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【RIZIN】那須川天心が語っていたこと「みんな距離に騙されちゃっている。一個一個のパンチや蹴りを分析していくとそこまで恐くない」=9月30日(日)『RIZIN.13』で堀口恭司と対戦

9月19日、千葉のTEPPEN GYMで公開練習を行った那須川天心。互いにフェイントで騙し合いの末、ミスをした方が負ける、との予想もあるなか、那須川は公開練習で強い左ミドルのほか、回転系や跳びヒザなどの動きも見せた。遠い間合いから飛び込む堀口に対し、「狙っているものもある」と語った那須川。当然、堀口もカウンターのカウンターを狙ってくるだろう。練習後の囲み取材では、那須川は「ファーストコンタクトで決まる」と、最初の攻防で勝負の行く末が見えることを予告した。堀口のコメントとともに再掲載する。(※下部に試合前々日コメントを追記)

【堀口恭司】KIDと同じグローブマッチへ「

◆那須川「距離を詰めるまでのプロセスが大事」

「いまもずっと練習していたんですけど、父親ともいい感じで追い込みができています。前回(6月)ロッタン戦の時に本当に追い込みすぎて、当日まで疲れがなかなか取れなかったので、今回は追い込みでもキレやスピードを重視してやっています」

──堀口戦のポイントは?

「互いにスピードがあるし、堀口選手は僕より遠い距離にいるので、相手の嫌なことをいっぱいやって、ほぼ自分の攻撃を一方的に当てていこうかなと思います」

──強化したのは?

「特別にこれというのはないですが、この試合に臨む期間で相当レベルアップしていると感じています。普段の生活、食生活も色々と勉強しているところなので、そういう部分でも活きているなと思います」

──堀口恭司選手の強さをどう見ている?

「(堀口は)距離やフェイント、相手を騙すことが得意な選手なのでそこだけ、というか。そこはしっかり気をつけて。あとはいつも通り戦っていくだけかなと。

みんな結構、距離に騙されちゃっているので。一個一個のパンチや蹴りを分析していくとそこまで恐くないかなと。カードが決まる前まではすごい強い選手だな、ヤバイな、誰が勝つんだろうと思っていましたが、改めてマジマジと見てみると強い選手ですけど、穴はたくさんあるなと分かったので」

──3年前のKRAZY BEEでの那須川選手とのスパーリングの印象は?

「スパーリングというよりも、マスというか、技を試すといった感じで自分も本気でやっていなかったですし。やはり距離は遠かったなと。あとは誘い方が上手かったなという印象。急にパン、とパンチが入ってきたのはビックリしましたね」

──堀口選手が3年前のイメージのままでいるとしたら、全然違うと?

「堀口さんもそう思っていないと思いますし、3年が経っていますからね。色々な経験をしてますので。あの時は高校生でチャンピオンになって間もないのかな……。あの時のマスは自分のなかでかなり良い経験になっているので、あれを思い出しながら、あれ以上、速いと想像しながら、かなりやっていますけどね。(当時は)思いっきりやったわけではないので、色々と試しながら手を合わせる感じでした」

──5月にイアン・マッコールを一発で仕留めた距離は危ない?

「別にあの距離に入っても大丈夫ですね。相手を騙しながら入っていけば。距離に入っているようで入っていなかったり、入っていないようで入っていたりとか。攪乱させるテクニックはあるので。マッコール選手はただ前に、前に詰めなきゃいけない、詰めなきゃいけないっていうのがすごく強かったと思うんですよね。(距離を)詰めたからなんなのっていう感じで、その詰めるまでのプロセスが大事なので、しっかり練習でやってきました」

──勝負のポイントは何ラウンドになる?

「僕はラウンドというかファーストコンタクトですね。それで決まるんじゃないかなって。そこでKOというわけではないですけど、攻め方とか、自分も色々と用意しているものがあるので、そういうのを探り探り出して試そうかなと。そこの相手の反応ですよね。お互い対応力はすごくあると思うので。相手の呼吸が読めたり。今回、呼吸を読むことをすごく重視しています」

──伝統派空手の選手とも練習をやってきた?

