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[日刊]日銀の政策修正は待ったなしだが、それでも緩和的に変わりはない

こんにちは、GOEMONです。

10月20日(金)のレポート。

このnoteでは前日の米国市場から当日の東京市場までの株式投資、経済に関するニュースや出来事をまとめたレポートを平日18時を目安に投稿しています。

自分では2~3時間かかる量のニュースをこの記事1つで済むよう、可能な限り網羅し、要点をまとめています。

さらに深掘りしたい方は「ニュースメモ」から各ニュースのリンク先を御覧ください。

※本日は米国株は別記事で昼間にアップしています。↓記事


■日本

10月20日の東京株式市場は続落となった。

日経平均:31,259.36円(-0.54%)
TOPIX  :2,255.65(-0.38%)
マザーズ:657.30(-0.34%)

前夜の米市場でパウエル議長を筆頭にFOMCメンバーが金融引締姿勢を緩めなかったことで米長期金利が4.99%まで上昇し、引き続き株式市場にとっては悪いニュースが続いている。

9月の消費者物価は13ヶ月ぶりに3%割れ

朝方には国内の9月 CPIが発表された。

前年比(内は市場予想)
生鮮食品を除くコアCPI:+2.8%(+2.7%)
生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPI:+4.2%(+4.1%)
政府による電気・ガス価格支援策の影響を除いたコアCPI:+3.8%

13ヶ月ぶりにコアCPIの前年同期比が3%を下回ったものの、日銀の目標である2%を優に上回る状況が続いている。

10月30日、31日の日銀会合では日銀の物価見通しが更新されるが、7月の段階での2023年度のコアCPI見通しは2.5%だった。

政府によるエネルギー価格支援策が無ければ9月のコアCPIは前年同期比+3.8%であり、足もとのエネルギー価格推移を見ても今会合の物価見通しは上方修正せざるを得ないだろう。

長期金利は一時0.845%へ上昇、日銀は政策修正待った無しか

昨晩の米長期金利5%への上昇と上記の9月CPIの発表を受けて朝方の債券市場で10年債利回りは10年ぶりの高水準となる0.845%へ上昇した。

今月末の日銀会合で緩和政策が修正されるのではないかという見方が強まっている。

前々から植田日銀総裁は「賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定の目標を見通せる段階に来れば、政策の修正を当然検討することになる」と発言している。

そのため、先に述べた通り今会合で物価見通しを引き上げるのであれば、あとは"賃金の上昇が伴うか"が鍵になる。

そして、こちらの方も見通せる段階に来つつあるニュースが多く見受けられる。

連合、来年春闘で定昇分含め「5%以上」の賃上げ要求へ-報道
サントリーHD7%賃上げで高まる機運 24年、大手に余力
賃上げ二極化、持続力に試練 連合「5%以上」要求

直近数日間だけでも多くの賃上げに関するニュースが流れてきており素人目からすれば、インフレ率の高止まりと合わせて十分な材料にも思える。

が、日銀のスタンスとしてはこの段階に来てもまだ緩和的な姿勢を貫く可能性も高そうだ。繰り返し植田総裁が述べている賃金上昇を伴う物価上昇の芽を摘んでしまうリスクを嫌っているからだ。

それゆえに、こうしたデータが出てきている中でも本日の全国信用組合大会で植田日銀総裁は「経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく」と発言している。

参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-20/S2T53ST0AFB401?srnd=cojp-v2

最終的にはどう転ぶか、予想することは困難な会合になりそうだが、繰り返しこのnoteで述べてきたようにマイナス金利とYCC撤廃があろうと、日銀が緩和的な政策を継続することに変わりはないということだ。

