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ポケモンのすごさを実感したWCS

今回はとても楽しかったポケモン世界選手権について書く。


奇跡的なチケット当選


ポケモン好きを語っておきながらお恥ずかしいことに、僕は今回のポケモンWCSの観戦チケット(スペクテイター・バッジ)がどれくらい貴重なものか知らなくて、「現地配布のポケモンをもらいにいこう」くらいの軽いノリで応募して、見事に当選してしまった。


自慢ではないけれど、僕はチケット運に関しては、ものすごく悪い。どのくらい悪いかというと、BUMPのライブのチケットは毎回同行者のシュウマイ君頼りで、記憶が正しければ僕が当選したことは二度しかない(初ライブから約10年、毎回申し込むのに)。そういうわけなので、WCSのチケットの当選メールを受け取った時も、「自分が当たるくらいだから、倍率は低かったんだろうな」と勘違いしてしまった。


時々、ダブルバトルの動画のコメントなどで、当選しなかった人がいることはなんとなく知ってはいた。でも、くじ運が世界最悪の僕が当たるくらいだから、倍率はせいぜい1〜1.5倍程度だろうと、ポケモン関連のイベントの凄さを当日まで舐め切っていた。


いってしまえば、ポケモンの夏イベントに参加するのはお子様が多いだろうし、わざわざお金を払ってまで(2000円)他人の試合を観戦したい大人など、まあそんなに数は多くないはずだと、たかを括っていた。それがとんでもない間違いであることに気がついたのは、当日の昼頃のことであった。


観戦前日


スペクテイター・バッジがあれば同行者を誘えるので、せっかくなので友人と観戦に行こうと思い、いつものグールプに呼びかけてみた。だれも興味ないだろうなと思っていたら、いつものシュウマイくんが来てくれることになった。


どうしてもポケモンセンターでグッズが欲しかったので、ポケモンセンターの抽選にも応募したのだけど、後になってスペクテイター・バッジがあれば入場できるとメールが届いた。この時は他のイベントに興味がなかったけど、今思えばもっと色々と申し込めばよかった。


シュウマイ君の仕事の都合もあり、僕らはダブルバトルの決勝戦が行われる13日に参加することにした。その前日の12日に、GOをプレイしている両親が犬を散歩がてらポケモンイベントに連れて行こうと言い出したので、予定日の前に会場に足を運ぶことになった。


現地に着くと、パシフィコから赤レンガ倉庫までポケモンづくしだった。盆踊りの会場では、コイキング釣りやモンスターボール投げといった子供向けのゲームが催され、かなりの数の親子連れで賑わっていた。時間になると中央の櫓で盆踊りが始まり、ピカチュウを発見したのでワンコに見せてみたけど、特に興味はなさそうだった。


あんまり興味なさそう



港の方へ歩いて行くと、サント・アンヌ号を見つける。こちらもすごい人だかりで、僕がみた時には入場まで40分待ちとなっていた。わんこがいるので入れなかったが、中では対戦をしたりできるらしく、初代赤・緑のゲームを再現していたそうだ。


赤レンガに向かう道には、フォトジェニックという写真を撮れるスポットが数多く設けられていて、こちらも長い列ができていた。うちのわんこはコリンクやベロベルトの写真を撮影したけど、暑さでバテバテになっていてちょっとかわいそうだった。


コリンク
みんな舌が出てる


赤レンガに到着すると、巨大ピカチュウにお出迎えされる。周辺にはヤドンのタクシー、ラプラスやミジュマルのバスが並び、こちらでも記念撮影をした。とにかく人が多くて、人気のあるポケモンは撮影までにかなり並ばなくてはならなかった。

ピカ様
冷やしうどん、食べたいです。
ラプラスに乗って家に帰りたい
暑い。ミジュマル、水かけて……


観戦当日


13日はシュウマイ君と桜木町駅で待ち合わせをした。シュウマイ君は僕より早く来て周辺を散策していた。


前日に来たので知ってはいたけど、街全体がポケモン一色に染まっていて、抽選に申し込んだ時には想像もしなかったワクワク感に満たされた。駅から会場に向かう道にフラッグが飾られ、リュックやTシャツなどのポケモングッズを身に付けた人たちの姿が数多く見受けられる。


