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【RIZIN】那須川天心「3分3R、長かったです。堀口さんと戦ってすごく楽しかった。濃厚な時間でした」

9月30日、さいたまスーパーアリーナで『RIZIN.13』が開催された。台風24号が迫るなか、RIZIN史上最高の27,208人の観衆が詰めかけた同大会で、メインから第9試合に前倒しして行われた那須川天心(TARGET/Cygames)と堀口恭司(アメリカントップチーム)の試合は、初のキックボクシングルールに挑戦した堀口に那須川が判定勝ちを収めた。試合後の一問一答は以下の通り。(photographs by Wakahara Mizuaki/GONG KAKUTOGI/RIZIN FF)

【写真】二瓶空手の堀口恭司に対し、伝統派空手の練習も積んできた那須川は、いつもとは異なる構えも見せていた。

──試合を終えた率直な感想を。

「3分3R、長かったです。堀口さんと戦ってすごく楽しかったです。お互いのかけひきというか、見合う時間は多くなりましたけど、濃厚な時間でした。何ですかね。一つひとつの攻防がすごいゆっくりなんですよ。“あっ、こっちが来た、返そう、フェイント”とかすごく考えられる試合でした」

──試合前の「ナメられてる」などの発言はあえて自分を鼓舞するためでしたか。

「そうですね。自分は堀口さんほんとうにすごい人だとずっと思っていて、尊敬もしていますし、戦うのは嫌でしたね。試合となったら、やらなきゃいけないというのがあって、ほんとう、最後の最後まで敵としては見れなかったかなという感じでした。試合前はお互いに(強い言葉を)言い合ってごまかした部分もあります」

──判定という結果については?

「もちろんKOは狙いたかったですけど、それ以上に堀口さんがよかったかなと思います」

──何回かいい蹴りが入ったと思いましたが、ご自身での手ごたえは?

「何発か効いたと思ったけど、表情にも出さないので、行こうとしたけど行ったらヤバいかなと思わせる部分があって、ちょっと見合っちゃいました。怖さを感じましたし、本当に強いんだなと思いました。今回の試合を越えたことで、自分がほんとうにレベルアップできたんじゃないかと思います」

──堀口選手は今まで対戦した日本人選手で最強だった?

「そうですね……それぞれタイプが違う選手なので。すごくやりつらいというか……勝ち負けじゃない感じがしました」

──一番、感触があった攻撃は?

「胴廻し回転蹴りですね。おっ、と思って。表情がちょっと濁ったんですけど、すごい感触はありましたね」

──胴廻し回転蹴りや蹴り返しなど、蹴り技が活きる場面が多かったのですが、作戦としては?

「作戦はいっぱいあったんですけど、もうあってなかったようになってしまって(苦笑)。必殺技も用意してたんですけど……シャイニング・ウィザードっていう……(笑)。でも出せなかったです」

──堀口選手の攻撃で効いたのは?

「攻撃というか、戦っていてオーラが出てましたね。一瞬で仕留めるような。そういうのがあったんで、自分も無理に手が出せなかったですね」

──判定で手が挙げられたときは?

「充実感が違いましたね。天下分け目の、自分のこの先の格闘家としての人生が決まるような試合だったので。勝ったときも……この試合を経験したことで、怖いものはないんじゃないかなっていうくらいの感覚でした」

──重圧は?

「プレッシャーというか、緊張ですね。KOだとか、自分では思いたくなかったんですけど、すごいみんなから言われていて。そういうこともあるのかなと思ったり、自分のなかで堀口恭司という男を大きく見て、すごい尊敬しているので、ほんとうに戦うんだな、という感じでいっぱいでした」

──試合後の涙の理由は?

「受けてくれた堀口さんにありがとうっていう気持ちや、自分のなかでの重圧に開放されたというのもありましたし。……だって、試合が終わってあんなにニコニコしている、堂々としている人っていないじゃないですか。そういう姿を見て、ほんとうに強い人だなって感動したり」

──会場の雰囲気は?

「最高でしたね。ヒーローのような、手を上げるだけでワーッと沸いて。嬉しかったです。台風もあって状況が悪いなか、ほんとうに熱気が伝わってきました。両方の応援がすごかったです。チケットが売れたというのも嬉しかったですし、堀口さんとならこういうことが出来ると思っていたのでやれてよかったです」

──RIZINが年末に企画していたキックトーナメントについては?

「参加したいというのもあるんですけど……どうなんですかね? なんかどうでもよくなってきたというか(笑)。この試合で得られたものが大きかったので、いまはあまり考えらえない。ほんとうに決まればやりたいですね。そのくらい非日常的でした」

──リング上で次の試合についても言っていましたが、今後について。

「リング上で言ったんですけど、全部間違っていました(苦笑)。11月16日、RISE幕張と言ったんですけど、正しくは11月17日、両国国技館でした。(興奮していたから?)次の試合のことは一切、考えてなかったんで。20歳になったばかりですが、今回、人生の節目になるような試合ができて、そういう経験ができるというのはすごく嬉しいことでした」

──再戦や今後、MMAを求められたら?

「うーん、自分のなかでは将来的なことをいろいろ考えていて、まだMMAをやるのか、キックの道を進むのか、ボクシングをやるとか、いまほんとうに悩んでいて、ほんとうにMMAをやるならMMAだけをやっていきたいですし。自分でMMAをやってみて感じたんですけど、そういう中途半端な状態で、中途半端な気持ちでMMAをやるのはよくないなと思いましたし、それで両方同時に狙えるほど甘くないんで、MMAをやるならしっかり準備してやりたいです」

──試合をしてあらためてよかったことは。

「今日、試合をして思ったのは、日本も格闘技、まだまだ盛り上がるぞ、ということをすごく感じましたね。希望が見えたというか、こっから盛り上がるぞ、というのをすごく感じました」

──那須川選手は海釣りに行かれていますが、堀口選手は川釣りが得意そうです。どちらになりそうですか。

「そうですね。さっき控室で話して『行きましょう』ってことになったんで、これから決めます!」

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