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【RIZIN】浅倉カンナ「憧れの選手だけど超えなきゃいけない選手だった」、RENA「私もいろんな選手と対戦したいし、海外にも挑戦したい。ただ、ちょっと休まないと」=7.29「RIZIN.11」


7月29日(日)さいたまスーパーアリーナにて開催された『RIZIN.11』のメインイベントで、浅倉カンナ(パラエストラ松戸/RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント優勝)とRENA(シーザージム/シュートボクシング世界女子フライ級王者)が再戦。浅倉がRENAにリベンジを許さず判定勝利した。

3R15分を通じて、自身の距離を保ちテイクダウン&サブミッショントライを続けた浅倉。浅倉のテイクダウンと関節技を再三防ぐも、勝機に繋げることができなかったRENA。試合後の両者のコメントは以下の通り。(写真(C)RIZIN FF/MIzuaki Wakahara)

▼第10試合 RIZIN女子MMAルール 49.0kg契約 5分3R ※ヒジ打ちあり
○浅倉カンナ(48.65kg/パラエストラ松戸/RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント優勝)
[判定3-0]
×RENA(48.90kg/シーザージム/シュートボクシング世界女子フライ級王者)

【試合展開】

RENAのセコンドには9月30日「RIZIN.13」で黒部三奈との対戦が発表された盟友の浜崎朱加がつく。対する浅倉のセコンドはパラエストラの鶴屋浩代表ら、そしてリングサイドで那須川天心が見守る。

1R、サウスポーの浅倉にオーソのRENA。遠い距離から左右回る浅倉。右の蹴りのフェイントはRENA。右のミドルハイでけん制も。徐々に近づくRENAは右ロー、しかし、そこに浅倉はダブルレッグを合わせてテイクダウン! ハーフからサイド奪う際でスクランブルするRENAについていく浅倉はバックからマウントへ。パウンドにリバーサルしたRENAに対し三角絞めは浅倉。しかし上体を立てたRENAは外す。スタンド再開。詰めるRENA。コーナーに詰まる浅倉だが打撃かいくぐり再びダブルレッグに入り、ゴング。

2R、右ミドルはRENA! 蹴り足の戻しも速い。浅倉の低いダブルレッグは切りさらに右インロー。浅倉は遠間からシングルレッグ、コーナー詰めダブルレッグに切り替えるもネルソンから差し上げるRENA。しかし浅倉もすぐにダブルレッグへ! クラッチを組み、再びテイクダウンを奪うとRENAはクローズドガード。浅倉は脇差しパス! 腕十字へ。すぐにRENAもまたいで防御し、頭を蹴って脱出する。

3R、阿部兄に顔をはたかれRENAは中央へ。詰めるRENAは右ロー。しかし、蹴り足を掴んだ浅倉は低いシングルレッグもがぶられ切られるとRENAは頭部にヒザ! 立つ浅倉はRENAに組み付き、RENAが頭を下げたところを右手でRENAの頭と左腕を抱えて後方に投げる。

浅倉はすぐにマウント、パウンド、ヒジ! そして果敢に腕十字へ。ここも立ってまたいで踏みつけたRENAが脱出。打撃勝負に行くRENAに休まず低いシングルレッグは浅倉。アンクルピックからダブルレッグに移行しテイクダウンするとパスをしかけたところでゴング。判定は3-0でテイクダウンから打撃を入れ、サブミッションにもトライした浅倉が勝利した。

(試合後リング上コメント)

浅倉「応援ありがとうございます。自分が強くなるスピードよりもRENAさんが強くなるスピードのほうがかなり早くて、今回の試合はすごく焦りました。本当に今回の試合はしっかり気持ちを切り替えてできたと思います。RENAさんは憧れの選手ですが、でも超えなきゃいけない選手で、今回とても複雑だったのですが、勝ったからにはもっと上の選手とやりあえるように壁を乗り越えていきたいなと思います」

(試合後会見)

◆浅倉カンナ「いますぐ練習したいなという気持ちです」

──試合を終えた率直な感想を。

「試合内容・展開をあまり覚えてなくて、テイクダウンを取れたこともあまり覚えていないんですけど、やられたことだけ覚えていて。テイクダウンを取れたことはよかったかなと思います」

──前回とどう変わりましたか。

「極め切ることが一番と考えていたんですけど、判定までいくかもしれないとは考えていて、自分が強くなるスピードよりもRENAさんが強くなるスピードのほうが今回は早かったので、結構、試合中、焦りましたね、初めて」

──若干、足を引いているようですが、ローキックは効きましたか。

「かなり効きましたね。右足にもう足の跡がついているくらい。インローを思いっきり蹴られたんで。三日月は効かなかったんですけど、インローの方が効いちゃいました」

──タックルを相当研究してくるだろうという想定から、それを上回る作戦は?

