

 しかしこのままRISEだけなにもないのは忍びないということで、羊羹ゲットのチャンスタイムとしてRISEもコーンホールに挑戦することに。

 これがまた中々点が入らずグダグタの様相を呈していたのですが、優木さんの機転を利かせたイカサm……ナイスアシストによってなんとか得点。RISEチームも羊羹をゲットすることに成功するのでした。

 羊羹チャレンジへ挑もうとRISEチーム五人で円陣を組んでいるところに、May-Beeチームからしれっと混ざりに行こうとして威嚇される橋本さんがこれまた愉快でして、今回のイベントのコメディリリーフとして、優木さんと橋本さんは本当にMVP二強という感じでしたね!

 しかしまさか、このレクリエーションがきっかけで、全日本コーンホール協会さんがエクハツイートをふぁぼ爆しまくるなんてことになるとは、この時の我々は知る由もなかった……



◆ラジオコーナー

 ライブパートへの準備のため繋ぎが必要、ということで始まったラジオ番組風のコーナー。
 事前に募集した視聴者からの熱意のこもったお便りやツイッターでのイベント感想の読み上げ、そして物販の紹介などなどが行われました。

 クイズコーナー宛に届けられていたお便りに書いてあった、「できれば橋本さんに読んでもらいたい……」というお願いに応えての「これはファールでーす!」がナマで聞けたのは本当にうれしかったですし、MC利根さんと橋本さんの楽しいネタの振り合いに、会場は終始笑い声に包まれていました。
 まさか、利根さんのナマ「これはファールでーす」まで聞けるとは、、、、、

これはファールでーす(CV利根健太郎)

 この記事の中で、もう何回も橋本さんスゴカッタ的なことを書いていますが、本当に大活躍だったのです。
 利根さんへの無茶ぶりや都度暴走めいたコメントのひとつひとつが本当に面白くて……ノノの声でやると何を言っても面白くなっちゃうというのはズルですね!
 今後、二次創作とかでノノがイジられるときは、この暴走ノノがネタとして擦られるかもしれない……

 そしてラジオの最後、今回のイベントには登壇していないスノーウルフのふたり、ミシェル役の市ノ瀬さんとアシュリー役の瀬戸さんからのメッセージを挟んで、イベントは佳境となるライブパートへと進行していきます。


 瀬戸さんがエクハについて語られる機会というのは自分の記憶ではあまりなかった(初めてに近い?他にあったらスイマセン)ように感じていて、
 アシュリーの好きなところとして「人生を楽しんでいるところが好き」と言っていたのが、今回すごく自分の中で腑に落ちたというか、納得できました。

 誰かのために頑張れるアシュリーという人物が持つ「良さ」……人とエクハ語りをするとき、どうしてもアシュリー単体の話をする機会というのはメインのRISEやラスボスのMay-Beeに比べると少なくなりがちな部分があると思うのですけど、こうして、胸の中にストン、と落ちてくるぴったりな言葉を役者さんから改めて頂いて、自分の中のアシュリー像の解像度が一層上がったというか、そうだよなーアシュリーってほんとイイ人でカッコよくて好きなんだよなぁーと、今一度、彼女の魅力を再確認できたように思います。

 あと最後にコメントとして結ばれた台詞のアシュリーが敬語なのも、こう、良かった、よね……?
(アシュリーは正式な場とか初対面の相手にはしっかりと敬語で話すオトナなんだよなぁ……と浸るオタク)

 今回は叶いませんでしたが、もし次回どこかでイベントがあるならば、ぜひお二人にもイベント出演してもらいたいです。
 その場合、ふたりのペンライトの色は何色になるのでしょうね。


◆ライブパート

・1曲目 インフィニット

 ライブパートのスタートは、エクハのOPテーマでもある岡咲さんのインフィニットから。
 開幕はインフィニットかRise up Dreamのどちらかと踏んでいたので、歌い出しが掛かったときは「おお!」とテンションが上がりました。
 会場は一面ピンクのライトで埋まります。岡咲さんのイメージカラーは本来黄色らしいのですが、ことインフィニットに限っては他所のステージで歌う際にもピンクライトが目立つんだとか。
 この曲はエクハの物語と直接関わっている曲ではないのですが、散りばめられたエクハと親和性の高いワードの数々によって、ばっちりぴったりな看板として仕上がっていますよね。「絆なしに視れない光景(けしき) 輝きの意味がまた増えていくよ」というところの歌詞が好きです。
 真っ白の衣装で歌う岡咲さんの姿はもう本当にキラキラで、コールとともに会場のボルテージをガンガンに上げてくれます。

