アスリートが高めるべき3つのVALUE

えとみほさんの非常に示唆的なツイートをきっかけに、このテーマをより深く掘り下げてみたいと思います。


えとみほさんが仰る【選手の価値=プレイヤーズバリュー+マーケティングバリュー】の考え方には、大大大賛成です。僕自身の命題でもあるアスリートのセカンドキャリアを考える時、このマーケティングバリューの高い選手は引退後のキャリアで苦労をすることはまずありません。

ということで、このnoteではアスリートが高めるべき価値と、それによって得られるメリットについてまとめました。

目次

☑ アスリートの価値 ≠ 競技力
☑ 真に高価値なアスリートとは
☑ ①Player VALUE
☑ ②Market VALUE
 *イニエスタ選手=Market VALUEの塊
 *Market VALUEの高い選手とは
☑ ③Story VALUE
☑ まとめ:高価値な選手になろう。



アスリートの価値 ≠ 競技力

多くのアスリートはクラブに所属することでプレー機会を得ています。故に、アスリートがクラブの監督や強化部の評価を獲得すべくトレ―ニングに励み、試合で結果を残そうと日々競技に取り組むのは当然のことです。

しかし、スポーツ選手が高めるべき価値は競技力だけではありません。鹿島アントラーズ所属の西大伍選手のツイートを見て、こんな視点を持っているトップ選手もいるのだなと強く感銘を受けました。


スポーツ選手の価値を測る際、最も分かりやすい指標が競技力であることに疑いの余地はないのですが、クラブがスポーツ選手に求めたい価値が競技力だけではなくなってきていることもまた事実です。

クラブに評価される選手=良い選手...?



真に高価値なアスリートとは

真に高価値なアスリートとは、クラブのみならず、市場/ファンに価値提供できる人のことを指します。アスリートがクラブからの評価だけを気にして活動していては、彼らが発揮しうる影響力や価値の1/2程度しか機能していないのでは、と感じています。

これはビジネスパーソンであっても同様です。勤務先の企業から評価されていたとして、市場と顧客から求められない人材は高価値な人材とは言えません。アスリートであるかどうか、の前に"働く"ということは市場と顧客、つまりマーケットから評価されてこそ、なのです。

日本スポーツ界でマーケットと向き合うのは基本的にクラブの役割であり、選手にその役割は求められていません。しかし、クラブの最大の資産であり顔である選手がマーケット視点を持つことは、クラブ・選手双方にとってプラスでしかないと僕は考えています。

それでは、高価値なアスリートである為に磨くべき3つのVALUEについて書いていきたいと思います。



①Player VALUE

"Player VALUE"とは、競技者としての価値のことです。つまり、選手としてどれだけ試合の勝利に貢献できるのか。

Player VALUEを因数分解すると、得点力/走力/持久力/守備力/テクニック etc...等の競技をする上で実際に用いる能力やスキルが並びます。これは言うまでもないですが、Player VALUEを磨く為に必要なプロセスは日々のトレーニングや試合です。

選手がクラブからの評価を得ようとする時、多くのアスリートがまず思い浮かべるのはこのPlayer VALUE。事実、後に述べる2つの価値よりもPlayer VALUEの重要度は高く、アスリートが最優先で取り組むべき部分であることに間違いはありません。なぜなら、ピッチ上でのパフォーマンスがその選手の年俸や知名度、影響力に直結するから。日本代表選手とJ3選手を比べれば明らかですが、より高いカテゴリーでプレーすることがアスリートの価値や影響力を高める最もパワフルな方法です。



②Market VALUE

続いて、アスリートが高めるべき2つ目の価値は"Market VALUE"です。これは、その選手がどれだけ市場および社会から求められているのか、影響力があるのか、といった評価です。このMarket VALUEを因数分解すると、集客力/発信力/巻き込み力/創造力/売上げ力など、プレー以外の要素が並びます。

スポーツクラブが選手にPlayer VALUEを求めるのは当然として、近年はこのMarket VALUEを選手に対して求める声が日増しに強くなっています。

その理由は、クラブの利益構造が大きく変化しているから。

Jリーグを例に挙げると、リーグ開幕当初はバブルの追い風を受け、巨額のスポンサー料と放映権料で海外選手を多数獲得したり、勢いそのままに日本代表がW杯に初出場したりと、時代を象徴するコンテンツとして脚光を浴びていました。しかし、バブル崩壊・マスメディア衰退に伴って減収減益が続いたJリーグおよびJクラブは新たな収益源を作る必要に迫られます。実際、横浜フリューゲルスは出資会社の一つであった佐藤工業が本業の経営不振のためクラブ運営からの撤退を表明し、もう一つの出資会社の全日空も赤字に陥っており、単独でクラブを支える余力が無くなったことで1998年に合併消滅しています。

スポンサー料と放映権料が大幅に減少して経営基盤が揺らいだJクラブは、代わりにチケット収入とグッズ収入を増やすことで安定的な収益源を確保することを考え始めました。その流れの中で選手に求められるようになったのがMarket VALUEというワケです。

チケットとグッズの売れ行きを左右するのは「チームの成績」と「人気選手の有無」です。事実、どんな強豪クラブでも長期間安定して勝ち続けることは難しく、クラブが低迷している時こそスポンサーを獲得できて、スタジアムにお客さんを呼べて、グッズが売れるMarket VALUEの高い選手(=人気選手)の存在が重要になります。三浦知良選手や中山雅史選手、福西選手が今もクラブに求められるのは、そのMarket VALUEの高さゆえです。


