見出し画像

北陸・農家ひとり旅

2月末、思い立って北陸金沢・富山にひとり旅2泊3日。
ひとりだと時間も何もかも自由で、いろんな人と話して、いろんなことを考えた3日間。
私は那須高原という自然の多い観光地に住んでいる。開拓地で古い歴史は多くはない。
古い歴史のある観光地としての金沢・富山をいろんな角度から見て、いろいろ感じたこと、考えたことをまとめてみよう。


1. 金沢駅の巨大観光案内所&街中の観光案内所

新幹線の改札を出ると、目の前に大きくてキレイな観光案内所があった。

パンフレットどーん!


案内所の窓口が5個くらいあって、1つは英語対応窓口。
他にも通路側に小さいブースがあって、そこにも一人案内の方がいた。
これだけいれば、週末や繁忙期でも対応できるだろうなぁ。
「いらっしゃいませ!!さあ、観光どこ行きますか?」
って、歓迎されてる感がすごくする。ワクワクするよね。
石川県内の市町村はもちろん、近隣の県のパンフレットも置いてある。
いろんな言語のパンフレットだけで1コーナー。

日本語以外のパンフレットコーナー↑


奥には石川県の伝統工芸や名産品の展示があって、どこに行こうか何をしようかまだ迷っている人には、いいヒントになりそうだ。
駅からバスで15分ほどの街中にも大きな観光案内所があった。


こちらも3名ほどの係の方がいて、すぐに対応してくれた。
当たり前かもだけど、みんなとても優しいし丁寧だ。

2. QRコードを使った兼六園・金沢城の音声案内

今回兼六園は早朝の無料開放時間に訪れたのと、冬場は週末しか有料ガイドがなかったので、観光案内所で見つけたQRコードを読み込むとアプリじゃなくてブラウザで音声案内をしてくれるシステムを利用した。
音声案内がある場所の近くに行くと、自動的に案内が始まる。

兼六園


地元のアナウンサーかなんかの音声らしく、とても聴きやすい。
歩きながら、イヤホンで歴史の説明を聞くのはちょうど良かった。
もっと歴史を知りたい人には追加の情報もあるし、次に進みたいなら途中で切ることもできる。今年中に日本語以外も始まるらしい。
金沢城にはアプリで音声ガイドをしてくれるシステムもあったが、時間がなくてこちらは使用できなかった。
こちらは、日本語だけでなく他言語にも対応していた。

金沢城


有料のガイドさんだと、こちらから質問もできていいんだけど、無料開放の早朝や時間的に合わない人には、アプリでの音声ガイドはいい選択肢だと思う。


3. 300人いる金沢茶屋街のボランティアガイド

ひがし茶屋街に行った時には、ボランティアガイドさんに案内をお願いした。無料で20分くらい。
金沢の茶屋街の歴史はもちろん、芸妓さんの仕事について、玄関にぶら下がってるトウモロコシの理由など、豆知識たっぷり。

縁起物のトウモロコシ


もちろん、地震の被害やその後の観光への影響について、ボランティアガイドの高齢化問題、インバウンド需要への対応についてなど、歴史以外の話も。
無料なの、もったいない。有料にして、ipadとか持って翻訳アプリとかgoogleレンズ機能で外国語対応すればいいのにな、なんて話もしたりして。
ボランティアガイドのサービスは休憩所に大きく書いてあるわけではないので、知らない人も多いらしくそれも勿体無いな、と思う。

休憩所の中

4. 駐車料金は世界遺産維持費

今回訪れた富山の南砺市にある世界遺産「五箇山」の相倉合掌造り集落。
約100年〜350年前の合掌造りが立ち並ぶ、日本に昔から続く風景である。

五箇山


駐車場に入ると「合掌造りを維持するための費用として、駐車場料金¥500を頂いてます」と係員の方が言った。そして集落内の散策は無料とのこと。
もちろん喜んで払いますよ!

