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【K-1】武尊「セコンドについてくれた功也くん・ヒロくんが『このベルトは俺らも巻いたベルトだから嬉しいよ』って言ってくれて、涙が止まりませんでした」

 3月22日(木)東京・飯田橋にあるホテルメトロポリタンエドモントにて「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN ~K'FESTA.1~」の一夜明け会見が行われた。(記事提供=(C)M-1 Sports Media )

 昨夜の第4代スーパー・フェザー級王座決定トーナメントを制して、K-1史上初の3階級制覇を成し遂げた武尊。一夜明け会見ではトーナメントの3試合を振り返りつつ、2014年11月からK-1をけん引してきた“K-1の新カリスマ”としての想いを語った。

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◆武尊「お客さんの熱を感じて気持ちが燃えてきた。K-1をもっともっと大きくしたい」

「昨日は本当に沢山の応援ありがとうございました。初めてのさいたまスーパーアリーナ・メインアリーナの大会で、メインイベントに出場できて、こうしてチャンピオンになれて。昨日の日のことを考えて去年からずっと毎日やってきたんで本当に嬉しかったです。それを超満員のお客さんと一緒に共有できて本当に幸せでした。ありがとうございます。

──3試合それぞれの感想は?

1回戦で戦ったスタウロス・エグザコスティディスは前王者の大雅選手にKOで勝ってる選手で、僕はスーパー・フェザー級のベルトをかけてやるなら絶対にやりたい相手でした。スタウロス選手は本当は違う大会が決まってたらしいんですけどこっちを選んでくれて、本当にスタウロス選手には感謝してます。それだけ強い選手だったんで、僕もそこに全神経を集中させて練習してました。

(スタウロスは)一発がある選手だったんで、特に左フックを警戒してました。練習からずっと対策もやってたんですけど、それでもタイミングを読めなかったりしてもらっちゃったりもしたんですけど、このベルトを獲ることを一番の目標でやってきたんで。1回戦は倒そうというよりも、とりあえず勝ち上がりたい、この選手に勝ちたいって気持ちが強かったです。KOは出来なかったですけど、スタウロス選手に勝てたことは本当に嬉しかったですね。

 準決勝は郷州選手で、本当に気持ちの強い選手で体もタフな選手なんで、正直、トーナメントではああいう選手は一番削られちゃうで。当たる回数の多い選手だと素足でやっているのでどうしても怪我するし、やりたくないとは思ってたんですけど。あれだけアグレッシブに来る選手なんで、逆に言うと倒すチャンスはあるなと思ってました。1回戦でちょっと膝を痛めちゃったんで、パンチですぐ倒したいなってのがありました。1回戦の郷州選手の映像を見て、右のパンチを合わせれるなと思ったんで、それを作戦でずっと練習してました。上手く作戦がはまって倒せたなって感じでしたね。

 決勝戦は小宮山選手で、独特の距離感と蹴り技は本当に難しかったですね。どう攻略するのか、映像を見ているだけだとイメージがつかなくて。無理に飛び込んでもカウンターのハイキックとかバックスピンキックだったり色んな攻撃を持ってるんで、そこは凄い警戒していて。試合をやってみてどの感覚で入れるかなというのを探りながら、でも決勝戦だし2人の距離が空いている試合にはしたくないと思ってたんで。強引に詰めるところは詰めて倒しにいったって感じでしたね。

──ワンマッチからトーナメントへの変更、階級変更でコンディション作りは難しかった?

「3月のさいたまの大会はK-1で一番デカい大会になるんで、そこでやっぱりチャンピオン対決したいなと思って、最初は3月のためだけにスーパー・フェザー級に上げようと思っていました。まさかトーナメントになると思ってなかったし、そうなると身体の作り方だったり、3試合やらないといけないから調整も色々と変わるんで。食事とか凄い気をつけてやっていて、3食吐くギリギリのところまで食べて体重増やしてましたね(苦笑)。コンディション作りが今回は一番大変だったかなって」

──長い大会だったが、回復や集中力の維持に違いはあった?

「それが本当にきつかったんですけど、時間が空けばたくさん回復できると思うかもしれないですけど、時間が空けば空くほど(身体が)痛くなるんですよ。いつもは試合の間隔は1時間か1時間半ぐらいなんですけど、今回は2時間か3時間ぐらい空いてて。そうなるとアドレナリンが切れて痛みが出てきたり、1時に本戦が始まって決勝は9時前ぐらいで、そうなると集中力を切らさないようにするのが一番大変でしたね。テンションもどうしても1回下がっちゃうんで、そっからもう1回気持ちを作り直していくっていうのが一番大変でした」

──試合翌日のダメージは?

「3試合やったんで結構ダメージはあるんですけど、前回のトーナメントに比べたら無事な方かなって感じですかね。前回が終わった後は交通事故にあった後みたいな感じだったので(苦笑)。何箇所か骨折していたし、筋肉断裂とかもしていたし……まだ病院に行ってないんで分からないですけど、今回はそこまでないのかなって思います」

──昨晩はどのように過ごした?

大会が終わった後に取材とか色々あって、会場でアフターパーティーに出て、会場を出たのがもうけっこう遅かったので。そのあとに地元から出てきてくれて、その人たちの祝勝会に回って、12時ぐらいにホテルに帰りました。それから朝までお礼のLINEをずっと返し続けて、9時ぐらいにすべて返し終わって、2時間ぐらい寝ました」

──フレームやパワーの違いは感じた?

