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せっかく会議をするならば、かけ算の結論を出したい

ミーティングを開く目的は、人によって、時によって、さまざまあるけれど、私の場合は「脳ミソと視点を増やした上で、チームで出しうる最適な解を得る」ために招集をかけていると思う。

仕事がデキる人は会議で至るべき結論をあらかじめ決めて臨むもの、という話も聞くけれど、人と一緒に仕事をしているのに、自分の思考の範疇でそこまで作り上げてしまうのはなんだかツマラナイ。せっかくチームで仕事をするなら、ひとりでは考えつかない結論に至りたい。

とはいえ、メンバーの考えを引き出しながら、議論を目的地点へ到達させるのは、けっこう難しい。特に、事業戦略やプロジェクトの企画を立ち上げる時に起こる抽象度の高い議論は、いつも進めるのに苦労する。

何度も失敗を重ねる中で体得してきた、私なりのミーティング運営の工夫をまとめておきたい。

1. 会議の骨子を事前につくって共有

ミーティングを設定する際に、大まかな会議構成を設計しておき、それを参加者に共有する。以下のテンプレートを埋めるのが、手軽な割に確実で気に入っている。

会の目的

成功のイメージ

アジェンダ

想定される障害

私の会社ではGoogleカレンダーを使っているので、会議の予定を入れる際、カレンダーのメモ欄にこれを記入して、参加者に招待を送る。例えば以下のように。

会の目的
旅行のプランを決める!!

成功のイメージ
- 旅程表の空白を埋められる
- お互いの行きたいとこ食べたいものが可視化される

アジェンダ
- お互いの行きたいスポットやお店をプレゼン
- 各日、訪問エリアを決める
- 行きたいスポットをはめる
- 宿泊場所を決める
- 残りのtodo確認&担当わけて解散

想定される障害
- 行き先のアイデアがなくて話が進まない!
   →各自、当日までに行きたいとこ・食べたいものリストアップしてくる!
- 意見が割れてプランが決まらない!
   →観光スポットは○○さん、食事はxxさんが最終意思決定をする

これをやっておくと、当日の話し合いがとてもラク。「目的」と「成功のイメージ」を言語化すると、招集するメンバーと何を話すべきか見えてくるし、またそれを共有しておくことで、参加者を”同じゴールに向かう仲間”にすることができる。「想定される障害」がある時は、参加者に宿題や何かの役割が発生することが多いが、なぜそれが必要か理由がわかる状態で依頼できるので、引き受けてもらいやすい。

2. 議論を可視化して一緒に追えるようにする

会議を始めたら、参加者が見えるところに、議論の過程をかいつまんで書いていく。通常はホワイトボードを使うけど、人数が多かったりリモート参加の人がいる時は、Google docsなどを使いリアルタイムで議事録をつくって共有してしまうのも良い。

「ホワイトボードを使う」なんて基礎中の基礎かもしれないけど、たまに口頭だけで議論を進めると、いつの間にかお互いまったく別のことを想像して話していたり、途中の文脈が飛んで誤解が生じているようなことが意外とたくさんある。そんな曖昧さを含む議論の流れを、参加者各位が脳内で描きながら会話していると、それだけで思考リソースが大幅に消費されてしまう。

議論の履歴はホワイトボードで一目瞭然に共有しておいて、その分参加者のアタマを、議題に対する自分なりの思考を深めることに使ってもらえるようにしたい。

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3. 参加者全員から発言を引き出す

会議をファシリテートする時にもっとも心を配ることのひとつ。私は目指す解に向かって視点を増やすためにミーティングをするので、参加者全員に議題について考え、意見を出してもらいたい。が、普通にやるとどうしても発言できない人が出てくる。そんな時は、次のような工夫をする。

a. 発言の順番を決めて、議題ごとに一周する
冒頭で「今日は○○さんから時計回りで行きます〜」等と発言順を決めておき、議題ごとにその順番通り全員に意見を述べてもらう。稚拙なルールにも思えるが、発言するのに空気を読み合う必要がなくなるし、何より全員が「自分も意見を言わねばならない」と自覚してくれる点が良い。ただ、どうしても人前で自分の意見を述べるのが苦手な人もいるので、「否定しない」「人の意見に乗っても良い」と先に宣言しておくなど、心理的プレッシャーを下げる工夫もセットで行う。少人数での会議におすすめ。

b. ふせんに意見を書いて出してもらう
議題に対して考えていることを、5分程度でふせんに書き出してもらい、3枚ずつ発表しながらホワイトボードに貼り出す。ふせんの内容は、粒度がバラバラでもいっこうに構わない。議論の途中ではしばしば、議題に対して参加者たちが何を考えているか見えなくなる。その、口頭会話では出てきづらい思念を、みんなの目に見える形に引き出すことが、この行程のポイント。ふせんを貼り出した後に、それを見た感想を述べ合うと、さらに議論を進めやすくなる。議論が暗礁に乗り上げた時や、人数が多めの会議におすすめ。

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4. 最終意思決定は1人に任せる

ここまでで参加者から提供してもらった新しい視点や意見を取り入れて、1つの結論に昇華させるには、もう一段頭を捻る必要があることが多い。ここがうやむやになると、参加者に割いてもらった時間と労力に見合う成果が出せなくなる。

このプロセスを複数人の合議で行うと、「うやむや」の結論に陥りやすい。そこで、意思決定者は1人に絞り、ミーティングを設定する時に指名しておくことにしている。意思決定者になった人は、どのアイデアを会議の結論に採択するかを決めるほか、なぜその結論を選んだかを参加者に説明し、必要なら質疑応答も受けてもらう。重責なので、意思決定者になると、会議の冒頭から1ミリも気を抜けなくなる。

とはいえ、意思決定者は誰の助けも借りずに1人で結論を作り出さなければいけないわけではない。他の参加者も、良い結論に至れるまで協力する。例えば、意思決定者以外のメンバーで良いと思う案に事前投票して投票理由を伝えたり、専門知識を持っていそうな社内外の人を呼んで助言を求めたりする。ただ、自分の言葉で論拠を語れる決断を作る部分を、意思決定者が自力で行うことが大切。

ちなみに意思決定者役は、プロダクト/プロジェクトのオーナーや、ステークホルダーに担ってもらうことが多いが、経験を積む意味で敢えて年次の浅いメンバーを任命して挑戦してもらうこともある。

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おわりに. チームで「掛け算の仕事」をしたい

この記事は、とある同僚にミーティングのファシリを褒めてもらったことをきっかけに書き始めたが、書いてみてつくづく自分がチームで仕事をするのが好きな性質であることを感じた。小回りを利かせながらズバッと動くスタンドプレーにも憧れるけど、私は自分以外の人と協働することで起こる、自分ひとりでは見られない化学変化が楽しいらしい。

紹介したミーティング運営の工夫は、その化学変化を、成果につながるように狙って起こす仕掛けにもなっていると思う。どれも、やること自体は簡単で、気に入って愛用している手法なので、今後も続けてより進化させていきたいと思う。

note初心者です。発信力を研鑽したくて書いています。