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正絹の着物に防虫剤はいらない

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本日のお題:正絹の着物に防虫剤はいらない
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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先週にも書きましたが先週からメルカリに出店致しました。楽天やAmazonとはまた違ったシステムなんですがどちらかというと単純で設定するところも少なく、比較的楽チンだなぁ、なんて思ってます。フォロワーさんも10日程度で数十人になったので来年はメルカリに力を入れてみようか、なんて思ってます。

【12月のプレゼント当選者発表】
今月も多数のご応募ありがとうございました。今回厳正な抽選の結果、見事当選いたしましたのは

千葉県船橋市 K・Y様(姓・名の順)

と決定いたしました。12月26日にゆうパケットにて発送いたしますので交通事情により2-3日かかる場合がございますがしばらくの間お待ちくださいますようお願いいたします。来年1月もプレゼント企画は用意いたしておりますので是非ご応募くださいますようお願いいたします。

【年末年始の営業について】
年末は12月30日は臨時休業、12月31日の朝8までのご注文でなおかつクレジットカード、Amazonペイ、代金引換等入金の確認の必要がない決済方法の商品は年内発送が可能です。年始は1月5日より営業、お正月期間中のご注文はできるだけ1月5日中に発送するつもりですが、6日にずれ込む場合がございます。ご了承くださいませ。

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■リサイクル着物続々入荷中です!是非ご覧下さい。本店サイトは楽天などのショッピングモール価格よりも5-10%程度お安く提供いたしております。

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■正絹の着物に防虫剤はいらない

今週のお題は「正絹の着物に防虫剤はいらない」です。私はX(旧ツイッター)で着物の豆知識を毎日1回ポスト(ツイート)しているのですが(でも雑談の方が多い)、絹の着物に防虫剤は必要ないとかいたら予想以上に反応が多かったので今週は正絹の着物と防虫剤についてお話しいたします。このメルマガで何度も書いていますので「また書いてるよ…」と思う方もおさらいと思ってお付き合いください。

なんとなくのイメージで着物には防虫剤をしっかり入れておかないと、と思ってる方は多いと思います。春の入卒業式シーズンではしばらくタンスの奥にしまいこんでいた着物を出して着ておられるのか、強い防虫剤の匂いのする着物もありますし、リサイクル品で入荷してくるものにもそういった着物は多いです。

でも、もうタイトルで書いておりますので結論から申し上げますが、絹の着物には防虫剤は必要ありません。

呉服店に行っても防虫剤の匂いのしている店なんてありませんよね?匂いのない防虫剤を使ってる、なんてことはなくそもそも防虫剤は必要ありません。私も職業柄多くの着物を持っておりますが(当たり前・笑)一切防虫剤入れておりません。後述いたしますがむしろ防虫剤は着物に悪影響を与えるものもありますので注意が必要です。

ではなぜ「着物には防虫剤を入れなければならない」と思う方が多いのでしょうか。

おそらく昭和中期ごろに普段着でお召しになるウールの着物がよく虫の被害にあったからだと思うんですよ。ウールの着物はとにかく虫に食べられます。ちょっと油断して防虫剤を切らしてしまうと穴だらけになってしまいますし、当店は反物は扱っておりませんが、ちょっと古いウール反物ですと反物の巻き始め40-50cm程度が穴だらけになっているものを目にすることも多いです。電灯ににかざすとそれこそ「プラネタリウムか!」とツッコみたくなるほど穴だらけになるんですよ。

一方、絹は全く食べないんですよ。絹を食べる虫もいないことはないようですが、30年以上着物を扱ってきた私ですが、絹の着物を食べられたという経験は一度もありません。食べこぼしがあったためネズミに食べられて大きな穴が空いたという着物を見せてもらったことはありますがこれは特殊事例ですね笑。

