社畜戦記

「えっ、変更ですか?」
これをつぶやいたのは何度目だろう。言ったところで何も変わりはしないのに。

どだい無理な話なのだ。無茶な企画、無情なスケジュール、無駄な会議を経て作られた無謀なプロジェクトだから。かといってそれを電話の向こうに言ったところで何も変わりはし無いのだから、結局は曖昧ながらも許諾するしか方法がないのである。

適度に話を切り上げた後、本来の住人がいない薄暗いフロアの中で大きく息をつく。何も手に付かない。もう一度大きく息をつくと一服する為に屋上に向かう事にした。
立入禁止と書かれた扉を抜けると光を失い生命が失ったかのようなビルの風景が広がる。「ここで飛び降りたら異世界に転生してチートでハーレムな人生にならないものかなあ」紫煙をくゆらせつつありえない思いを胸に手摺りの下を眺めてみる。

下にはビルの回りを埋め尽くす蠢く死体の群れ。「やっぱり、変えるだけのチート性能欲しいなあ。」

【続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞 #小説

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