・2曲目 Buzz Everyday

 続く楽曲は、May-BeeのBuzz Everyday。本編のライブステージで披露することはありませんでしたが、私の脳内ではカットされただけでHELLO HEROと一緒に披露していたことになっています。
 舞台袖から颯爽と現れたメイビー役のお三方は、なんと劇中でも着用していた「あの」衣装に身を包んでおり、それを見た瞬間、何故だか涙腺からブワーッと涙がにじんできたのをとてもよく覚えています。
 どうして泣けてしまったのかは今でもよくわからないのですが、とにかく自然と涙がでてしまって。衣装なんて全く想像してなかったから…でしょうか。
 以降、私の涙腺は緩みっぱなしとなります。
 本楽曲はめちゃくちゃノリノリアップテンポな曲で、景気づけにはエクハ楽曲達の中でも最適な一曲だと思っています。
 イベントレポを書いている人全員が触れているであろう2度にわたる音響機材トラブルも、May-Beeのお三方ととこの楽曲だったからこそ乗り越えられた一面はきっとあったのではないかと。本当、Buzz Everydayだったのは不幸中の幸いでしたよね……ファン達とカメラマンさんでつないだあの僅かな時間のことは、きっと何年経っても忘れないと思います。
 ティーナ役の嶺内さんが引退された関係で、メイビーの曲は歌詞割りが四人用になっており、ティーナの担当部分が御社さん役の大西さんに変わったりもしていたようなのですが、その大西さんも体調不良でイベントを欠席していた関係で、御社さんパートはがっつりCD音源という感じになっていました。
 エクストリームハーツは、全ての楽曲に各キャラのソロバージョンがあるというおかしなコンテンツなのですが、
 全員分のソロがあるって、こういう時便利なんだなぁ……


・3曲目 HELLO HERO

 音響トラブルを乗り越え、Buzz Everydayで場を再び暖めてからの満を持してのHELLO HERO!大好き!!
 この楽曲は、何故か私の中でだけですが不思議とオレンジ色のイメージがあります。
 阿部さんのソロから入る立ち上がりが本当にクールで、その一声だけで場の空気を全部持って行ってしまうこのスーパーパワー。
 アニメ3話のRise up Dreamの入りで観客を釘付けにした葉山所長と同様に、歌の上手い人がたった一声で空間を支配するあの感じ、二人はそういう意味でもやはり似ているのかなとか。


 阿部さんの歌の上手さなんて今更私が語るべくもない話なわけですけど、他のお二人も負けず劣らず、末宗役の大地さんのキャラ声での歌唱の凄さやヒロくん役湯浅さんのポップな歌いまわしも、聞いていて大変楽しく心地よかったです。
 やっぱメイビー最高ですね!!

 退場時にキャラ声で大地さんが「またね~」阿部さんが「後でね」「いい試合だったかな!」とファンサしてくれたのに対して、
湯浅さんの「バイビ~~!」があんまりにも湯浅さんで、私はもうそれがめっちゃ好き

・4曲目 Happy☆Shiny Stories

 正直、今回のライブで聴けると思っていなかった曲でめちゃくちゃびっくりしました。そして役者さんたちの最終回仕様の衣装姿でまた泣く私。

 劇中の振り付けを!!!やってくれてる!!!と理解した時、脳みその興奮物質の分泌してる音が聞こえたような気がしました。

 リリイベで優木さんが「いつか踊りたいね」と言っていたのを勿論覚えてましたし、つないだ~手と手から~♪のところを見たとき、本当に胸がいっぱいになってしまって。

 こう、シャンシャンと右手を上げ下げする振りがあるのですが、客席で小さく一緒にやりながらペンライト振ってました。これ好きなんですよ……観客席はみんな思い思いの色を振っており、それがまたとてもきれいでした。


・5曲目 全力Challenger

「ずっと待ってたんだ、きっと。」

 歌い出しの歌詞ですが、私はこの曲を歌うステージ、その客席に立つためにこの半年間を過ごしてきていたといっても過言ではありませんでした。
 この曲をここで聞くために、この場所で青のライトを振るために大阪から山野ホールまで来ていたのです。
 ずっと、本当にずっと待っていました。