マイナス金利からゼロ金利、YCC撤廃で長期金利が0.85%から1%~1.25%になっても欧米諸国の金融引締具合と比較すれば緩和的なことに違いはない。

これが来年後半から徐々に利上げしていくとなれば話は変わるが、今のところそのような予定は微塵もない。

ただ、相場全体の雰囲気としては米株安を受けてズルズルと今後数ヶ月、はたまた1年近く下がるか横ばいが続く可能性もゼロではない。

しかしながらその中でも国内売上の比率がある程度高く、業績が安定している日本企業に関しては、国内経済が順調であれば叩き売られることは無いと見ている。

週間ベースでは日経平均は- 3.3%となっているが、引き続き優良銘柄に地道に仕込んでいきたい。

■為替

米金利高と日本当局による為替介入警戒で揺れるドル円市場は20日夕方に2週間ぶりとなる1ドル150円となった。

昨晩の米債券市場で長期金利が5%に上昇したことや、植田総裁が粘り強く緩和を続けていくと発言したことが材料視されていそうだ。

ただ、150円台に乗せた後にドル高円安が続くこともなく今月末の日銀会合とFOMC会合までは様子見ムードも流れている。

パレスチナ情勢もどうなるかわからない不透明な状況が続いており、日本の政策事情よりも世界情勢と米国金利事情がどうなるかで今後の動きが変わってきそうな展開だ。

いずれにせよ今ここで一方向の為替に張るのは単なるギャンプルでしかなく、1/2の確率でくじを引きたいのであれば別だが、中長期投資家の方は特に手を出すメリットもないだろう。

今月末の会合後に方向感が定まっていれば、その方向にベットするのが妥当だ。

それでは良い週末を!

ニュースメモ

■日本

▼株式市場

海外勢4週間ぶり買い越し、米金融引き締め懸念後退-日本株10月2週
日本取引所グループが19日発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家は10月第2週(10-13日)に現物、先物を合わせて7837億円を買い越した。4週ぶりの買い越しになる。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者などが金利上昇に配慮する考えを示して金融引き締めへの懸念が後退、週前半に日本株は大幅に上昇した。

日本株は続落、高水準の米金利が重し-輸出関連や金融安い
20日の東京株式相場は続落。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が追加利上げの余地について言及して米国金利が上昇、投資家心理の重しとなっている。電機や自動車、機械、精密機器など輸出関連株、保険や銀行といった金融株が安い。

【日本株週間展望】荒い動き、米金利や中東警戒続く-決算一喜一憂も
10月4週(23-27日)の日本株は、米国の金利上昇や緊迫する中東情勢への警戒でボラティリティーの大きい不安定な相場が続く見通し。国内外で主要企業の決算発表が本格化し、業績動向に一喜一憂する展開も予想される。

▼経済指標

9月消費者物価2.8%上昇、13カ月ぶり3%割れ-電気・ガス代下落
総務省の20日の発表によると、コアCPIは前年比2.8%上昇と、前月の3.1%上昇から伸びが鈍化した。事前予想は2.7%上昇だった。
政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業の影響を除いたコアCPIは3.8%上昇。生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは4.2%上昇と3カ月ぶりに伸びが鈍化した。市場予想では4.1%上昇が見込まれていた。
サービス価格は前年比2.0%上昇と前月から横ばいだった。

日銀 物価見通し上方修正か 金融政策に影響も

食費が圧迫、細る家計 エンゲル係数40年ぶり26%超
消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は26%を超え40年ぶりの水準に達した。
9月の消費者物価指数では生鮮食品を含む食料が前年同月比9.0%プラスと高止まりする。賃上げの波及は鈍く、消費の弱含みが長引きかねない。
生鮮食品を除く食料は8.8%プラスで、23年8月の9.2%から伸び率が鈍化した。

▼債券市場

かつて絶滅のトキ保全、ESG債が一翼担う-発行ラッシュの日本で
石川県はトキが生息していた環境の保全・継承などに充てるため、同県として初のグリーンボンド(環境債)を発行する。主幹事のみずほ証券が19日に明らかにした。年限は5年、発行額は50億円で、利率などの発行条件は来年2月ごろに決める見通しだ。

長期金利が0.845%に上昇、2013年7月以来の高水準
20日の債券市場で長期金利は0.845%に上昇し、2013年7月以来の高水準を付けた。米国で高水準の政策金利継続懸念から長期金利が5%付近に上昇したことや、日本銀行の早期政策修正への警戒感から売りが優勢となっている。

日銀、5年物の共通担保資金供給オペを通知-24日に実施へ
日本銀行は20日午前、貸付期間を5年とする共通担保資金供給オペレーションを24日に実施すると発表した。通知額はオファー時に発表する。貸付利率を入札で決める金利入札方式で実施する。同オペの実施は10月6日以来。