「はい。やりましたね。現役のチャンピオンだったり。紹介してもらった人で、これが本当、速くて。堀口さんより速いですね。全然、速い。バーンって当ててくるタイプじゃなくて、スピード、スピードで当ててくるのでまた違うんでしょうけど、すごいいい練習ですよね。入り方のパターンだったり、気を抜いたらヤバイなっていう。それを知っておくのと、知らないのとでは違うと思うので」

──伝統派のなかでも二瓶空手については? 堀口には飛び込んでの連打もあるが?

「連打についてはキックボクサーもどんどん打ってくるので、入り方は伝統派だけども打ち合いの間合いはキックボクサー、というメージをしていますね。イメージ力はすごくあるので」

──食事に気をつけているのは持久系? それとも肉体強化?

「両方ですね。今まで何も考えてこなかったので。前回のロッタン戦ですごく疲れてしまって。練習の時もめちゃめちゃ追い込むんですけど回復できなくて。それで色々と試して、筋力アップもそうですけど、バランス良く食べたりとか、時間帯や間食とかを注意してやっているんですけど……そうしたら体重が減っちゃって。嫌いな物とかはないんですけど、今まで一切(食べ物について)考えてこなかったので。食べて寝て練習したら若いからすぐに回復するんだろうなって思っていたんですけど。色々な人に聞いたりとか、自分で試してみたりとかですね」

──58.0kg契約で普段の体重は?

「いまは61kgとかですかね。全然55kg、53kgでもいけますね。まあ、でも体重どうこうの問題じゃないので。強い選手がいるからやるっていう感じで。みんなが求めているからやるっていうだけですよね」

──RISEのリング上では「キックボクシングを代表して」と言っていたが?

「いまが一番、旬というか盛り上がっているカードで、昔の魔裟斗さん対山本“KID”徳郁さん以上のインパクトを残したいっていう気持ちがありますし。僕はキックボクシングの選ばれた者としてリングに上がろうと思っています。色々な団体の強い選手がいますけど、そういうの関係なく、自分がキックボクシングという競技の代表として自分の戦場のRISEだったり、KNOCKOUTだったり、K-1だったり、そういう団体の“キックボクサー”、キックボクシングという一種のチームみたいなものの代表として、戦えればいいなと思っています」

──堀口もMMAの代表として戦うようだが?

「自分は、この試合をすると決まった時にそういう感じ(キックボクシング対MMA)になるなと感じていたので、やはり僕はキックを広めたくて、そういう風に昔から思ってこの世界に入ったので。すごくリスクのある試合ですけど、例えば負けたとしたらキックボクシング、ダメじゃんと思われてしまうことも、なくもないと思うので、ガッカリさせないように、スゲエと思わせたいですよね」

──山本“KID”徳郁さんの訃報については?

「本当にショックですよね……。堀口さんはKIDさんの弟子でしょうけど、自分もKIDさんにこの試合を見てほしかったなっていう思いは強いですよね。昔のキッドさん、魔裟斗さんのような試合を新しい世代がやるわけですから。会ったらフレンドリーに話しをしてくれますし、『格闘技を盛り上げてよ』って言われた時は嬉しかったですし、残念ですね……」

──印象に残っているやりとりは?

「ちようど1年くらい前ですね。最近、自転車を買ったんですけど。そのお店を紹介してくれたのがKIDさんで、そこから繋がりある洋服屋さんでKIDさんに会って、そこで色々と話をさせてもらいました。『格闘技を盛り上げてよ』って言われた時に、色々な人からも言われますが、(KIDさんに言われると)言葉の重みが全然違いましたね」

──KID”徳郁対魔裟斗の試合は生で観た?

「何年でしたか? 2004年の大晦日……その時、僕は幼稚園だったので生では観ていないです(笑)。インターネットとかで観ました」

──シンガポールに行ったのは?

