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ハーベスト・メールマガジン 7月11日(月)「参院選後の国内政治」

2022年7月11日(月)ハーベストタイムメールマガジンより

 「参院選後の国内政治」

 起ってはならないことが起りました。7月8日(金)、安倍晋三元首相が奈良市内で男に銃撃されました。街頭演説中のことでした。日本の主要紙は「安倍元首相撃たれ死亡」という見出しを掲げていますが、欧米のメディアは、「assassination」(暗殺)という用語を使っています。これは間違いなく暗殺であり、テロです。
 週末は、重苦しい気分で過ごしました。心の奥底に鉛の塊を抱えているような感じです。みなさまも同じだと思います。今回は、「グローバリズム対ナショナリズム」という視点から、参院選後の国内政治を予測してみます。
 
混沌とする国内政治
(1)欧州では、フランスのマクロン政権と英国のジョンソン政権が、試練の時を迎えています。マクロン大統領とジョンソン首相は、ともにグローバリストとして知られています。その彼らが試練に遭遇しているということは、グローバリズムが壁にぶち当たっているということです。
 グローバリズムとは、グローブ(地球)全体を運命共同体と見なして、世界のグローバル化(ネットワークの構築による世界の一体化)を推進する思想です。その先導役を果たしているのが、世界経済フォーラム(WEF)です。WEFは、スイスのコロニーに本部を置く非営利財団ですが、スイスのダボスで開催される年次総会「ダボス会議」でよく知られています。彼らが推奨するテーマは、「グレート・リセット」です。彼らは、「経済、社会、教育、農業などの分野をリセットする必要がある。社会全体の益になるシステムを構築する必要がある。そのためには、より強力な政府が必要とされる」と主張します。これは、マルクス主義の主張と重なります。「green economy」(緑の経済)は、彼らが好んで使う用語です。持続可能な経済という意味ですが、これは、全体主義的技術家統治システムと同義語です。「気候変動問題」は、グローバリストたちの戦略的武器となっています。
 グローバリストたちは、成就することのない「平和」と「安全」を約束しています。しかし、彼らが志向する世界政府とは、エリート集団が支配する、自由と繁栄が制限された体制です。これは、独立した政府や個人の自由を支持する聖書的価値観とは対立します。

(2)仏では、先月の下院選で与党連合が大敗を喫しました。与党連合が獲得したのは250議席で、過半数を大幅に割り込みました(単独で法案を可決できる数には39議席不足)。マクロン大統領は、7月4日に内閣改造を発表し、2期目の政権運営を開始しました。しかし、野党勢力(極右や左派連合)は連立の可能性を否定していますので、新内閣の前途は多難です。仏の政治状況は、グローバリズムからナショナリズムに移行していくと思われます。

(3)英国でも同じような現象が起っています。ジョンソン氏は、現代の英国に変革をもたらすと誓って、首相に就任しました。短時間のうちに欧州連合(EU)からの離脱を決行し、総選挙にも圧勝しました(2019年12月)。初期の段階では、国民の圧倒的支持を得ることができましたが、時間の経過とともに、人格的問題(嘘をつく)や能力不足が露呈し、国民の支持だけでなく、閣僚からの信頼も失いました。保守党議員の間では、ジョンソン首相では選挙に勝てないという危機感が広がっていました。
 7月7日、ジョンソン首相は、保守党の党首を辞任する方針を発表しました。後任が決まるまでの期間、暫定首相にとどまる予定です。英国の政治状況もまた、グローバリズムからナショナリズムに移行していくことでしょう。

(4)米国のバイデン大統領が不人気なのは言うまでもありません。ラスムセンレポートによれば、バイデン大統領の支持率は37%、不支持率は61%です(7/8)。
 2020年の大統領選に不正があったと考える人は52%、そうは考えない人は43%です。
 11月の中間選挙で不正が行われると考える人は50%、そうは考えない人は41%です。
 11月の中間選挙まで約4か月ですが、現時点で、共和党の支持率は民主党よりも8%高くなっています。このまま行けば、共和党は大勝するでしょう。
 米国の政治状況も、グローバリズムからナショナリズムに移行しつつあります。

(5)参院選後の国内政治はどうなるのでしょうか。筆者なりの感想を述べさせていただきます。
 予想どおり自民党が圧勝しました。しかし、中長期的には、自民党は試練の時を迎えることでしょう。安倍元首相の死去により、党内力学が激変する可能性があります。選挙直前の派閥勢力は、安倍派が94人、茂木派が54人、麻生派が49人、岸田派が44人、二階派が42人でした。最大派閥である安倍派は、中心人物を失ったために、発言力が弱まると思われます。そうなると、「岸田、麻生、茂木」の3派閥が主流派を形成する形成する可能性が大です。問題は、その中に大局観をもって政治を引っ張っていける人物がいるかどうかです。
 岸田首相は、親中・親韓で知られています。政治的スタンスは、グローバリズムを志向しているように見えます。今後岸田首相が、グローバリズムへの傾斜を強めるのかどうか、筆者は大いに注目しています。なぜなら、大局的な国際情勢の理解が、日本の国防政策、防衛費の問題、経済対策、エネルギー政策などの重要課題に大きな影響を与えるからです。

(6)山上徹也容疑者が安倍氏を暗殺した動機は、ある宗教団体への恨みを晴らすためであって、政治目的はないと報じられています。この宗教団体は「世界平和統一家庭連合」(旧名称は、世界基督教統一神霊協会)ですが、主要メディアでは、この名称を伏せています。不思議なことです。母親の山上洋子氏は、今も奈良市の統一協会の集会に集っているようです。筆者が気になるのは、この事件は単独犯なのか、あるいは黒幕がいるのか、という点です。時とともに、その点も明らかになることでしょう。神様が、この悲劇的事件をも良きに変えてくださることを期待します。
 最後に、グッドニュースです。兵庫県在住の金子道仁牧師(日本維新の会 比例代表)が当選されました。快挙です。今後のご活躍をお祈りします。

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