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国内縫製と海外縫製について色々その1

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本日のお題:国内縫製と海外縫製について色々その1
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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いつまでも寒い日が続きますね。いつまでも寒い日が続きますがそろそろ春ですよね。コートを1枚羽織っておいたほうがいい気温ではありますが、やっぱり私はコートのない着物姿が好き。せっかくの帯が隠れてしまってはもったいないじゃないですか。

こちら大阪では昔からコートや羽織を着ないのを「たけのこ」と言いましてどちらかというとあまり歓迎されない装いのようです。確かに着物の汚れ防止という意味合いにおいては何か一枚上に羽織っているほうがいいのですが「帯は背中の顔」という方もおられるくらい、着物姿の重要な部分なので、呉服業界の人間としてはやっぱり帯も見たいな、なんて思うのです。

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今月も多数のご応募ありがとうございました。毎月少しずつプレゼント応募してくださる方が増えていてとても嬉しく思っております。そんな中で今月当選いたしました方は

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■国内縫製と海外縫製について色々その1

今週のお題は「国内縫製と海外縫製について色々」です。先日X(旧ツイッター)で東京の和裁士さんの組合から「技術後進育成のため、仕立て加工料金の見直しを進めており、袷小紋を税別50000円にしたい」という提言があったことを知りました。現在の状況はこの半額、下手するとそれよりも安く、長年修行を積んで技術を習得したのに正当な対価を得られているとは思えない状況です。

このままでは職業として和裁士を選択する方は少なくなり技術が途絶えてしまうのは火を見るより明らかです。医師や弁護士など、知識や技術を習得するのに時間も費用もかかる職業は多々ありますが、生活できない程度の対価しか得られないのであればその職業を選ぶ方は極端に少なくなるのは想像にかたくありません。

着物を1枚縫うのに熟練した和裁士さんでも3日程度はかかります。今このメルマガを書くために色々検索して調べてたら半日から1日ぐらいと書かれてるのがあって「知らないのに書くなよー!」と突っ込んでしまいましたが一般の認識としてはそんな感じなのかもしれません。Xでこの話題を取り上げた時に、あまり着物に詳しくないであろう方が「6000円×8時間ぐらいかと思ったら3日か!安すぎる!」とコメントをつけてくださってました。まずはもっと和裁のこと、着物一枚を縫うのにどのくらいの時間がかかるのか、一体どういう作業をしているのか、和裁士さんの仕事を知ってもらう必要がありそうです。

,私が初めて海外縫製という言葉を聞いたのは25年ぐらい前でしょうか。着物というのは日本だけのもので海外で縫製するという発想自体がなかった当時、海外縫製の会社ができたというのでかなり衝撃を受けたのを覚えています。ほぼ全て手作業である和裁をなんとか安く提供できないかとした努力の結果であると思いますし、実際にかなり安く仕立てられるのも事実です。

この海外縫製と戦っていかなくてはならない国内の和裁士さんは大変だと思いますが、まずは海外縫製と国内縫製の違いを知っていただき、両者の良いところ、悪いところを理解した上でお客様自身にあう縫製を選んでいただければ、と思います。海外縫製は値段を安くするために生まれたものですので値段以外の純粋な技術的な部分は国内縫製推しの内容になってしまいますが、決して海外縫製を否定しているわけではありませんのでその点はご理解ください。

このメルマガを書くにあたってXでフォローさせていただいている一級和裁士の方にアドバイスいただきました。和裁士さんのグループでも意見を募ってくださったようでこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

一言で海外縫製といっても既製品の安価な仕立て上がり浴衣やポリエステルの小紋や1枚ずつオーダーして仕立てるものなどいろいろありますが、ここで取り上げるのは1枚ずつオーダーして手縫いで仕立てるものに限定してお話しさせていただきます。安価な2000円-3000円程度で販売されている海外製の大量生産浴衣の縫製についてはまた別の機会に取り上げます。

まず、海外縫製のメリットといえばもちろん値段です。ベトナムや中国など発展途上や比較的賃金の水準の低い国で技術指導をして、もちろん設備投資などもありますので発展途上の賃金水準がそのまま仕立て代に反映されるわけではありませんが、国内縫製の6割から7割程度の値段でお仕立てしていただけます。

とにかく値段が安いのが魅力ですが、最近では少し様子が変わってきていると聞いております。以前は中国の沿岸部に縫製工場を作ることが多かったようですが、ここ最近、中国の発展が目覚ましく、また中国は政府が賃金を決めるようで(日本の最低賃金とはまた少し違う、共産圏ならではの利益の分配という意識でしょうか)、毎年5%から10%程度強制的に賃金を上げさせられるのが続いていると聞いたことがあります。また、発展している沿岸部では賃金が高くなってしまうのでどんどん内陸部にいく傾向にあるとも聞いたことがあります。

10年以上前、当店がまだ新品呉服店だった頃に中国縫製の会社と取引しておりましてお仕立て1万円ぽっきりのセールをよくやっておりましたが、上記のように政府主導の給与の上昇によりそういった企画もできなくなってしまいました。円安傾向もありますし、中国やもう一つの海外縫製拠点であるベトナムも発展が著しいのでこれから海外縫製がどれだけ価格的なアドバンテージを維持していけるのか、未知数ではありますが現段階ではやはり価格の安さは魅力的です。

以上のことは当店が昔取引していた中国縫製の会社の社長から聞いた話で、これが全てではございませんので「そういう話もある」という風に聞いていただければ幸いです。

さて、では国内縫製が優れているとことはどういったところでしょうか。

海外縫製の場合、おそらくほとんどの縫製会社はパーツごとに違う人が縫っていると思います。簡単にいえば分業制でして袖を縫う人、衿周りを縫う人、などのように各パーツごとに担当が違います。これが非常に効率がいいんです。着物を見たことがないような現地の方が着物1枚を縫えるようになるには半年から1年程度の訓練が必要なのですが、まず袖部分から縫ってもらうようにすると1ヶ月から3ヶ月でお客様の商品を縫えるようになるとか。そして袖で十分訓練を積んだら身頃や衿周りなど着心地に影響するような部分に配属して「昇格」させていきます。

ちょっと途中感がアリアリですが、めちゃくちゃ長くなってしまったので来週に続きます。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
https://www.kikuya.shop/

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