先ほど書いたように絹の着物にとって防虫剤は決して有益なものではありませんが、どうしても心配でしたら必ず着物用と書かれたものを使用し、用法、用量を必ず守って使用してください。着物を防虫剤漬けにしてタンスを開けると鼻を刺すような防虫剤の匂いがする、なんてのは絶対ダメですよ。

あまり意識しておられない方も多いかもしれませんが、ほとんどの防虫剤は化学薬品なんです。そして絹はお蚕さんから取った天然繊維ですので決して相性がいいわけではありません。特にパラジクロロベンゼンという化学物質でできている防虫剤は長年使用していると金箔を真っ黒に変色させてしまう場合がございます。と言っても私も30年間の呉服屋人生でそういうものを見たのは1回きりでして、金は非常に安定した物質ですので変色するところまで行くにはかなりの量と時間が必要なようですね。

ウールと絹の着物の両方持っておられる方は多いと思いますが、そういう場合にはタンスの引き出しをウールの段と絹の段を分けてウールの段にだけ防虫剤を入れることをお勧めします。ウールの段に着物用を用量を守って入れれば、同じタンスの中の絹の段には防虫剤の影響はほぼないと思いますのであまり気にしなくてもいいでしょう。絹の段にまで用法、用量を守っていればそれほど悪影響はないでしょうし。

防虫剤のことばかり書いてきましたが、実は絹の着物にとって虫よりも防虫剤よりも怖いのが湿気なんです。最近の家はサッシが発達しており密閉性が高いので湿気が家の中にこもりがちです。私の家は台所の大きな換気扇を回すと窓が開けにくくなり、今の時期なんて暖房を入れてると窓の下に水滴がべったりとついていますからかなり密閉されているんでしょうね。

たかが湿気と言うなかれ。この湿気、タンスの中にもこもりがちでカビの発生の大きな原因となっています。場合によっては着物が真っ白になるぐらいカビがびっしりと発生していることもあります。経験上、なぜか大島紬に発生することが多いような気がするんですけどあれはなんでなんでしょうね。大島紬の泥染に何かカビの発生要因みたいなものがあるんでしょうか。

一旦カビが発生してしまうと表面を洗っただけではもう取れません。裏側にまで通っているため表面だけ洗ったところで裏面で生きているカビがまた発生してくるので一旦解いて洗い張り、再度仕立てると言ったことが必要になります。洗い張りとお仕立てとで数万円は覚悟しなくてはならなくなりますのでお財布に優しくないですね汗。カビ取り殺菌というサービスを行っている悉皆屋さんもあるようですが、私自身利用したことがないのでどういう作業なのか、効果はどの程度かなど全くわからないのでここでは解説致しません。

よく言われていることですが、着物は着るのが一番のメンテナンスです。タンスから出すて外に出歩くことによって湿気が飛び、着た後にタンスに収納する時に汚れたところを点検することもできます。ですのでもしタンスの中でずっと眠っている着物がありましたら是非お召しになってお出かけしてください。普段目立ってしまうと思って着ない方も、もうすぐお正月ですからあまり目だたず(?)着やすい時期になると思います。

さてさて、本年も誠にありがとうございました。今年は楽天の商品登録システムが変わったり、メルカリに出店したり、当店のシステムがいろいろ変化して忙しい年でしたがなんとか対応することができました。それもこれも順調に売上げを取ることができるからこそそういったところに力を注ぐ余裕もできるというものでして、お客様には感謝してもしきれません。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

冒頭に書いたように、年末は12月30日は臨時休業となりますが、12月31日朝8時までのリサイクル着物の注文で代金引換、クレジットカード決済のものは年内発送させていただきます(銀行振込等、決済の確認が必要なものは来年以降の発送となります。詳しくはお問い合わせください)。また、新年は1月5日より通常営業いたしますが、なにぶん大量の発送がございますのでお正月の発送は1月6日にずれ込む可能性がございますことをご了承ください。

今年一年、ありがとうございました。また来年どうぞよろしくお願いいたします。良いお年を。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022

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