読者の皆さんもご存知の通り、僕は世界チャンピオン級の方向音痴で、あの無敵の王者ダンデに匹敵するほど地図を読むのが苦手である。一方でシュウマイ君は最新のナビゲーションばりに地理に詳しいので、すべての案内を彼に一任した。なので、建物の名前が全くわからないのだけど、ポケモンカードがずらりと並ぶショッピングモールに入った。

大きい!
君、フェアリータイプなの?
ふん、テラスタルするまでもないな…
カッコ良い
わーい


ショッピングモールを抜けて試合会場のパシフィコに向かう。途中でブラッキーの旗に遭遇してパシャリ。会場に到着して中に入り、受付に向かった。


どこもかしこもポケモン!
ラーメン食べたい
ニャオハ
グレイシアもどこかにいるかな?


受付には外国人のスタッフがいて、通訳担当の男性(英語話者)がとても流暢な日本語を話していて驚かされた。僕らは女性のスタッフに手続きをしてもらったのだが、途中で通訳の彼がどこかに呼ばれていなくなってしまい、僕らは彼女の英語を理解できずに大変だった。日本に住む限り英会話ができなくても困らないと思っていたけど、やはり日本人はもっと英語でのコミュニケーション能力を磨かないと、国際的な場では通用しないことを痛感した。


あらゆるメールを見せてようやくコードが載った目当てのものを見つけ、手続きを進めることができた。入場者特典として、スペクテイター・バッジ、海外版ポケモンカード、英語版シャリタツのコード、それから試合会場でピックス・モブ(?)をもらった。めちゃめちゃ豪華な特典をもらって、僕はようやく当選してよかったと実感できた。


入場者特典が豪華!


受付を済ませて会場に入ると、巨大な空飛ぶピカチュウが迎えてくれた。会場全体を見て周りながら、写真をパシャパシャ撮りまくった。


ステージ
空飛ぶピカ様
色んなポケモンのフラッグが垂れている
屋台!
ニャオハ…
ホゲータかわゆい
道場主
タクシー
君はいいポジションもらったよね…


午前中はポケモンGOの決勝戦が行われていたのだが、それほど人は多くなかった。やっぱり屋外の子供向けのイベントに比べて、ゲームを観戦したい大人は少ないのだろう、と勘違いをしてしまったのは、これが原因である。だって、午前中は本当にどこでも座れるような感じで、まさか午後にあんなことになるとは思うわけがない。


午前はこんな感じで空いていたのに


ポケモンセンターに入れる時間になると、僕らは見知らぬYさんと共にショップに向かった。実は会場の周辺にはポケモンセンターの抽選に外れた人や、数量限定のボックスを目当てに周回しようとする人がたくさんいて、スペクテイター・バッジを持つ人に声をかけてくる。


うっかり写真を撮り忘れたのだけど、WCSのポケモンセンターの中には歴代のポケモンフィットがずらりと全員並んでいて、これはなかなかの眺めだった。店内は通常のポケモンセンターの10倍くらいは広くて、最終日にも関わらず次から次へと在庫が品出しされていた。


ワクワク
きた!


やはりポケモンカードの人気が圧倒的で、限定BOXはすでに売り切れてしまっているものもあった。僕はポケカにはほとんど興味がなかったのだけど、シュウマイ君に強く押されてピカチュウのボックスを購入することにした。そのほかにも、現地限定のぬいぐるみやデッキ・シールド、それからラプラスのキャップ、友人たちへのお土産を買った。


ラプラス版は売り切れだった


限定ぬいぐるみ
食いしん坊ホゲータかわわわわゆい!
お絵描き用に
キャップ好きです
ポケカはやらないけど
ラブトロスだけ開封した
友達にお土産


一度店を出てしまうと再入場できないので、店を出るのが名残惜しくて仕方がなかった。まあまあの量を買ったので、店員さんは大きめのリザードンのショッパーを出してくれたのだけど、グレイシアンの僕はコミュ障であることを忘れて「あの、イーブイのショッパーが欲しいんです!」といったら、ご親切に変更してくれてありがたかった。


ぶいぶい!