「タツクルは自信を持っていくことが一番かなと思っていました。何回か切られたんですけど、それでも倒せたのはよかったかなと思います」

──ラウンドの残り時間が結構あっても腕十字にいきました。スタンドに戻る可能性もあってリスキーでしたが、どうしても極めたかった?

「なんでしょうかね。たぶん、極めたかったのと、必死になってやっていたんで、今までなら極めにいく勇気はなかったんですけど、その勇気は持てるようになったので、いいようにとらえています。周りから見たら、しっかり固めておけと思われたかもしれないですけど、RENAさんの怖さに焦りもあっていきました」

──ヒジ打ちについては?

「グラウンドでのヒジは考えていました。RENA選手がどの場面でヒジ打ちを使ってくるのかはすごく怖かったです。いろんな角度から対策は考えていました。(スタンドでは)打撃の距離に気をつけました」

──判定を聞いたときは?

「ぎりぎり勝ったかなと思ったんで、とりあえず勝ってよかったなと思いました」

──リングサイドにいた那須川天心選手の声は?

「しっかり聞こえていました。『前蹴りくるぞ』とか『年末どおりに』とか、年末と同じ感じでアドバイスをくれました」

──試合後、那須川選手とは話しましたか。

「ちよっとなんて言われたか忘れてしまったんですけど(笑)、でも勝ててよかったです。勝って互いに高め合えたのを見てもらえたと思うので」

一夜明け会見にて「試合が終わったばかりであまり覚えていませんが、リングを降りた時に『おめでとう』と言ってもらいました」。

──試合後、RENA選手とは会話されましたか。

「RENA選手とはまだ会話できていないです。試合直後は気持ちがたかぶって少し言葉をかわしたのですが、いまはあまり覚えていないです。ただ、RENA選手のおかげでメインで試合ができたのは間違いないんで、そこはほんとうにRENA選手の力を借りましたし、まだまだ憧れの選手です」

──終わって早々ですが、RENA選手との3戦目、もう一丁もありますか。

「もう一丁は断ります(苦笑)。次こそしっかり断りたいなと思います。今回も自分のなかですごく複雑な部分があって……(涙ぐむ)。憧れの選手だけど超えなきゃいけない選手だったので、複雑でした」

──9月30日「RIZIN.13」で練習仲間の黒部三奈選手が浜崎朱加選手と対戦することが発表されました。いずれ王者同士の対戦もあるかと思うのですが。

「黒部選手とはいっぱい練習させてもらっているので、対戦したくはないですけど、RIZINの舞台で黒部さんが見られるのはすごく嬉しいです。黒部選手は強いので、また一緒に練習できればと思います」

※一夜明け会見にて浜崎vs黒部について「2人の強さも実感しているので試合が楽しみです。勝った方から対戦要求が来ても、立ち向かっていけるくらい自分ももっともっと強くならないといけない。いずれ同じ階級なのでやるかもしれないし、今後の楽しみにしたいですね」と発言。

──大一番をこえて今一番何をしたいですか。

「終わってすぐなので悔しい気持ちもあります。いますぐ練習したいなという気持ちです。遊んでいる暇はないなと思いました」

──試合前には「海に行きたい」と。

「(笑)。いまは反復しないといけないですね。RENAさんの怖さを出せるように練習しようかなと思います」

──まだ自身には怖さが足りない?

「なさすぎましたね(苦笑)。RENAさんの怖さを見習いたいです」

──今後の展望は?

「今後についてはどうなるか、まだ想像がつかないですけど、RENAさんを超えたからには、もっと強い選手に当たっていかないといけないと思うので、自分ももっともっと強くならなきゃいけないと思います。今回も……RIZINデビュー戦で悔しい思いをしてから、まさかメインで試合をするとは、ほんとうに思っていませんでした。そういう格闘技には夢があることをもっと伝えられるようにもっともっと強くなりたいです。ここを乗り越えたからこそ、また壁にぶち当たることになるんじゃないかなと思っています。それをモチベーションにまた頑張りたいと思います」

──よく「壁」という表現を使うのは?