「今までの階級だったらこの攻撃で倒れてるだろうなって攻撃で倒れなかったり、一発攻撃を食らった時の重さだったりは感じました。でも僕も-60kgでやるからには体の強さでは絶対負けたくなかったんで。そこがトーナメントは一番大事だと思うんでフィジカルの強化は凄いやってきたし、練習とかでもアメリカ行った時にUFCの60kgのチャンピオン(バンタム級-61.2kg王者のTJ・ディラショー)とかともやったり、大きい選手ともずっとやってきたんで」

 あとKRESTはその階級で強い人がめちゃくちゃ一杯いるんで。若い選手とかも強いのは一杯いるし、基本は-60kgから-65kgでやってる選手たちとずっとやってきたんで、思ったよりはパワー負けしなかったです。

──準決勝の時点でKO勝ちしたあとムーンサルトを見せたのは?

「僕はKOしたらバク宙すると決めてるんで。それをファンの人も期待してくれているし『トーナメント中は止めた方が良いよ』『足をくじくよ』って言われるんですけど、あれは自分の中でもやらないといけない儀式なんでやりました」

──トーナメント優勝を決めた直後、セコンドについた卜部弘嵩選手と言葉を交わしていたが?

ヒロくん(弘嵩)は1回戦で負けちゃって……僕が東京に出てきた18歳から毎日一緒に練習して、プライベートでもずっと面倒を見てもらって、ご飯を食べられない時には食べさせてもらって、本当の兄貴みたいな存在なんで。ヒロくんが負けたのは本当悔しかったし、敵討ちは僕がしなきゃいけないなと思いました。

 それでトーナメントに挑んだんですけど、その後ヒロくんとも話して、『一緒に勝ちたいからセコンドついてくれますか?』と言ったら『もちろん』って言ってついてくれて。準決勝から決勝まで全部、決勝は(卜部)功也くんも試合が終わった直後だったんですけど一緒についてくれて。2人が一番近くでサポートしてくれて本当に心強かったです。

 あとはあれだけ長かったりトーナメントでずっとプレッシャーがかかってると気持ちが不安定になったり切れちゃったりするんですけど、2人がいたから僕のメンタルが保たれました。2人は9年間ずっと普段から近くで見てくれているんで、僕のメンタルの状態のことをすごく分かってくれています。2人がいたことは決勝の時は本当に心強かったですね。

 決勝が終わって、2人に会いにいった時に言われたのが『お前も巻いたなこのベルト』って。このベルトは功也くんもヒロくんも2人とも巻いてるベルトなんですよ。『このベルトは俺らも巻いたベルトだから嬉しいよ』って言ってくれて、涙が止まりませんでしたね。めっちゃ嬉しかったです」

──さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで戦った感想は?

「そこにK-1として戻ってこれたのは本当に嬉しかったし、1回K-1がなくなっちゃって、自分が格闘技をやっていることを誰にも知られてなくて。毎回命賭けて試合してるのに、何でこんなに見てもらえないんだろう? って悔しさがずっとあって。

 最初はKrushの時に新宿FACE・後楽園ホールから始まって、そこからあの会場までいけたのは本当に僕の力だけじゃないし、皆でそこにいけたと思っています。だからすごく嬉しかったし、決勝が終わって、落ち着いて観客席を見た時に、あれだけ長い興行だったのに、一番最後までほとんどのお客さんが残ってくれていて。みんなが凄い熱を送ってくれました。

 正直、大会が終わって燃え尽きるのかなって思っていたら、その熱でもっともっと燃えてきて。こんなもんで終わらしたくないな、もっと大きい大会にしたいなって思いました。だから今回はさいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで大会を出来たことは本当に嬉しかったんですけど、もっともっとでかい会場だったり、大きい舞台にしていきたいなって気合いが入りましたね」

──今回は試合前に色々なこともあって、絶対に優勝したい・成功させたいという気持ちは強かった?

「そうですね。この大会は絶対成功させたかったし、その中心に自分が居ないといけないと思ったんで。最初はメインに出れるかなと思ったんですけど、トーナメントになったんで自分で掴み取らないといけない舞台だったんで。特に今回は勝てて本当に嬉しかったし、K-1が最高の舞台だというのを僕がこれからも証明していきたいなと思います」

──対戦カード変更の件があって『最近は笑ってない』と言っていたが、今はその感情も解けた?

「大会が終わった後はちょっと笑ってたかもしれないですね。今回は試合中も笑ってなかったねって言われたんですけど、いつもは試合を楽しんでるんですけど、今回は本当に絶対に勝ちたいって気持ちが強すぎて。必死というか、勝つことだけを考えてやっていました。

 今回は身体がどうなってもいいやと思ってやってたんで、一つ一つの攻撃が自分でも制御できないというか、この角度で打ったら手首が壊れるだろうなって角度でもフックを打っちゃったりとか、パンチって顎を狙うんですけど、頭の硬いところも狙っちゃったり。試合前からずっと自分でもちょっと制御できてない感じにはなってましたね」

──今はもう大雅へのわだかまりは解けた?

「そうですね。もう終わったことだし、トーナメントになったことで、僕がそこで勝ち上がれば。1回戦でスタウロス選手を指名したのもそれが理由なんですけど、僕がスタウロス選手に勝って、トーナメントもちゃんと勝ってこのベルトを巻けば全てがすっきりすると思いました。今はもう終わったことだし、僕はすっきりしてます」

──皇治選手が12月の大阪大会でやりたいと発言していたが?

「いまだに何とも思ってないですね(苦笑)。やりたいんだったらいつでもやってやるし、なんなら無観客試合でもいいからやってやりますよ」

(※会見後、武尊は来場したファン全員と急きょ、握手会を行なった。写真= (C)M-1 Sports Media)

◆武尊、試合直後の言葉「逃げも隠れもしない」


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