見出し画像

読書note 02:『手品師の弟子』戸田鳥著

『手品師の弟子』(翻車魚舎)は、戸田鳥さんがnoteに発表した6作に、書き下ろし2作を加えてまとめられた短篇小説集。


戸田さんはBccksで何冊か書籍を出版されていて、以前から読んでみたいと思っていたのですが、まずは、noteにアカウントをとった頃に初めて読んだ戸田鳥作品「星のない男」(初出:note2014年11月16日)が載っている、この短編集の紙本を入手してみました。

文庫本サイズで、96ページ。とても質感のよい仕上がりとなっています。表紙絵は、もっこ堂こと永森木綿子さん。Bccksでは、電子書籍でも読むことができます。

戸田さんの作る物語には、おかしみ、かなしみ、あたたかみといった、さまざまな妙味が巧みにブレンドされていて、読むたびにいつも、うまいなぁと感心させられます。

この短編小説集に収められている8編は、そのブレンド具合がそれぞれに異なっており、この奇妙の味もいいな、これはなかなか辛口だなと、どんどん「食」が進み、手元に届いたその日に読み終えてしまいました。

8編をすべて味わってみた結果、僕の一番のお気に入りは、やっぱり、戸田さんという書き手のことを知るきっかけとなった「星のない男」。この物語の主人公の「黒沢氏」が、とにかく好きなのです。

この一行のためにこの本を買おう、と思うことがたまにあるのですが、「星のない男」の中の「身長5センチの(横幅も同じくらいある)黒沢氏が、縦7センチのコロッケを平らげる様子はいつもながら迫力がある」(P5)というのが、まさにそんな一行なのでした。



戸田鳥さんのBccksストア「翻車魚舎」
https://bccks.jp/store/todatori



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?