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自分の経験を武器に分かった気になるなよ。共感力なんてないと思って謙遜するくらいがちょうどいい。

しゅんしゅしゅんです。

「人間力があれば何でも突破できるよ」
「あいつ頭はいいんだが、共感力がないからな」
「これからはEmotional Inteligence(心の知能指数)の時代だよ」

こんな感じの台詞よく聞きませんか?

知能より共感力のほうが大事であってほしいと、なぜか人間は願いがち。間違ってないとは思いますが、その願いの中に負け惜しみが多目にブレンドされている。そしてその願いを真理にすり替えて、知能のある人を馬鹿にする。頭でっかち野郎と。だからT大生は。みたいな。知能よりも共感力に自信がある人がずっと多いことの表れなんでしょうな。

でもでもほんとは。
自分の最低の想像の2倍くらい共感力はない。
そんくらい謙遜して生きた方がいい。

ハーバード・ビジネスレビューの論文の中で、レイチェル・ルタンは「ある境遇に陥った人に対して、過去に同じ苦境を乗り越えた経験がある人は、その経験がない人よりも、共感を示しにくい」という。

例えば、あなたが初めて子を持つ親になったばかりだとしよう。とにかく大変で、時短×リモートワーク勤務にしたいと切実に望んでいる。そんな時に子育て経験のある上司とない上司、どちらが相談相手としてマッチしているか。直感的には子育て経験のある上司だが、その直感は間違っている、という。

これは衝撃じゃないですか?

理由は二つとのこと。
第一に、人は過去の苦境がどれほど辛い経験だったか正確に思い出せないから。なんなら過少評価してしまうから。喉元過ぎればなんとやらですね。

第二に、逆境を乗り越えた経験の持ち主は自分が苦境を克服できた自信をもっているから。

この二つが組み合わされると、その苦境は克服できるはずだという考えが生まれ、克服できず苦しんでいる他者への共感が薄れるのだと。

うーむ。衝撃的だけど、言われてみると確かに…。

苦しんでいる新人に相談された時のお決まりのセリフは「俺も若い頃は同じ悩みを抱えていたけど云々」「俺の若い頃は終電ぎりぎりまで根詰めてやってたよ云々」だ。まさにこれこれ。このことだろ。

これは、相談する人、相談うける人、双方に示唆深い話だと思う。

まず相談する人。

無駄に凹まないように気を付けよう。この人なら私の苦しみがわかってくれるはずだと思って、勇気を振り絞って相談した結果、「いやいや、全然大丈夫だよ。俺なんて…」と全く共感されない。この時あなたのハートは崩壊する可能性がある。この人でもわかってくれないなら、もう誰もわかってくれないと。共感されると思っていた分、裏切られた時の悲しみが倍増する。

共感してくれる可能性が最も低いかもしれない相手に直感的に共感を求めてしまう。その人は本当に共感してくれるのか?ほかにも共感してくれる人はいるよ。相談してもいいけど、無駄に凹まないようにね。

そして相談を受ける人。

自分の経験を悠々と語るのはやめよう。「昔はそう」「誰でもそう」「俺もそう」と型にはめるのはやめよう。軽い話だとあしらうのはやめよう。例えば過去トップセールスだった上司とトップセールスじゃなかった上司がいたりする。でも過去の実績に意味があるのではない。過去売れに売れた上司は、売れない新人の気持ちは想像しづらいでしょう。過去売れなくて苦しんだ上司は、経験があるからこそ共感が弱くなってしまうでしょう。過去の経験だけがモノを言うわけではないのだ。

過去の経験を元にした今の自分の考えに立脚する共感ではだめ。立脚しながらも固定観念は捨てて、相手の立場に立って、その人になりきる憑依でないと。



共感力はないと思って謙遜して生きたほうがいいと思いませんか?経験を積めば積むほど共感が難しくなることもある。権力だって手に入れれば入れるほど共感力を失ったりもする。もともと共感力なんて低いもので、低くなる罠はたくさんある。

だから謙虚になって相手と向き合おう。

それが真の人間力であって、
真の共感力であって、
真のEmotional Inteligenceだよ。

では。

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