 でもここまでバカみたいに泣いてきたのに、この曲の立ち上がりで私は泣かなかったのです。
 ペンライトを振りながら、染み入るようにみなさんの歌を聞き、パフォーマンスを眺めていました。

 本編と同じ振り付けで踊るRISEチームのみなさん。
 山野ホール全体は一面の青い景色。
 当たり前です。私と同様に、みんなこの光景に立ち会うため、今日ここに集ったのですから。

 曲が進む中で、スクリーンに流れる映像が劇中のあのシーンに近づいていくにつれて、不思議な感覚がありました。

 放送当時の深夜、テレビの前で感じたものと同じ気持ちです。
 あの夜感じた、テレビの前にいながら、どこか自分たちが本当にRISEのステージを見ているような不思議な錯覚。

 今自分たちの手に握られた青いペンライトと、ステージの上で踊る役者さんたち。

 ……ああ、自分は今あの夏、2048年夏の神奈川に来ているんだと、あの光景の一部になれたんだとそう思った瞬間に涙がポロポロこぼれてきて止まらなくなってしまって。
 ペンライトも振らずに、ただその感動に震えていました。


 間奏で、野口さんが語る台詞があります。

「みんなありがとう。本当にありがとう。
伝えたい気持ちはいっぱいあって、言葉にしきれなくて。
だけどこれだけは、全力で伝えます。」

「ほんとに、ほんとに、みんな、大好き────!」

 劇中とは違う台詞。
 最初から最後まで、力強い声で投げかけられた言葉でした。

 ステージ上で感極まり、涙を流したあの日の葉山陽和としての言葉ではありません。

 このステージは過ぎてしまった2048年夏の再現ではなく、その先にある再演なのだと理解したら、もう感情が爆発してしまい、そこからのことはあまりよく覚えていません。
 ただ全力で、どんな時もずっとーーーー!と叫んだことだけ覚えています。


 今考えると、エクハ最終回の全力challengerでああなってしまったという経緯を経て、その上で今度はより高い位置のアイドルパフォーマンスとして間奏部分に「今」の葉山陽和の言葉をしっかり乗せたのがハイパーステージの全力challengerだったのかな────なんて思います。

・6曲目 SUN RISE

 野口さん達による短いMCを挟み、最後の曲として始まったSUN RISE。
 Extreme Heartsの終わりとして、誰もが納得する一曲です。
 みんな、照れずにSUN!RISE!ha~~!を一緒にやりましょう!!(回りのオタク達があまりやってなかったので……)

 本格的なライブやアニメイベントにそこまで参加したことがあるわけではありませんが、最後の曲……と言いながらアンコールがあったりするものですけれど、この曲を歌うと言われたら、エクハファンにそんな不粋極まる真似をする人間はひとりもいませんでした。
 Extreme Heartsのラストはこの曲でないと、という意志で会場がひとつになってたように感じます。

 アニメ本編のSUN RISEに振り付けはないため、本編再現のダンスの要素はない……かと思いきや、エクハがそこで止まるわけがありません。
 本公演では歌わなかったRise up Dreamに似せた振り付けがあり、なんとサービス精神旺盛。

 SUN RISEは本編時系列でRise up Dreamの後に生まれたという設定の曲のため、「もしかして本編外の公演でこんな振りでやってたのかも!」という要素を入れ込んだファンサービス満点のダンス。

 背景に流れる本編ED映像と晴れやかな笑顔で歌うキャストのみなさんと一緒に、最後には会場全体が満面の笑顔で時間を過ごせたのではないでしょうか。

 終わったあと、袖から出てきた利根さんから練習大変だったでしょう?と聞かれた小澤さんの超低音の「……ハイ」は、アーカイブ見る際には必聴です。

◆プレゼントコーナー:奇跡

 ライブパートの終了後、出演者全員が檀上に並び、サプライズのプレゼントコーナーが始まりました。

 なんとエクハのキャラクターデザインを担当してくださっている新垣一成さんが、今回のイベントのためRISE、May-Beeのイラストをそれぞれ色紙に書き起こしてくださったとのこと。
 抽選でそれぞれ観客席の1名様にプレゼント、ということで、代表として野口さんと阿部さんによるクジ引きが始まるのですが…………

