半井さわおみ

絵を描いたり、漫画かいたり。おかっぱがすきです。

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ヘドバン

手軽にノリの良さを味わえるように作りました。 ヘドバン動画をつくるとき等活用してください。 ◇この音楽は個人・商用・法人にかかわらず、無料でBGM (背景音楽)として利用可能です。 ◇利用の際、コンテンツの制限はありません。 ◇使用報告は不要です ◇著作権は放棄しておりません。

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      景色はかわる

      • たるみゃきゃぷるわいぴゃあ

         わたしの言語群にたるみゃきゃぷるわいぴゃあというものがあって、分解するとたるみゃきゃとぷるわいとぴゃあになる。  この3語で特に重要なのがぷるわいで「二つを結びつけるその接合部」を意味する。  例えばコンクリートの上に立つ人がいたとして人はたるみゃきゃでコンクリートはぴゃあ。足の裏とコンクリートの接する部分がぷるわいである。裸足なのであれば足裏の皮の接した部分がぷるわいとなり、靴をはいているのであれば靴裏のゴムとコンクリートが接した部分がぷるわいとなる。  ここで気付

        • クォーツは言った(3)

          雨が降っている。誰もいない家はよく音が響く。何もすることはない、いやできないのだ。わたしはこうやって立派に思考することができるがその見た目は大きめの石である。 自分が石であるという事実は思いのほかわたし自身を縛り付ける。だってどこにも行くことができない。美しいものの隣にいることさえ、彼女ーーこの家に住んでいる女性のことである、どうやらわたしは彼女の指の先から出てきたらしいーーの手を借りなくては難しい。 美しく咲いていたあの山吹の黄色い花は枯れてしまった。あれらが反射す

        ヘドバン

        ヘドバン

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        • あいをしらないがぁる
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        記事

          クォーツは言った(2)

           彼はおしゃべりだった。わたしが裁縫をしていても、草刈りをしていても、テレビを見ていても、ずっとしゃべっている。それが、返答を期待した言葉の投げかけだったのかは今になっては分からないが、ただ彼が言葉を発することを好んでいた事実は動かない。  そういえば、彼が静かになる場所がひとつだけあった。台所である。  台所、といってもそれはシンクの上とか、食卓の上ではない。台所にある窓のへり。窓の向こうには、山吹が咲いていた。クォーツはその黄色い花が好きだった。  たとえばわたしが夕食を

          クォーツは言った(2)

          クォーツは言った (1)

          夕食の支度をしているとき。指が切れた。薬指の先だった。けっこう深くて、皮がそげている。そこから「石」が出てきた。いや、気づいたらあったのだ。血がにじみ出てくるのに一瞬、気を遠くしたのち、石はまな板の上にごろんと転がっていた。爪ひとつ分くらいの大きさで、白っぽい。だけど、透き通っていた。出血しているはずなのに、それはどこも赤くなかった。  こいつはどこから来たのだろう。  わたしの指の先にはこんなに大きな石がおさまっていられるような空洞があったのか。血が浮き出てくる指先をま

          クォーツは言った (1)

          たったひとりのアイビーフルート

           昔から手に対して嫌悪感のようなものがあります。  手はとっても便利だし、わたしにとって必要不可欠な身体なのですが、無くてはならない、代替不可能であるその唯一さが重ったるくて煩わしいのです。だからといって失いたいわけではないけれど、だけど、なんだか、手という素晴らしい身体に頼って生きている自分はなんて弱いのだと、恥ずかしくなる。  面の世界、線の世界、点の世界、次元を逆行していく夢を見るようなことだとわかっているのだけど、抵抗という抵抗に打ち勝って真摯に生きる姿はとても美

          たったひとりのアイビーフルート

          プレートの観測 《果てしない道のりと証言のまとめ》

          **夏に ** 木陰に入ると小人が倒れていた。どうやら強い日差しに当てられたらしい。丁度凍らせたペットボトルを持っていたので、それを背に寝かせてやった。しばらくすると寝息を立て始めた。僕も疲れたので少し眠ることにしよう。緑に透ける太陽が眩しい。まぶたにかよう血液が高鳴っている。 **黒豆 ** その小人は夕食の卓袱台の下に突然現れたのでした。台の脚に身を隠し、こちらをじっと見つめているのです。箸に挟んでいた黒豆を与えると、庭に飛び出していきました。拍子抜けしてい