イニエスタ選手=Market VALUEの塊

また、昨今のJクラブによる海外有名選手獲得はまさしくMarket VALUEを狙った動きです。Jリーグおよびその所属クラブは、イニエスタ選手/ポドルスキ選手/F・トーレス選手/チャナティップ選手らの獲得を契機に、国内はもちろん海外に対して強い影響力を発揮できるようになりました。

誤解を恐れずに言うと、サッカーの実力だけで言えばイニエスタ選手に年俸32.5億円の価値はないと思います。チームの競技力向上だけを目的とするのであれば、32.5億円を使って国内外から代表クラスの有力選手を10名獲得する方がベースアップになる。しかし、それを補ってあまりある市場価値があるからこそ、ヴィッセル神戸はイニエスタ選手の獲得に乗り出したのです。

ヴィッセル神戸は、イニエスタ選手と近しい競技レベルのスペイン代表コケ選手やカルバハル選手に32.5億円を捻出することはまずありません。つまり、Player VALUEを備えている前提で、Market VALUEを持ち合わせている選手を獲得しようとクラブは躍起になっているのです。

そして、この視点を持っているアスリートが少ない今だからこそ、正しくMarket VALUEを身につけられたアスリートは他のアスリートとの差別化が可能になります。


Market VALUEの高い選手とは

ここまでをまとめると、Market VALUEの高い選手とはクラブのみならず市場とファンに対してインパクトを与えられる選手のことを指します。


そして、Market VALUEを高める為には、市場やファンに求められる活動をすること&それを情報発信することが重要です。

僕はアスリートのSNS活用を全面的に推奨していますが、その理由はアスリートにマーケット感覚を養って欲しいから。SNSは「市場やファンはどんなアクションを求めているのか、どんな情報発信をすれば反響があるのか、支持者が増えるのか」を体感することができる手軽かつ最高のツールだと思っています。

「試合の結果以外で発信する内容ないし、、、」というアスリートの声は重々理解していますが、SNSで情報発信しよう!と決めてから、その内容を考えるのが良いと思います。市場やファンに支持される情報発信の内容とはどんなことだろう、その為にはどんな活動に取り組むのが良いのだろう、と考えることに意味があります。

また、Market VALUEを高めることはセカンドキャリアを考える上でも大きな武器になることは間違いありません。



③Story VALUE

3つ目のアスリートが高めるべき価値は"Story VALUE"です。これは選手が持つ文脈的価値のことで、ファン・サポーターに共感を生み出し、Market VALUEを補足する形で機能します。

例えば、同程度の実力を持つ選手がいた時、地元やアカデミーで育った選手を獲得するのか、そうでない選手を獲得するのかで言うと、間違いなく前者です。

「その人ならでは」の物語は、強い共感を呼び、多くの支持を集めます。 そして、その物語がクラブと共鳴するのであれば尚更です。

V・ファーレン長崎が徳永選手・中村北斗選手ら地元長崎県出身の選手を集めたり、同じく長崎県出身の高木監督を招聘しているのはStory VALUEを狙っての動きです。また、Jクラブがアカデミー選手を積極的に育成し、起用する理由のひとつでもあります。


生い立ちだけでなく、ユニークな経歴やキャラクター、ビジョンや想い等もアスリートのStory VALUEを高める要素です。

そして、何も成功体験や美談ばかりが価値を生むとは限らないこともStory VALUEの特徴です。中村俊輔選手のW杯落選や、浦和レッズJ2降格決定後に決めた福田選手の延長Vゴール等が象徴的ですが、むしろ失敗や挫折、そこからのカムバックに人は強い共感を覚えます。

マスメディアに乗らないアスリートであっても、現在はSNSを中心とした情報発信から始めることで自らのStory VALUEを高めることが出来ます。自分ならではの物語が価値になる、ということも是非覚えておいてください。



まとめ:高価値な選手になろう。

繰り返しになりますが、アスリートにとって、Player VALUEを高めることは最も大事なことです。より高いカテゴリーでプレーすることがアスリートの価値や影響力を高める最もパワフルな方法であることは疑いようがありません。


そして、他の2つの価値もまた、アスリートの価値を高めます。本田圭佑選手よりPlayer VALUEが高い日本人選手はいるかもしれませんが、総合的に見ると本田圭佑選手は最も高価値な日本人サッカー選手であると断言できます。

つまり、高価値なアスリートとは、Player VALUEに加えてMarket VALUEとStory VALUEを兼ね備えたアスリートのことを指します。


これまではPlayer VALUE至上主義の考えが横行していましたが、今後はMarket VALUEやStory VALUE優位のアスリートも増えてくるはずです。水戸ホーリーホックのクラウドファンディングJリーガー安彦選手は、その好例中の好例と言えるでしょう。

これからは個の時代。アスリートも自分ならではの価値を模索すべき時代がすぐそこまで近づいています。



最後に

アスリートにとってのボーナスタイムである現役中に、どれだけ自分自身の価値を高められるのか、どれだけバイタリティ持って動けるかで、セカンドキャリアを含むアスリートの人生は大きく変わります。

高価値人材として社会を牽引するアスリートが増えるよう、僕自身様々な活動を続けていきます。現在進めているBIGプロジェクトの内容はまだオープンに出来ず、、、乞うご期待ください!


最後までお読みいただきありがとうございました!



-fin-

五勝出拳一[ごかつでけんいち]
大学サッカー日本代表の主務を務めた経験から、アスリートの持つポテンシャルの偉大さとセカンドキャリアの報われなさに問題意識を持つ。/アスリートのセカンドキャリアをアップデートすべく、NPO法人を設立。/プロサッカー選手育成アカデミー 神村学園淡路島 キャリアアドバイザー/現職は広告屋/東京学芸大学蹴球部OB


    

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