幸せすぎてこわい

 こちらが、その色紙の実物です。

 最初は耳を疑いました。
 野口さんが抽選箱から取り出したクジには、私の席番が書かれていたのです。

 なにかの間違いかと思って席番を確認してもばっちり合っていて、そこにスポットライトが飛んできて理解するのに2秒ほどかかってから大はしゃぎです。
 頭が真っ白になって飛び跳ねていたのですが、この時ばかりはなんだか報われたような気がして、いや別に作品を好きな気持ちに報われるもクソもないし上も下もないわけなのですが、なんだかそんな気分になってしまっていました。

 エクハファンの人たちは本当にみんな優しくて、周囲の皆さんみーんな、おめでとうございます!って祝福してくださるんです。
 私が喜びのあまり連番で来ていた友人とハグしたり、飛び跳ねてガッツポーズしてるうちに眼鏡を吹っ飛ばしてしまって慌てふためいていた時も、みんなペンライトで地面を照らしてくれて、私の眼鏡を探してくれて。
 こんなに優しいオタクたちがいるんだ……これが『最高の僕たち』ってやつなのかな……と、人の暖かさに触れて気持ちがフワフワになってました。

 改めて、その節は本当にありがとうございました。お世話になりました。
 優しいエクハのオタク達のことが、私は大好きです。


◆手紙

 そしてキングレコードの偉い人、三嶋総合プロデューサーからの手紙が読み上げられました。
 当然ファンであれば続編なりなんなりの新規展開の報に期待するところでしたが……

『エクハは世間的にヒットしたとはお世辞にも言えない。それでもファンの熱量は高いしグッズはしっかり売り切れるし、これをここで終わらせるなんてとてもじゃないけれど受け入れられません!』

 現実的にキビしい採算の話の上で、ファンに寄り添うような言葉を伝えてくださった三嶋Pには、感謝の気持ちしかありません。

 今、明確にコンテンツの未来を約束することはできないけれどそれでも、と新曲制作のお話をしていただけて、これからもエクハが続いていくこと、ほんの少しでもそんな希望の光が見えただけで、十分すぎるくらい幸せなメッセージでした。
 これ以上を今望むなんて、きっとバチがあたってしまうかも……そう思います。

 いつかうれしいニュースとして大々的に2期制作が報じられるよう、我々エクストリームハーツァー(造語)たちひとりひとりが、気持ちを絶やさずに応援していきたいですね。

 エクハの「売れているわけではない。それでもその結果だけが全てではない」という状況が、本編開始時の葉山所長にダブる部分があるというか、つまりはここから昇っていくしかないというわけで。

 何にも言える材料がない中で、それでも偉い人が、言えるギリギリのラインまで寄り添ってくれたこと。
 少なくともその心意気は絶対に忘れてはいけないと思います。

 あとこれはネタなんですけど、利根さんが「えらい人から手紙が!」と便せんを取り出したとき、本編の契約解除のシーンが思い浮かんだ人は私だけではないです、よね……?


◆イベント終了

 閉会の挨拶。各役者さんのコメントと共に、イベントは締めくくられました。

 挨拶で印象的なのは、やっぱりエクハガチ勢こと優木さんの言葉でしょうか。

「最後かもしれないと思って」と語る優木さんの心境を想像すると、今でも胸がキュっとします。

 この日、ファンも演者さん達も「これでエクストリームハーツ、終わってしまうのかな……」と、
 誰もが最後かもしれないと思ってこのイベントに臨んでいたと思います。
 全体からどこかそんな雰囲気が漂っていて、正直なところ不安7:期待3くらいの塩梅だったのではないでしょうか。

 コメントの中で「本当にタイトなスケジュールで……」と何度も役者さんたちが繰り返していた通り、きっと我々ファンが思うよりもずっとメチャクチャな工程を押して、みなさん必死に今回のステージを作ってくださったのだろうと考えると、本当に感謝の極みでした。

 そして最後に、
「何やら雨も止んでいるらしいですよ~?ww」
 という言葉で〆た優木さん。

 SUN RISEを歌ったあとにコレをお出ししてくるの、やはり強者すぎます。
 いつかどこかで、優木さんのエクハ語り配信とか聞いてみたいのですが……?ツイッタースペースとかでワンチャンありませんか…?