「当初は堀口さんとやるはずではなかったので、元々シンガポールで練習を予定していたんですけど、堀口さんとやるならシンガポールじゃないなと切り上げてきたんですけど。似たような選手もいないし。でも色々なトレーナーからアドバイスは貰いましたけどね。それなら日本でできるなって。1週間で戻ってきました」

──矢沢永吉さんのLIVEにも行った?

「はい、行きましたね。パワーを貰いましたよね。やっぱROCKだなって思いました。すごいですよね。ひとりで東京ドームを埋めちゃうんですもんね。煽り方もすごいですし、みんななり切っているんですよね、矢沢さんに。そういうブームを起こしたいですし。会場に行って、めちゃめちゃ声をかけられて、『永ちゃんの曲使ってるよね』っておじさん世代に声をかけられて嬉しかったですね。『いいねぇ』みたいに(笑)。試合でもタオル、振ってほしいですね。なかなか難しいとは思いますけど。最近、みんなスマホばっかり撮っていますからね」

──今回のチケットがすごく売れていて、矢沢さんが東京ドームを埋めているのを見ると……。

「違いますね。でも今回(会場を大きくするのが)想像がつかなくて。ただ最近は、さいたまスーパーアリーナも小さいなって思っていて、慣れると。最初の大晦日のさいたまスーパーアリーナはヤベーって感じでしたけど、今は慣れちゃいましたね。人って恐いですよね。もっと大きなところを狙っていきたいですよね。これ以上のカードがあるのかって言ったら、分からないですけど。ここから生まれるものは相当、大きいと思うので。みなさんこのカードでRIZIN終わるって言っている人が多いですけど、それはないと思うんですよね。ここからひとつの新しい物語とか、そういうのが生まれてくると思うので。ここからじゃないですかね」

◆那須川天心(28日会見)「『堀口恭司』というものを壊しにいきたい」

「(堀口戦は)どちらが先にミスをするか。ミスしないことも重要だし、自分から攻めることも重要。距離の取り合いも重要だし、無視して入ことも重要。勇気が必要な試合になります。キックボクシング対MMAという形になっていますけど、自分のなかではそれは後付けで、『堀口恭司』というものを壊しにいきたいです。

(一番観た試合映像は?)いろんな試合を3試合ほど2、3回観て。対戦相手というより、入り方とか、フェイントの仕方とかをずっと観ていました。だいたい癖や入るタイミングはつかめました。ああ、こういうときは入って来ないんだなとか。だいたい予想はできました。試合はやってみないと分からないけど、その感覚は出来ました。

中村優作戦は距離が遠くていい経験でしたが、(堀口は)それ以上に距離が遠いので、しかもあのときは自分から倒さなきゃ、倒さなきゃと前へ攻めてちょっとカスったり、ギリギリ避けたりしたんですけど、今回はチャンスがあれば倒すという感じなので、気の持ち方が違います。(中村戦のように強引に入らない?)行かない可能性もありますし、行かなきゃいけない場合もありますし、そこは試合中に(決める)ですね。

(堀口の)インタビューとかを聞くと、すごく自分のことがなめられてるなという感じがあるんで、しっかり分からせてやるという感じです。

(イメージができてると夢のなかにも出てくる?)一昨日(夢の中で)試合をしてボコボコにして勝ったんですよ。よっしゃ終わったと思ったら、何だ夢かよ、と。ここで終わりたかったなと(苦笑)。怖さが取れるまでは時間がかかりましたが、もう大丈夫です」

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「空手とは何か?」──堀口恭司、那須川天心、両者のロングインタビューが収録された『ゴング格闘技ベストセレクション 1986-2017』がイースト・プレスより発売中。本文二段組、560頁に及ぶ第1弾の今回は歴史篇。柔道、柔術、レスリング、バーリトゥード、MMA、空手、キック、立ち技格闘技──ゴン格31年の取材史に書き下ろしコラムも収録! → http://goo.gl/Enmvrc

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『木村政彦 外伝』

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