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心理学から考えるアスリートのキャリアパス

一定以上の競技レベルに達したアスリートは、スポーツを通して様々な能力を高次元で獲得しています。そして、その能力は①ピッチ上でのみ発揮できるものと②ピッチ外でも発揮できるものの2種類に分けることが出来ます。

サッカー選手を例に挙げると、
①は様々なキック技術やシュート技術、対人能力やヘディング技術等。
②はチームワーク、リーダーシップ、ルール理解力、戦術履行力、技術学習サイクル、パフォーマンス発揮力等です。

そして、引退後のキャリアでは①ピッチ上でのみ発揮できる能力は効力を失います。サッカーコーチになるとしても、そこで必要とされる能力はシュート力やキック技術ではなく指導力であり、全くの別物。

続いてここがミソ(!)なのですが、②ピッチ外でも発揮できる能力はそのままではビジネスや他の分野へ転用することができません。何故なら、スポーツとビジネスや他の分野ではルールや条件が違うからです。しかし、ルールや条件が異なっていても本質的に求められる能力はおおよそ同じだったりします。

"そのままでは"と書いたのは②ピッチ外でも発揮できる能力は、その本質を抽出してスポーツ以外の分野で活用できてこそ、キャリア視点で効力を発揮し得るからです。

引退後も含めたアスリートのキャリアを考える時、現役中から他の分野に触れて「②ピッチ外でも発揮できる能力」を外の世界で実際に発揮してみる、試してみる経験が必要だと感じています。

外の世界とスポーツにおける気付きや学びを並べてみると、必ずそこに重なる部分が見えてくるはずで、それこそがスポーツを通してアスリートが培ってきた能力の本質といえる部分です。



成長に関わる3つの心理状態

さて、ここからはビジネスシーンで用いられるコンフォートゾーンの考え方に照らして、心理学の側面からアスリートのキャリアについて考えてみたいと思います。

コンフォートゾーンの考え方を図解します。

―――― コンフォートゾーンとは

日本語だと「安全領域」とか「快適領域」と訳される、図の一番真ん中の領域のこと。つまり、私たちがストレスや恐れ、不安を感じることがなく安心して過ごせる状態のことです。私たちはある程度のストレスを感じていたほうが、ストレスが全くない状態よりも作業効率が上がることが分かっています。

―――― ラーニングゾーンとは

ラーニングゾーンとは、わたしたちがパニックにならない程度のストレスを感じる状態です。わたしたちが成長するには、自分が余裕を持って安心を感じることができるコンフォートゾーンを広げ続けなければなりません。そのために必要なのが、ラーニングゾーンです。つまり、わたしたちが進化するためには、適度な不安を感じる状態を定期的に克服していくことが必要なのです。

―――― パニックゾーンとは

自分に降りかかるストレスが強すぎるあまり、逆にパフォーマンスが落ちてしまう状態のことです。パニックゾーンにいると、成果は出にくく、自己評価も下がりがちです。



コンフォートゾーンから踏み出そう

人間は、人生の90%以上を居心地の良いコンフォートゾーンで過ごすと言われています。しかし、居心地のいい場所に居続けると人間は成長できません。 頑張らなくても生きていけるからです。

もちろん、アスリートにとって競技生活が全て居心地の良い時間ではありません。自らの身体だけを資本に1日1日サバイバルしている訳で、日々の熾烈なレギュラー争いや公式戦における真剣勝負も含めて、大きなプレッシャーの中で生活しています。

しかし、キャリア視点で少し引いて見てみると、競技生活は全てコンフォートゾーンの範囲内であるとも言えます。なぜなら、競技だけをしていさえすれば、引退後はさておき、現役アスリートのキャリアは成立するからです。



以上のことを図解してみる

成長に関わる3つの心理状態の正しいバランスはコチラです。芯にコンフォートゾーンを持ちつつ、ラーニングゾーンへと踏み出して自分の幅を広げていく必要があります。

しかし、多くのアスリートはラーニングゾーンを持てていません。つまり、下図のようにコンフォートゾーンかパニックゾーンのどちらか、なのです。

多くのアスリートにとって、競技外のことへのチャレンジはなかなか手を出しづらいもの(周囲からの批判もあるだろうし、、)。しかし、キャリアを拡げて行くことを考える時、未知の世界(=ラーニングゾーン)への挑戦を通して自身の幅を広げていくことこそが重要になります。

未知の世界というと大げさですが、最初の一歩は何でも良いと思います。趣味でも勉強でもビジネスでも海外生活でも、これまでとは異なるアプローチのトレーニングでも。意識的に、少しストレスを感じる場所に身を置くことが重要です。

