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ウィッチハントの民

うっそうと生い茂る針葉樹林を、私は木から木へと飛びわたる。
枝を蹴る音、特殊迷彩染色ローブに身を包んだ姿、吸って吐く息の流れ、それら全てを木々のさざめきの中に隠せ。ウィッチに気づかれることは即ち死だ。
……ああ、見つけたぞ。木の陰に座り込んでやがる。
気取ったような三角帽子、ド派手な赤いマントをはおり、そしてなによりあの忌むべき杖。見間違うはずもない。ウィッチだ。
腰のベルトにかけたボウガンを取る。ボルトは既に特殊機構によって装填、固定されている。奴の頭に慎重に狙いを定め……

……奴と目が合った。

即座に私は跳ぶ。
一瞬前までいた木は既に消滅――正確には"空気に上書き"――した。
とてもまずい。
即座に空中でローブを脱ぎ捨てデコイとし、再び狙いをつける。
残り時間コンマ数秒。
この一発で殺せば生存、それ以外は全てアウト。


元・モルディマ王国異端審問官リノン・オナー。
今はただ、ウィッチハントの民として全てを賭ける。

【続く】




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