「去年からトーナメントに出場するための石岡さんとの試合から優勝するまで全部が壁だったのかもしれません。格闘技は、1個1個壁を乗り越えていくしかないので、それを全部乗り越えていきたいなと思います」

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◆RENA「作戦は全部できたけど、レスリング力で上回られた」

──試合を終えた率直な感想を。

「悔しい部分はどうしてもあります。自分のなかで成長した部分も、前回よりはありました。

──浅倉選手も「怖かった」と。

「いやもう絶対に勝つと、絶対ぶっ倒すとずっと思って、絶対負けないでやってきたので、それを全面に出しただけですけど、やっぱりポジショニングだけは負けてしまったので、そこを改善すればまた次も見えてくると。でも……ちょっと休みたいなと思ってます」

──ヒジありルールについては。

「以前はシュートボクシングでは女子もヒジ打ちがあったんです。私はヒジありで試合をしたことがなかったんですけど、今回、こういう機会があってやったら楽しかったですし、グラウンドでのヒジも含め、今後もヒジありルールでやりたいなと思います」

──あらためて勝負を決めたものはどこだと思いますか。

「うーん、打撃で負けてはいないので、やっぱりテイクダウン、そのあとのポジショニングですね。下から打撃も打っていたので当たっている感触もあったので、そこは狙い通りだったのですが、そのあとのレスリング力にまだ対応できなかったのかなと。でも、短期間で自分が思う以上に成長できたと思うので、その点はよかったかなと思います」

──自身が想定していたよりタックルは切れた、あるいは取られた?

「想定内といえば想定内なんですけど、そこからの展開も引き出しとしては作っていて、今回、極められることもなくて全部、防げましたし、作戦は全部できました。ただ、レスリング力で上回られた。その対応ができなかったのが敗因だと思っています」

──浅倉選手は「ローキックが効いた」と。作戦でしたか。

「距離が遠いのでどこから攻めようかな、というときにローだと。以前は蹴るとタックルが怖くて蹴れなかったんですけど、フェイントで蹴って、そこに(タックルに)来たところにヒザを合わせようかなとも思ったんですけど──佐藤ルミナさんのジムで教えていただいて──、それがいいなと阿部(裕幸・AACC)さんとも話していて、(ローを蹴ったら)思いのほか感触がよかったので足を潰しにいこうかなとも思ったんですけど……もっと蹴ればよかったですね」

──浅倉選手は「もう3度目はやりたくない」ということでしたが、いまのRENA選手の気持ちとしては?

「すぐには絶対に出来ないと思うので、どうですかね……でも、私の成長のレベルは今日の試合でいったらすごく成長しているので……受けてくれるなら次は負けないぞ(笑)。でも、私もいろんな選手と対戦したいし、海外にも挑戦したいという気持ちもあるので、浅倉選手にこだわらず。ただ、ちょっと休まないと、今後どうするか切り替えができないので、そういうことも考えて、いったん格闘技から離れようと思います」

──今後について。

「自分の中でほんとうに試合の中で成長も感じられてすごく楽しかったっていうのがすごく大きいんですけど、今の気持ちとしては半々かなと。ほんとにちょっと一回離れたいなって今は思ってます。内容の濃い1カ月だったので、ちょっとまた見つめ直したいなって。そこから第二章があるのか、ないのか判断したいなと思ってます」

──「格闘技から離れる」というのはMMAなのか、シュートボクシングも含めたものなのでしょうか。

「いや、休むっていうことです(笑)。やっぱり挨拶回りであったりはあるので、普通にジムに顔を出したりはしますけど、うん、一回普通の女性に戻って、したいなと思って。少しだけ、ほんとに少しだけ一回離れて、色んなところに行って色んなリフレッシュをしたいなと思ってます」

──今回の試合が世間の注目を浴びたことについては。

「ほんとうにありがたくて楽しくて。皆さんもヒートアップしてきただいたので、試合をしていても盛り上がっているかなと感じていました。声援、いろんな声も聞こえたので、ああ、盛り上がってよかったな、これでしょぼい試合、全然盛り上がらない試合をしたら次はないと思っていたので、プロとしては浅倉選手とそういう試合ができたことを誇りに思っています」

──最後、リング上で言葉をかわしたのは?

「ほんとうにありがとう、となりましたね。いろいろありましたけど、結果、すごい盛り上がったし、楽しかったので、ありがとう、という気持ちでした」

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◆「木村政彦 生誕百周年記念」刊行
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