すでに11時ごろだったので、僕らは近くの大戸屋で昼食をとることにした。早めに行動しているつもりだったが、店内はすでに混み合っていて、運よく空いていたカウンター席に通された。周りを見渡すとポケモングッズを持った人がいっぱいだ。しかし、スペクテイター・バッジを下げている人はほとんどおらず、ちょっとだけ誇らしい気分になれた。


ランチを終えて会場に戻り、僕らはひどく驚くことになった。ちょうどポケモンカードの決勝戦が行われているところだったのだが、ステージ寄りの席は満席になっていたのだ! おい、午前中の空き方はフェイクだったのか? 仕方がないので、僕らはステージから遠い後ろの方の席につき、ポケモンGOをやって時間を潰していた。


僕はポケカが全くわからなくて、シュウマイ君はルールは知っている程度だった。モニターに映る盤面が動くと、会場がどよめくことがあった。しかし、僕は何が起きたのか少しもわからず、会場の興奮を分かち合えなかったのがとても残念だった。野球を知らない人がプロ野球を見に来たような感じだ。


僕はポケモン関連はなるべく触るようにしていて、剣盾ではシングル専門だったのに、SVからはダブルもプレイするようになった。ポケカについても、少しでも齧っておけば、会場の盛り上がりを体験できたのに、とかなり後悔することになった。


なんだかよくわからないうちにポケカの決勝戦が終わり、僕らはステージ寄りの席を探して回ることにした。モニターの見えにくい前の方の席を押さえたのだが、しばらく留守にしてしまっているうちにスタッフに荷物をどかされてしまった。席取り禁止なんて、そんな話は聞いていないぞ……


かなり人が増えた


この時、会場の入り口には、スペクテイター・バッジを持たない人たちがたくさんいて、外から少しでも覗こうとしていた。会場は後ろの方まで満席で、僕はここにきてようやく、抽選に当たったことの幸運を理解した。


どうにか反対側で席を見つけることができ、やっとお目当てのゲーム部門の決勝戦が始まった。やっぱり自分が理解できる競技は面白くて、1ターン動くごとに声を上げて応援した。シニア部門でニンフィアがHP3で耐えたり、サンダーが相手のヒードランを麻痺らせ、熱風をかわしまくった時は、会場全体が日本人選手のための空気になっていることを感じた。何よりぽわぐちょの暴れっぷりがすごくて、来年の配布もぽわぐちょかな?と苦笑いしてしまった。


いよいよ最後のマスター部門にも日本人選手が登場した。構築はお互いにハバタクカミ&トルネロスを軸にしたもので、4体がミラーとなっていた。僕はプロ野球など勝負事においては片方に肩入れしないことをモットーとしていて(応援して負けると悔しいから)、この時も日本人だからと応援するつもりはなかったのだけど、初めての日本開催でジュニア・シニアと日本人が獲っていた流れもあり、流石に木村選手を応援せざるを得ない心境だった。


木村選手はモロバレルをうまく立ち回らせ、次々と相手のポケモンを眠らせていく。キノコの胞子が効かないゴリランダーが重そうだったが、パオジアンのつらら落としで怯みを引き、運にも恵まれて痺れるような1試合目を拾った。会場にいると、ポケモンの神様が日本選手に微笑んでいるのではないかと、そういう雰囲気を感じた。


2試合目もやはりモロバレルが大暴れ。ぽわぐちょ、モロバレルといったサポート系のポケモンの強さが際立った試合が続いた。木村選手は2戦も勝ち切って見事に優勝を果たした。インタビューで「モロバレルをうまく使う秘訣は?」と聞かれて、「キノコの胞子を草タイプに撃つとめっちゃ効きます」と語っていた。ふむ、なるほど、世界チャンピオンは考えることが違うぜ(ご存じでない方のために補足すると、キノコの胞子は草タイプが相手だと無効化されてしまう)。


白熱の決勝戦が終わり、あとは閉会式が始まるのを待つだけとなった。僕らは一生懸命にケロマツをタップしまくる(この日はケロマツのコミュニティデイだった。ほんと、なんで今日なんですか、ナインテックさん?)。


