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CryptoKitties 第0世代ネコの新規発行を終了

(こちらは、Mediumで2018年11月30日に投稿された記事のnote転載です)

株式会社クロスデジタル 代表取締役・株式会社ブロックチェーンハブCommunity Manager & Industry Analyst の増田 剛です。

仮想通貨・ブロックチェーン界隈ではすっかりお馴染みのCryptoKittiesがいわゆる第0世代(Gen 0)の「Clock Cat」の新規発行を本日11/30で打ち止めます。この記念日(?)に、CryptoKittiesをあまりご存知ない方へのご紹介も兼ねて、取り上げてみたいと思います。

https://www.cryptokitties.co/

CryptoKittiesとは、ブロックチェーンの1種であるEthereumネットワーク上で展開されている分散型アプリケーション(Decentralized Applications、いわゆる「DApps」)の1つです。
(但し、アプリ自体は運営主体が存在するので、厳密には、分散型プラットフォーム上の中央集権アプリ、と理解しています)

プレーヤーは、Ethereumネットワーク上で生成される仮想のネコ(Kitty)を収集・繁殖・売買することができます。

収集:
15分に1匹生成されるユニークなネコをETH(Ethereumネットワーク上で使用される仮想通貨)で購入しオーナーとなります。
ネコには世代が設定され、第0世代(Gen 0)のClock Catは5万匹限定かつ2018年11月30日(本日)で新規発行が終了します。尤も、第0世代はプレイヤー間売買でも入手できるので、2018年12月以降全く手に入らなくなるわけではありませんが。ネコの価格は時間とともに減価するよう設計されています。ダッチオークションみたいなものですね。実際のペットショップのようで世知辛い・・。

繁殖:
自分が所有するネコ同士や、他プレーヤーの所有するネコと交配させることで繁殖が可能です。個々のネコには優性/劣性遺伝子が設定されていて、新しく生まれるネコのバリエーションは40億種類以上だとか。
ちなみに、ネコに性別はなく、どのネコも父ネコになり得るし母ネコになり得る、と。ジェンダーフリー?

売買:
プレーヤー間でネコの売買ができます。
2017年後半にCryptoKittiesがバズった(といっても主に海外ですが)際には、大量のネコ売買が発生し、一時ETH総取引量の30%以上をCryptoKitties関連が占め、Ethereumネットワークが大幅に遅延したことがあります。
突然変異種など希少性の高いネコは高値で取引され、最初のネコ「Genesis」は2017年12月に約247ETHで売買されました。ETH相場が下落した昨今のレートでも約300万円と高額です。

それで、このアプリ、面白いの?と聞かれると、ゲームとしてだけ捉えるかどうかで評価は異なると思います。

というのも、「ゲーム」として見ると、やれることは限られていて、繁殖の結果レアネコが出たらラッキー!というくらいの話です。コレクション要素とバトル要素のあるポケモン等と比べるとその差は歴然ですね。
あと、日本人的にはCryptoKittiesのネコデザインはちょっと合わないかもしれません。

一方で、CryptoKittiesが目指したことをWhite Paperから引用すると、

•Gamifying features that leverage blockchain’s unique applications
• An approachable, consumer-facing brand based on a genuine passion for blockchain technology
• An open platform inclusive to users of all levels of technical knowledge
• A sustainable revenue-based model (as opposed to an ICO)
となっていて、CryptoKittiesがリリースされた2017年後半のICOバブルを鑑みると、特に4点目の「ICOに依らない、持続可能な収益モデル」という思想は極めて真っ当で、意義深いと感じます。

当時はなんでもかんでもICOで、実際に90%以上がスキャム(詐欺)だと言われるなか、暗号技術・市場に対する不信感に対応するプロダクトを目指した、と。

収益源としては、前述の第0世代 Clock Catの販売、及びプレーヤー間のネコ売買手数料(3.75%)の2つだったわけですが、Clock Catの販売が終了すると、いよいよ売買手数料だけでの持続性を試す展開になります。

・・・

加えて、興味深いのは、CryptoKittiesを介したチャリティーの資金調達も出てきていることです。

シアトルの小児病院の資金調達チャリティでは、「Kitties For A Cause (K4C)」という、CryptoKittiesコミュニティから寄付されたネコのチャリティオークションが開催され、約15,000米ドルが集まりました。

また、海洋保護活動の資金調達チャリティでは、「Honu」というネコ(カメ?)が限定生成されチャリテイオークションに掛けられた結果、約25,000米ドルで売却されました。なお、こちらの資金の一部は賛否あるシーシェパードの活動支援に当てられました。

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これらを考えると、単純なネコゲーム、に留まらない、新しい価値が生まれる場として、可能性を示したアプリだと思います。

ご興味ある方は、試しに1匹買って(飼って)みてはいかがでしょうか。