          プレートの観測 《果てしない道のりと証言のまとめ》

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          よぶこえがきこえる

          よぶこえがきこえる

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          あいをしらないがぁる そのに

           冷気にあてられた末端はもうよみがえらないのです。 *******  じりじりと痺れる指先にあったのは頬。やわらかい弾力、おいしそうだなあ、透きとおっている。口の中によだれが溢れてくる。指を一本、二本、三本ーー触れる面積が少しづつ増えると体温もさがるような気がした。こんなに奇妙な出会いは初めてだったけどずっと前から決められていたことだということだけは確信できた。おはよう、記憶の彼方にある名前を呼ぶ。  ぴんぽーん  部屋にチャイムの音が鳴り響く。はっとして手のひらを離

          あいをしらないがぁる そのに

          あいをしらないがぁる そのいち

           トム子はすてごをひろった。かんかんでりの日、ひんやりつめたいあの子をひろった。 *********    夏の日、あせだくになりながら家路につく。なんにもやってない、もってない、退屈な女の子だから、今日は教科書だって学校の机においてきちゃって、なんも入ってないかるーいカバンを振り回しながらコンクリートを蹴る。  −−かえったら麦茶、むぎちゃ。  右足も左足も宙に。るんるんびーとがトム子の胸でおどる。軽い軽い、トム子の体はそのまま雲と一緒に果てに流れていく、かも。  北向

          あいをしらないがぁる そのいち

          ゆらゆら意識

           私に何を求めているのですか。紅葉が色づく頃に、桜がみたいと言われても、困ってしまう。そうでしょ。その上、天然がいいとは、なんと、わがままな。地球の裏側に行けというのですか。そこにここと同じような土地があると思っているとは、もうモウロクし始めたのですか。  ワタクシ、今、とっても腹ペコなの。そう、それこそひまわりの種でも食べれるくらいに。本当におなかがすいているの。肉、肉。動物のお肉が食べたいわ。ああ、ごめんなさい私のお願いなんてききたくなかったね。  ねえ、ねえ。私でもかな

          ゆらゆら意識

          見えない凶器

           見えない凶器を持った人間。それが私の家には住んでいました。玄関を開けたすぐ向かいの部屋。2LKのアパートの一室。その人はたった一人でそこを占拠していました。 幼い私の夢は、自分の部屋を持つことでした。2LKのアパートですから、ひとつの部屋を占有されれば、あとは1LKしか残りません。あと一つの部屋は寝室として使っていたので、私の手には入りませんでした。キッチンを私だけの物にするわけにはいきませんでしたし、そうなるとリビングしか残りません。だから兄と二人で机を並べて、ずっと自分

          見えない凶器

          白紙の日記

          「何をするでもなく、ただ、白紙を埋める。その作業に没頭したのは、どうしようもなく不安だったから。心の端から端まで、黒く、赤くして、なんでもいいから空虚の色を残すことがたまらなく嫌だったの。それをわかってくれる?」  真剣なまなざしで、八重子は言った。切りそろえられた黒髪が、蝋燭の光で艶めかしく光っている。病的に白い肌は暗闇からぼぉっと浮かび上がる。血色の悪い頬に、炎がほのかな紅を差して、いつもよりはふっくらとして見えた。  「そんなこと言ったって。これは僕の日記帳じゃないか。

          枯れた花束を大切に抱える男

          車の中にいた男は花束を抱えていた。 その花束は見事に枯れている。水分は抜けきって、乾いている。 男は枯れた花束を大切そうに両の腕で包みこんでいる。 私は我慢ができなくて、車の窓ガラスをコンコンコンと叩いた。 男はこちらに気づいたようで、ゆっくりと窓ガラスがさがっていく。 「はて」 「ご主人、わたしはいてもたってもいられなくなってしまって、大変失礼だとは承知の上でね、こうやって貴方の車の窓ガラスを叩かせてもらいました。 どうしてもね、知りたいと思っているのです。なぜ貴方は枯れた

          枯れた花束を大切に抱える男

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          遊具と狂気

          遊具と狂気

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