カスミのコスチュームを装った女性司会者(写真撮り忘れた…)が出てきて、閉会式が始まった。株ポケ社長の石原さんが登場し選手の表彰が行われる。ただ、選手には申し訳ないが、僕らが待っているのは表彰式ではなく、新情報の解禁なのだ。もちろん素晴らしい結果を残した選手には惜しみなく賞賛を贈ることに吝かではないが、僕らが待っているのは新情報なのだ(しつこいな)。


ついに石原社長の口から、新情報の解禁が発表される。モニターにユナイトやポケモンカードの情報が流れるたびに、会場はどよめきに包まれた。だが、やはり一番の盛り上がりを見せたのはSVの新情報だった。気がつけば会場はどこもかしこも満席で、通路での立ち見客の姿もたくさん見られた。ポケモン好きな人たちが集まり、新しいポケモンとの出会いを楽しみにしていることが伝わってきた。


最後に来年の開催地がハワイであることが告げられ、初の日本開催となったWCS2023は幕を閉じた。まるで好きなアーティストのライブが終わった後のように、高揚感と幸福感、そして名残惜しさと寂しさが一度に胸を襲ってきた。本当にチケットが取れてよかった、と心の底から感謝した。


名残惜しい
出る前に見つけられた!


君が大好きだよ!


僕らはみなとみらいの駅へ向かった。僕がまだ見れていなかったポケモン・アートをシュウマイくんに案内してもらいながら、ライブ終わりのあの空気感を身に纏って写真を撮る。街にはまだまだたくさんの人がいて、ポケモンというコンテンツを心から好きなのだろう、と実感した。


駅のホームの床にも
これはホームの天井


ネットではしばしば、「いい歳してポケモンなんて」「ポケモンはお子様向け」と見下す人たちがいるけれど、WCS横浜に参加してみて、このコンテンツの底力を痛感した。大人から子供まで、ほんとうに幅広い世代、たくさんの人々に、ポケモンは愛されていることを。


もちろん、ポケモンとの向き合い方は人それぞれだ。競技で頂点を目指す人、大好きなポケモンのグッズを身につける人、子供と一緒に楽しむ人、カップルでお揃いのシャツを着る人たち。このようにポケモンの愛し方は違うかもしれないけれど、ポケモンを愛しているという事実は共通している。


駅のエスカレーターや、ホームの天井、それから駅表示など、ありとあらゆる箇所にポケモンがいた。本当に横浜の街全体がポケモンに染まっていた。僕の育った横浜で大好きなポケモンの世界大会が開催されたことに、深い感謝の思いが湧いてきた。多くの人々がそれぞれに愛するポケモンの世界大会が、自分の地元で行われた奇跡に。


電車も
案内板も
駅名も!




だが同時に、このままではまだ僕にとってのWCSを終えることができないのだ、とも感じていた。何かが足りない。出会うべきだれかに、僕はまだ出会っていない。その正体は、こんなにもはっきりとわかっていて、僕の胸は恋をする者のようにきゅっと締め付けられる。一目みたい、会いたい、抱きしめたい。


グレイシアはどこにいるのだろう? 会場にはブースターとブラッキーはいたけど、愛しいグレイシアの姿はどこにも見つからなかった。あの氷のように冷たく透き通るようなブルーの身体、大きくつぶらな瞳、チャーミングな耳の飾り毛、そして聴くたびに僕を天に昇らせる美しい鳴き声……


もしかすると、グレイシアはいないのではないか。そんな不安と焦りが僕を押し潰しそうになった。もうすぐで電車が来てしまう。ホームの残りも僅かになった。どこかで見落としてしまったのだろうか? 愛するグレイシアに会えないまま、僕は人生で二度とないであろうWCS横浜を終えてしまうのだろうか?


スペクテイター・バッジをくださったポケモンの神様は最後の最後に、僕のために最高の贈り物をとっておいてくださった。


そう、僕はついに見つけた。やっと会えたね。僕は、君に会いたかったんだ。ずっと会いたかった。君に会わないままでは、僕にとってのWCSは終われないんだ。ずいぶん待たせてしまったね。こんなところで、暑かったでしょう? 早くお家に帰って、冷たいジュースを飲もうね。大好きだよ!君を愛してるよ!グレイシア、大好きだよおおおおおおお!!!!!!!


やっと写真を撮れたね!
会いたかったよ、大好きだよ、愛してるよ!



終わり


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