債券は上昇、日銀が共担オペを通知ー長期金利10年超ぶり水準から低下
20日の債券相場は上昇。米国の長期金利が5%に接近した流れを引き継いで売りが先行したものの、日本銀行が5年物の共通担保資金供給オペを通知したことで買い優勢に転じた。長期金利は10年3カ月ぶりの高水準から低下している。

債券15時 長期金利0.835%に低下 超長期債は売られる
20日の国内債券市場で指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.005%低い0.835%で推移している。日銀が20日午前、幅広い担保を裏付けとして資金を供給する「共通担保資金供給オペ(公開市場操作)」を24日に通知すると発表した。金利上昇を抑える姿勢を示したことから中長期債に買いが入った。

新発20年債利回りは前日比0.020%高い1.635%と13年9月以来の高水準をつけた。足元では1.625%で推移している。

▼要人発言/アナリスト見通し

機動的に対応しつつ粘り強く緩和継続、不確実性極めて高い-日銀総裁
「内外の経済や金融市場を巡る不確実性が極めて高い」
都内で行われた全国信用組合大会であいさつした。
「経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく」とした上で、「賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指していく」と語った。

▼コラム

アジアで金融引き締め再開論 インドネシア驚きの利上げ
アジアの各中央銀行が金融引き締めを再開する可能性が出てきた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げがなかなか終わらないとの見方がアジアの金融政策当局者や市場関係者の間で強まり、追随が不可避とのムードになっている。

▼その他

首相が所得減税を指示、定額検討 宮沢氏「1年が常識」
岸田文雄首相は20日、税収増を国民に還元する方策を検討するよう与党の幹部に指示した。期限つきの所得税減税を政府の物価高対策に盛り込む。政府・与党は年収に関係なく同じ額を所得税から差し引く「定額減税」を検討する。ガソリンや電気への補助金などに加えてバラマキ政策が続けば財政再建も遠のく。

コンビニ売上高、9月は3.5%増 客単価は1年ぶり減
日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表した9月のコンビニエンスストアの既存店売上高は前年同月比3.5%増の9352億円だった。厳しい残暑を背景にアイスクリームや冷やし麺、飲料などの販売が伸びた。19カ月連続で前年実績を上回った半面、既存店客単価は12カ月ぶりにマイナスに転じた。
「電子たばこの値上げを前に駆け込み需要があった昨年の反動減が大きかった」
客単価の低下が一時的なものなのか今後の動向に注目が集まる。

■中国

中国株、経済再開に伴う上げ全て失う-不動産危機で外国勢警戒
20日の中国株式相場は下落。不動産セクターの健全性に対する根強い懸念が本土からの外国資金流出を招き、新型コロナウイルス禍後の経済活動再開に伴う上昇分を全て吹き飛ばした。

■為替

ドル・円は149円台後半、パウエル議長発言など材料混在で方向感欠く
朝9時
20日の東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=149円台後半で推移。海外時間はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受けて上下に振れる場面があったものの、149円台後半の狭いレンジでのもみ合いにとどまった。
ドル・円相場は米長期金利上昇に伴う日米金利差拡大が下値を支える一方、介入警戒感が上値を抑える構図が続く

為替相場は安定的な推移が重要と鈴木財務相-1ドル=149円台後半
鈴木俊一財務相は20日の閣議後会見で、為替相場が1ドル149円台後半となっていることを受け、「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」との見解を示した。

来週のドル・円は150円意識しもみ合いか、不確定要素多く方向感欠く
円、一時150円台に下落 3日以来
20日夕の外国為替市場で円相場は下げ幅を広げた。17時20分ごろに1ドル=150円00銭と、3日以来およそ2週間ぶりに150円台に下落した。日本時間20日早朝の取引で米長期金利が一時5%台にのせるなど上昇基調が続き、日米の金利差に着目した円売り・ドル買いが出ている。

■コモディティ

原油先物が上昇、週間で2週連続高の方向-中東の地政学的緊張高まる
北海ブレント12月限はシンガポール時間午後1時(日本時間同2時)時点で、1%高の1バレル=93.27ドル。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は1.2%高の90.42ドル。


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