 閉会後、実際に外の雨は止んでいて。
 空は依然として曇っていたけれども、いずれ晴れるであろう青空へと思いを馳せることができたことまで含めて、なんだかちょっとエクハっぽかったのでした─────


◆最後に


 最高のイベントでした。
 今回のイベント、いやエクハに関わったすべての関係者様、そしてイベントを楽しんだすべてのファンに感謝を。

 エクハ好きな人間が100人以上集まる空間なんて前代未聞、と以前リリイベの記事でネタにさせていただいていたのですが、今回で最大値を余裕で更新です。
 800人のエクハ好きが一同に会する時間。
 あそこにいた全員がエクハのことが大好きで、この時間が終わってほしくないと願っていたということを信じられる奇跡のような空間でした。
 公式が一度もネタにしたことのない最前列ラーメンで歓声が沸くような環境、作ろうと思って作れるものではないです。そういう意味でも奇跡的です。

 オリジナルアニメの成否というのは、一般に原作付きアニメよりも結果が出るのに時間がかかることが多いそうです。
 放送中に売れる商品が少なくて、放送終了後のタイミングだとモノを売るには時期が過ぎていることも多いからですね。
 3か月前とかに見ていたアニメのグッズを今ふと見かけて買いますか?というお話です。

 そういう意味で、エクハのボルテージの高さは強かったと思います。
 放送が終わって半年経って尚、高い熱量を維持し続けたこと。
 それをこのイベントで如実に感じました。
(最後かもしれないだろ……?ブーストが働いていたというのを加味しても)

 みんながみんなご自身のレポで書いておられるのであまり本記事では話題にしていませんが、「Buzz Everyday」の時の音響トラブルなど、仮にもしこれが本当にラストステージでの出来事だと考えたら頭が痛くなるような要素が多々あった中で、結果的にファンの頑張りをきっかけにして場がつながった、という場面があったじゃないですか。

 これって別に、最前列ラーメン兄貴だけがエラかったとか、自作Tシャツ兄貴がエラかったとかそういう話ではなくて(いえもちろん正直みなさんMVPだと思ってます!)。
 そういう個人の話でなく、ファンも、スタッフさんも、全体を構成するひとりひとりの熱量が高かった。それが結果的にああいう流れにつながったし、同様に新曲作るよ!という話につながったのだと思うのです。

 そういうそれぞれの力が実を結んだのがあの「つなぎ」の時間だったし、最前列ラーメンであったし、自作Tだったし、May-Beeコールだったし──なにより橋本さんのノノ達ロボチームによる楽曲希望の話や、イベント、そしてコンテンツそのものが未来へ向かう明るい雰囲気で終われたという、最高に晴れやかな帰り道だったのだと。

 全員がつないで、全員がいたから試合が勝利で決着するのがエクハですから。
 ある意味で、あの日の奇跡、あの夢のような時間はとても「エクハらしかった」と感じています。

 そんな一幕は、残念ながらアーカイブでは編集で切られてしまったけれど……現地で、配信でリアタイした人たちの心の中で語り継いでいきましょう。
 何年かして、あの夢のような時間を共有した仲間たちで「そんなこともあったね」とまたイベント会場で笑いあえるような、そんな未来が来ることを願っています。

 半年感待ち続けて、人生で一番楽しかったアニメイベント。「Extreme Hearts × Hyper × Stage」。
 それは終わってしまったけれど、まだまだここからがむしろスタートです。
 楽しい時間は、きっとこれからも続いていきます。

 だってよ……まだ俺たちRise up Dreamも大好きだよって叫ぶんだもナマで聞いてないんだから─────!!!!

ありがとうと大好きを込めて!!


◆おまけの話

 色紙を頂戴できるということで、退場の流れで窓口へと向かった私。

 係員さんに話しかけると、氏名確認など諸々手続きをすることに。

 係員さん「実はキャストさんにサインを書いてもらう予定がありまして……少しお待ちいただけますか?」

 とのこと。
 その時の私は幸福感の絶頂にいるわけですから、待ち時間くらい屁のツッパリ。1時間くらいかかっても全然チャラヘッチャラなテンションです。

私「そんな素敵な心遣いまでしていただけるなんて!ちなみにどのくらいですか!30分くらいですか!?」←しかし少し打ち上げの予約時間を気にしている

係員さん「そこまではかからないかと……5分か10分程度だと思います」

私「待たせていただきます!!」

 というようなやり取りのあと、ほんの5分後くらいに色紙は窓口に届き、無事頂戴することができました。

 その場では開封せず、ウキウキで会場を後にし打ち上げ会場へ向かう段取り。
 その道すがら、チラッ……と色紙を開封してコソコソ見てみると、





─────そこに、キャストさんのサインは、入っていなかったのでした。



終わりでーす!!

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?