上図のようにコンフォートゾーンとパニックゾーンしか持たないまま現役生活を過ごしてしまうと、引退時は以下のような構図になります。

競技者としての自分が居なくなり、全ての領域がラーニングゾーンorパニックゾーンと化します。良く捉えると伸びシロしかないのですが、引退したタイミングでこの状態に陥ると精神的にも収入的にも相当厳しい。したがって、ロングライフキャリアを豊かにすることを考える場合には、多少のストレスを感じたとしてもコンフォートゾーンの外へ足を踏み出して行動していく必要があります。


理想的なアスリートのキャリアパス

現役中から意識的にラーニングゾーンへと踏み出していくことで、現役を引退するタイミングで競技軸以外のコンフォートゾーンを確保しておくことが望ましいと言えます。

現役中にコンフォートゾーンを拡げて、、

引退して芯の競技生活が無くなったとしても
競技の外にコンフォートゾーンを持てている状態


本田選手や長友選手を筆頭として、最近では槙野選手もオリジナルのヘアジェルブランドを立ち上げています。

日本代表レベルでなかったとしても、松本翔選手のように「食」を軸に活躍の場を広げているアスリートもいます。来シーズンのピッチ上での活躍、期待してます!!!!

また、現役アメフト選手でありながら「Vibes.」というアスリートとビデオチャットできる体験型サービスを立ち上げた前田眞郷選手等、アスリートのキャリア観は今まさに大きな転換点に差しかかっています。



まとめ

アスリートは他の分野で活躍する為に必要な基礎能力は全て、競技を通して既に獲得していると僕は考えています。(技術習得サイクル、ルールの理解、戦術の履行、個性の発揮、チームワーク等々。)

足りないのは競技を通して得た能力を抽象化して競技の外へ転用することと、他分野における小さな成功体験。

引退とともに競技者としてのキャリアが無くなることを考えると、多少のストレスを抱えてでも現役中にラーニングゾーンへと踏み出して、他の分野で成功体験を得られたら「なんだスポーツと一緒じゃん!」と思えるはずで、それこそが能力の抽象化と転用に繋がります。

小さな成功体験の中身は、海外生活でもビジネスでも趣味でも勉強でも、何でも良いです。自分が好きなこと/興味があること/問題意識があることの3つから探すと見つかりやすいのですが、もし宜しければ僕が一緒にお探します!!(なんと、無料!!!)

スポーツを通して培った能力の抽象化と他の分野への転用が出来るようになると、他の分野で学んだことをスポーツへ持ち込むことが出来るようにもなり、ピッチ内外で双方向的な好循環が生まれ始めます。すると、ピッチ上のパフォーマンスにも好影響を及ぼすようになるでしょう。詳しくはこちらの溝渕選手のnoteにて。



結局のところ、、、

小難しいことばかり書いてきましたが、

最後、ざっくりですみません!!(笑)
でもこれが本心であり、このnoteの核心です。

現役アスリートの皆さんは想像以上に大きな価値や資産を持っています。そして、それはお金だけで測ることができない価値や資産です。

アスリートのセカンドキャリアはネガティブ文脈で語られがちですが、現役中にきちんと自分自身の幅を広げておくことが出来れば、キャリア(=人生)にファーストもセカンドも存在しません。競技が最優先なのは大前提、その上で競技以外でもワクワクできることや面白いこと沢山あるはずです。それこそ、ビジネスもめちゃ面白いです!!

そんなことを考えて、NPO法人設立の準備を着々と進めています。当初の予定では1月中に立ち上がる予定だったのですが、今のところは4月設立予定です。

現役アスリートと一緒に面白いことを仕掛けたい。そして彼らのキャリアを拡大するとともに、後に続く体育会系人材(若手選手、学生、その親)への啓蒙・教育に取り組んでいきます。NPOについてはまた改めて。


次回は「日本スポーツ×デザイン」について更新する予定です。
最後になりましたが、2019年もどうぞ宜しくお願い致します!!



-fin-

五勝出拳一[ごかつでけんいち]
スポーツとアスリートの価値を見える化する広告屋|NO MORE セカンドキャリア|東京学芸大学蹴球部&全日本大学サッカー選抜 主務 ➡︎ 現職は広告屋|サッカー選手育成アカデミー神村学園淡路島キャリアアドバイザー|COYG|Nikon Z6|気軽にDMください📩発言は個人の見解📢日本に40人の苗字の持ち主、ゴカツデです。


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いつも読んでいただきありがとうござます:)

Gracias!:) 🇪🇸🥘
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著書『アスリートのソーシャルメディア活用術』http://amazon.co.jp/dp/4839969337/ |アスリートのキャリアとマーケティングを支えるRevive Inc.でPR Manegerをしています◁電通ライブ・テック◁東京学芸大学蹴球部 学連

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