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「だって我々は夢を売っているんだから!」

エイプリルフールの朝だった。

嘘をついていいのは午前中まで、とか色々ルールはあるが、KPOP界隈のツイッターではファンやマスターさんが一斉にアイコンを変えたり、他グループのマスターを装って違うアイドルの写真を連投したりと非日常的でけっこう盛り上がる。「この日のために準備を重ねてきたんだぜ…!見ろよ!俺の渾身のネタ!」と嬉々としてプロフィールを更新している人たちの顔が目に浮かぶ。イベント大好きチャニョルちゃんも例外ではなく、スマホをポチポチして一生懸命作ったであろうギョンスのネタ画像をインスタに投下してファンをホンワカさせた。そんなチャニョルちゃんの努力をまるで肩についたホコリを払うかのようにアッサリ台無しにしたのが今回の事件である。


散った初恋

えっ?というのがこのニュースを目にしたわたしの最初の発言である。えっ?

日付が日付だったしまさかそんなわけがと思っていたので、今見るとだいぶ余裕があるわたしのツイート。まあそのくらい最初は信じられなかった。だってキムジョンインだよ?いつもファンに対する愛情表現に余念がなかったキムジョンインだよ?ないない!そう無理やり信じ込んだファンも少なくなかったと思う。だけど所属事務所のSMEがバカみたいにアッサリ「好感…」と認めてしまったことで一縷の望みは絶たれた。なんということだ。

EXOカイは「アジアの初恋」という通り名が付くくらい夢のある人物だった。わたしはカイペンではないが、カイペンでないファンたちをも常々巻き込んでしまうのがEXOカイだった。「誰もが認める不動のセンター」、「EXOの顔」、完璧で絶対的な存在。「彼ならファンを悲しませるようなことは絶対にしない」と誰もが信じていた。だからこそ悲しい。

絶対的な存在が、手の届かないところにいた孤高の存在が、地上に降りてしまってただの男になってしまうことほどつまらないことはない。地上に降りたどころか、目撃証言や盗撮された写真は妙に生々しく、本人たちにも隠すそぶりが全く感じられなかったので余計にタチが悪かった。これ以上がっかりさせないでくれ、と頭を抱えずにはいられない。


「アイドル」と熱愛

「アイドルだって人間だから恋だってする」「あんな魅力的な人に彼女いない方がおかしくない?(笑)」みたいなわたしは理解ある風の論点そこじゃないよ的な人もやっぱりたくさん見かけたが、これはアイドルの熱愛騒動があるたびにツイッターに大量発生する風物詩みたいなものなのでとりあえずは置いておく。わたしたちのことはどうか放っておいてください。

「初恋」とは「夢」そのものだ。幼いころは何もしらない純粋無垢な子供だったから汚れた部分は何ひとつ見えなかった。そうして綺麗な部分だけをろ過して残したもの。それが初恋である。

あんたに夢を見すぎていた自分が悪かった。ごめんよキムジョンイン。

誰かが言っていた。その通りだ。夢を見すぎていたのは事実だと思う。だけど本来ファンに夢を見せるのがアイドルの仕事で、彼らは夢を売っているのだ。夢を売り物にするのなら、その価値は守り抜かなければならない。壊れてしまったモノに同じ値段は払えないのが人間だ。傷がついたり壊れてしまった夢に文句をつけたくなるのは致し方ないことだとわかってほしい。離れていくファンも、叩いてくるファンも、彼らは受け入れるしかない。ファンだってつらい。

「できることなら許したい」それがわたしの気持ちであり、アンチに寝返った一部を除く大多数のファンが抱えている気持ちだと思う。許したい。許したいのに現実が邪魔をする。それだけだ。許そうと思えるだけの作品やパフォーマンスや、なんでもいいからこう、気持ちが伝わる何かが欲しいだけである。まだ?カイさん落ち込んでる場合でも笑ってる場合でもないんですけど。しっかりしてください!ちなみに一応言っておくが、許すというのはカイやEXOのためではなく他でもない自分のためである。こちらだってそれなりの時間とお金をかけて応援してきたわけだし、ここでアッサリと引き下がってしまっては今までの時間が無駄になったような気がしてモヤモヤして苦しい。そんなの嫌だ!わたしだって出来るなら夢の続きが見たい!(ジタバタ)

そして何より、影で努力してスキャンダルひとつ出さず、体調管理も徹底して一生懸命「アイドル」をやってる他メンバーが可哀想だと思うのはわたしが他メン推しだからだろうか…。そう、わたしにはまだ推しが残っている。その推しが今日も筋トレや愛嬌に勤しんでいるのだから応援する以外にないじゃないか!お願いだから彼らの努力を無駄にするようなことだけはしないでほしい。切実に。


2014年の約束

困難の絶えないグループだな、とハタから見てて思う。

約束(EXO 2014)という曲がある。何故あえて「2014」とつけたのか。おそらく2014年を節目とした決意表明のようなニュアンスでつけたのだろうが、彼らがこの曲の中で歌ったモノは、2015年になっても2016年になっても守ってほしかった約束である。

皮肉にもこの曲をだして早々にタオが脱退した。わたしはこの曲を素直な気持ちで聴けたことは一度もないし、どちらかと言うと悲痛すぎてなんだかいたたまれない気持ちにすらなる。そんなに苦しくなるなら歌わなくてもいいよ…と思わずにはいられない。チャニョルくん、もっと力抜いてくれよおばさん泣いちゃうよ。

なんにせよ訴訟、脱退、熱愛とトラブルが続いたEXOなりの決意表明と謝罪、そして懇願のメッセージであるわけだが、わたしは正直一曲の歌詞で謝られるよりかは「それでも応援したい」と思えるようなパフォーマンスや姿勢を見せてほしかった。誰かが欠けたり、踊れなかったりするようなステージではなく、常にこれがベストだと思わせてくれる、追いかけててよかったと思わせてくれる姿を見せ続けて、ほしかった。

最近のEXOを見ていて常々感じるのは、「彼らが完全態だったことなんてただの一度もないのではないか」ということだ。デビューして、まだまだ伸びしろを残した状態のままクリスが脱退した。ベッキョンはオープンカー、ルハンも脱退、「裏切られた気分だ」とクリスをせめたタオもなかなかのやり方で飛んだ。レイがなんとも言えない立ち位置のまま公演を欠席しまくり、ついには最後の砦と思われていたアジアの初恋がまさかの公開恋愛。…先生…もう戦えません…。彼らが一体いつ完全態だったというのだろうか。逆をいえば、彼らは常に未完だったからこそ美しく見えていたのか?もはやそんなことすら考え出す今日この頃である。お察しの通り疲れています。

だけど例えばEXODUSカムバックの時のあの興奮は、果たして12人のEXOで生み出すことができただろうか。愚問である。まあティーエーオーさんの脱退騒動で水は差されてしまったわけだけど、今後あの「10」の再スタートを、並々ならぬ気概を感じたあのカムバを超える興奮に再び出会えるだろうか…。アイドルおばさんは日々不安である。最近グループ全体が団結力に欠けて、いろんなことがなあなあになっているような気がしてならない。


「だって我々は夢を売っているんだから!」

ちなみにタイトルのこのセリフは我らがスーパーアイドル・二宮和也の名言のひとつである。初の冠番組「ニノさん」の中でお給料を問われたニノちゃんは、「言えないよ」とこのセリフを言い放った。別になんの深刻性もなくただのギャグとして笑いをとって終わったが、このセリフはわたしのドルオタ心にグッサリ突き刺さってこれからも抜けそうにない。

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