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地域おこし実例 「付知ヒノキの高級ねこプランター」裏も表も語ります。第1話:売れない理由から、売れない理由を見つける

コロナの影響で新規事業が立ち上がり、一カ月で一千万の売上が出来た

 2020年2月、新型コロナウイルスの影響が始まりました。毎月、全国への出張で忙しくしていましたが出張の9割がキャンセルとなりました。
 移動時間がないと時間に余裕があるので「そうだ!このあいた時間で何かやってみよう!」と思いつき「地元の商材を全国に売ってみる」挑戦をしました。

まず先に結果をお知らせします。7月には販売数ゼロ個、8月は30個売れ、9月には2000個売れました

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 この商品は「木製植物プランター」です。これを形も作り方も何も変えず、販売価格は2倍に値上げして売りました。
 noteでは、一個も売れなかった不人気商品を2倍に値上げして一カ月2000個売り一千万新規事業をコロナ渦で作り上げた仕掛けを、数回に分けてお届けします。

もともと、中学校の木工体験授業用の教材として作られた商品

 この木製植物プランターは、中学校の木工体験授業用の教材として開発されました。
 植物プランターは、白木のまま塗装をしていません。
・森林と地球と人との関連を学んでもらうための教材
・白木の植物プランターに土を入れ植物を植える
・水やりを続けると木は腐って土にかえる
 こうした自然の循環を中学生に学んでほしくて、あえて塗装はしていません。

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 木製品教材は、丸太を切り倒し乾かし、板状にして乾かし、部品取りができるように表面を整え「木取り」と言われる部品寸法にカットし、部品表面を磨き角も落として、やっとで部品が完成します。この工程の特徴から、必要数以上に製品数が作られます。

 授業に使ったあまりを、地元で開催される木工イベントで毎年格安販売していました。ところが、今年はコロナの影響でイベントが中止となりました。部品となってしまった木製品は、どんどん日焼けして価値が落ちていきます。そこで「この在庫を売り切りたい」と考えました。これが、今回の取り組みの切っ掛けでした。


売れない理由。あなたならどうやって売れる理由に変えますか?

 まずは一カ月間、ただ店頭に並べてみました。実際のお客様の声を拾うためです。

 お客様に勧めると、買わない理由を教えてもらえました。
・塗装していないから腐る
・塗装していないから外で使えない
・鉢カバーにしようとしても塗装していないから濡れたらイヤ
・室内に置いておくには大きすぎる、重い
・デザインがカッコ悪い
・植物は育てない
・子供が中学校の時に作って持ち帰ったけど使わないうちにどこかにいってしまった

以上がお客様の声から分かった売れない理由です。なんと不人気な商品でしょうか・・・接客しながら気分が凹みまくりました。

塗装する?
大きさやデザインを変える?
植物好きな人を探す?
タダで手に入ったけど使わなかった人はどうする?

売れるようにするためには、この売れない理由を何とかしなければいけませんでした。
そこで・・・

商品仕様ではなく、ターゲットを変更する

 そもそも、この商品を欲しいと思う人がいないから買われないのです。誰も買わないのはターゲットが間違っているのではないかと考えました。スタッフたちと「新しいターゲットは誰だ?」とブレインストーミングを行いました。すると猫を飼っているスタッフが「うちの猫ここに入るかもしれません」と言いました。
 SNSで検索してみると、道路上に設置してあるプラスティック製プランターに実際に猫が寝そべっている写真が上がってきました。どうやら猫はプランターのような形のものに入る性質があるようです。木製でも入るのかしら?

じゃあ!実験だ!!

 スタッフに、自宅部屋に木製植物プランターを設置してもらいました。二匹の飼い猫が順番に中に入り、しばらくしてぐっすり寝る姿も見られました。

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その姿が・・・可愛らしい。
猫が風呂に入っているようでした。
猫の飼い主であるスタッフは写真を撮りまくりました。

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実験は成功です。
木製植物プランターは猫ベッドになりそうです。

 でも、すぐに販売は出来ません。本当にコレを欲しいと思うお客様がいるのか調べてからです。再び実際のお客様の声を聞くために観光客が集まる場所にテントを張り、実物商品を並べてみました。

お客様の声で「これは売れる!」と確信する

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 テントの前を通り過ぎる観光客。その95%は素通りですが5%が立ち止まります。彼らには「猫を飼っている」という共通点がありました。そして、同じことを質問してきます。

「何キロの猫まで入れますか?」
「うちの猫は3.5キロなんだけど入れるかな?」
「うちの子は6キロだけど大丈夫かしら?」
「うちのニャンズは5キロと9キロなの」
「うちのは長毛種で大人になると10キロを超えるけど大きいサイズはある?」
と、自分が買っている猫の体重を伝え、このサイズで入るかを質問してきました。

 ターゲットを植物好きな人にしていた時は1つの質問も出ませんでした。ところが、ターゲットを「猫を飼っている人」に変えたとたんに具体的な質問を沢山されました。
 商品を使うとしたら?と想像できるから質問がでてきます。つまり、具体的な質問がでる商品は売れるのです。


売れない理由は、そのまま売れる理由に変わる

ターゲットを「植物を育てる人」から「猫を飼っていて、体重まで知っている猫愛の強い人」に変更しました。すると、売れなかった理由が全て売れる理由に変わったのです。

・塗装していない→猫の健康の為に自然木が良い
・塗装していない→ヒノキの良い香りが部屋にただよう
・室内に置いておくには大きすぎ重い→猫が入っても、底で爪とぎしても安定
・デザインがカッコ悪い→猫が隠れる丁度良い形
・デザインがカッコ悪い→猫が気に入れば問題なし
・植物は育てない→猫が入らなかったら植物を入れることもできる
・子供が中学校から持ち帰ったけど使わなかった→全国の猫を飼っている人に買ってもらえばよい


売れない理由となっていたことが全て売れる理由に変わりました。
ターゲットが明確になると、売り方にも具体性が出てきます。

6~9カ月の予約待ち商品に育っています
(2020年12月19日追記:生産体制の見直しで4~5カ月待ちに改善しました)


商品名も変更しました。
「植物プランター」から「付知ヒノキの高級ねこプランター」になりました。付知は「つけち」と読みます。この商品名には「物語」が隠してあります。次回は、ターゲットとなる人にどうやって知ってもらうかの土台となる「物語の作り方」をお伝えします。楽しみにまっていてくださいね。

付知ヒノキの高級ねこプランターのご予約はゴシンボクのホームページから出来ます

ゴシンボクのホームページのトップに「予約専用フォーム」を設置しております。https://goshinboku.amebaownd.com/



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