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2回目の教育実習の話

教育実習に2回行っている。
1回目が中学校で、2回目が小学校だ。

1回目は付属中なので、かなりハードなスケジュールだった。
2回目は協力校、いわゆる普通の公立中学校なのでそれに比べると拍子抜けするほど楽だった。

授業計画を何度も書き直しさせられることもないし、放課後に針のむしろのような反省会をすることもなかった。

小学校に実習に行ったとき、わたしは4年生を担当した。
みんなとても懐いてくれて、実習生活はおおむね楽しかった。

だが、その中にひとり厄介な男子がいた。

授業中に大声でしゃべりだしたり、他の生徒をたたいたり、そうかと思えば午前中ずっと寝ていたりと、教室を抜け出したりと見本のような問題児だった。

先生が注意しても馬耳東風。
毎日が傍若無人。

さすがにこのような態度を見かねた先生は、自宅に電話をかけてお母さんに相談したそうだ。けれども、全然直らない。

またお願いする。
直らない。
再びお願い。
直らない。

すると、ある日、母親が泣き出して、

「先生はなんでそうやってうちの子ばっかり責めるんですか!」

と声を荒げたらしい。

それ以来、これ以上電話をしてもムダだと悟って今に至るそうだ。

わたしの目から見ても彼も行いはひどかった。
かなりの気分屋で機嫌がよければ時間場所を問わずに騒ぐし、機嫌が悪ければまともな返答もしない。その上、暴力もふるうで間違いなく他の子からも嫌われていた。というか、実際に嫌いという話を何人かからされた。

こういう場合、どうするのが正解なのだろう。

ひとりひとりを尊重して、その子を自由にさせておくべきなのだろうか。
周りの子たちを犠牲にしてまで?

毎日注意しても一向によくならない。
家庭も当てにならない。

こんな状況でどうやって改善されていくのだろう。

考えてみると、もう彼は立派な大人になっているはずだ。
いったいどんな大人になったのだろう。

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