中に入れる建物も多い


雪の中に佇む合掌造りの集落。
美しい、と思うと同時にこの建造物を守るために尽力している人々がいることに感謝。
この風景を守るための募金箱とか置いといてくれてもいいのにな。


5. 能登地震の影響

今回はひとりなのでけっこう地元の人、観光業の方々とお話しすることが多かった。特に地震と観光への影響の話。
ゲストハウスのオーナーさん、市場の人、お土産物やさん、タクシーの運転手さん、和食屋さんの板さん、レストランのシェフさん、酒蔵の女将さん。

やちや酒造


1月はほんとに誰も来なかった、とみんな口を揃えて言っていた。
2月になり、少しずつ観光客は増えてきて、中国の春節もあり外国人のお客さんも増えてきて、ようやくいつもの3分の1かな、いや4分の1かな、って。
たまたま出会った能登にボランティアに行った帰りの人に、能登の現状も教えてもらった。まだまだ復興にはほど遠く、水が来ていない地域が一番きつい、と。
私も那須高原で東日本の震災があり、農業の話や観光客が戻ってくるまでしばらくかかった話などをして、3月に北陸新幹線が伸びて、復興支援が始まればきっと景気も良くなるよ、なんて励まして。
自分も経験してきたことだから、よくわかる。不安だよね。
金沢の歴史と文化が持つ底力を信じて、自分ができる最大の努力をするしかない。

6. 立地や状況は集客には関係ない

地震の影響で人が少ない、という話をだいぶ聞いてから、金沢で何人かにオススメされたレストランPLAT HOMEに夕食を食べに行った。

PLAT HOME


予約はせずにオープン午後5時半にお店に行ったら、カウンターに案内された。誰もいなかったから、カウンター越しにシェフさんと金沢野菜や食材の仕入れなどについて話をしてしばらく過ごす。
今回は「栃木の那須高原から来た農家です」って先に言って、「野菜の質問してもいいですか?」って聞いたこともあり、どこの料理人さんも興味を持っていろいろ話してくれた。農家って話のネタになる職業だな、と思う。

ホタルイカとうるい


そんなこんなしてるうちに、午後6時にはなんと店がほぼ満席になった。水曜日の夜ですよ!
外国人のお客さん1組、あとは地元っぽいお客さんがほとんど。
もはや、料理人さんは私と話をする余裕もなく調理に専念。
人気店とは聞いていたけれど、ここまでとは。
ここのお店は地震の影響とか、人が出歩かない、とか関係なさそう。
もちろん美味しくいただいて、早めにゲストハウスに帰宅。

今回の旅の目的のもう一つが、富山の山奥にあるオーベルジュL’évo。
1ヶ月以上前から予約を取り、レンタカーをスタッドレス4WCで手配し、富山駅から1時間半のレストランへ。
その場所にはこのオーベルジュしかない。車も走っていない山道をナビ通り行くと、この場所に辿り着いた。

山の中のオーベルジュ


日本はもちろん、世界中からお客様が来るらしい。
金沢で食事中に「最終日は富山の山奥でランチなんです」って言っただけで
「あ、L’évoさんですね。あそこは素晴らしいですよ。」って料理人さん2人に言われるほど。
地震の影響も雪の影響も、関係ない。

12時から2時間半のランチコース。ひとり客の私へのサービスもちょうどよく、農家であることを話していたので、野菜や食材への質問にもホールスタッフがさらっと答えてくれる。

アミューズ
若鶏
水蛸


食事が終わってから、どうしても聞きたかった質問を聞いてみた。
高付加価値な食事を求めていらっしゃる外国人のお客様に、日本ならではの食材の説明やその食材への料理人のこだわりをどうやって英語で表現するんですか?
そんな質問にも丁寧に答えてくれた。
何もかもが気持ちのいい、極上のランチコースだった。

「場所が分かりにくいから」「コロナだったから」「地震があったから」
集客できないことにはいくつも理由が挙げられる。
自分の努力だけではどうにもならない、と感じることもある。
でも人は本当に「食べたい」「行ってみたい」と思ったら、どんなことも関係なくそこへ行くのだ。
私みたいにね。

今回はひとり旅だったこともあり、行く先々でこちらから話しかけたり、話しかけてもらってたくさん話をした。
栃木の那須高原から来たこと、農家をやってること。
加賀野菜のこと、地元の食材の旬をどうお客様に伝えるかということ。
能登地震のこと、これからの復興のこと。
10人くらいと話した中で、栃木や那須を知ってる人も多く、那須高原と縁のある方が2人もいたのはびっくり。
那須高原に移住して農家になってから、ゆっくり旅行する時間もなかった。今回のひとり旅は足が痛くなるほど歩いたけど、自分のペースでゆっくり過ごせたし、考える時間もたくさんあった。
農作物の収穫や販売のことを考えない貴重な3日間。
また行きたいな、ひとり旅。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?