見出し画像

【PANCRASE】王座防衛・砂辺光久「格闘技は儚くて……本当にチームスポーツなんです」。北岡悟が一本勝ちでRIZIN再出撃を宣言。フェザー級暫定王座決定戦は反則決着に=4.15「PANCRASE 295」詳報

4月15日(日)東京・新木場スタジオコーストにて「PANCRASE 295」が開催された。メインでは、ストロー級キング・オブ・パンクラス・タイトルマッチが行われ、王者・砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)が、挑戦者・室伏シンヤ(SUBMIT MMA/1位)を2R4分11秒、スラムからのパウンドでTKOに下し、16連勝。2度目の防衛に成功した。

「アゴを固定して受け身が取れない形でスラムした」という砂辺のフィニッシュには、試合前に控え室でシミュレーションしたチームの力と、他界した練習仲間の宮下トモヤ氏(2011年12月31日白血病により永眠)への想いがあった。

セミファイナルではフェザー級暫定王座決定戦として、松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜/1位)とISAO(NEVER QUIT/3位)が対戦。互いにテイクダウンを奪い合いながらスタンドに戻すなど好勝負の序盤だったが、1R4分34秒、グラウンド状態のISAOの顔面に松嶋が反則のヒザ蹴りを入れて、ISAOが眼窩底骨折。試合続行不可能となり、ISAO(NEVER QUITの反則勝ちとなった。

また、第5試合では北岡悟(ロータス世田谷/パンクラスイズム横浜)が1年半ぶりパンクラス復帰戦。ウクライナのタラス・サパを1R4分44秒、ヒールフックで極め、「夏にフジテレビで会いましょう」とRIZIN再出撃を宣言した。

────────────────────

▼メインイベント 第7試合 ストロー級 キング オブ パンクラス タイトルマッチ 5分5R
◯砂辺光久(王者/reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)
[2R 4分11秒 TKO]※パウンド
×室伏シンヤ(挑戦者/SUBMIT MMA/1位)
※砂辺が2度目の防衛に成功

初代フライ級、初代スーパーフライ級と合わせてパンクラス王座3階級を制覇している砂辺光久。ストロー級王座防衛戦は2016年12月以来。2017年の大晦日にはRIZINでキックルールに挑戦し、藤田大和に敗れたが、MMAでは15連勝中だ。

挑戦者の室伏シンヤは第4代修斗世界フライ級王者。2015年11月からはパンクラスに参戦し、2016年9月に実力者リルデシ・リマ・ディアスに一本勝ち。2017年8月には小塚誠司との挑戦者決定戦を制してタイトルマッチに漕ぎ付けた。

1R、サークリングしながら右ローをコツコツ当てていく室伏。静岡から駆け付けた大応援団の歓声が後押しする。右ミドル、さらに左フックと散らして当てる室伏はダブルレッグに入り、シングルレッグに移行しつつ、足をリリース際にも打撃を入れる。さらに近距離では首相撲からヒザも。砂辺も左右ローで応戦すると沖縄から足を運んだ応援団が沸き上る。砂辺はラウンド終了間際に室伏をダブルレッグでテイクダウン。頭をギロチンで抱え込む室伏に対し、ボディにパンチを入れて1Rが終了。ジャッジは3者とも室伏につけた。

2R、初回に続き右ローを当てて行く室伏は、上体を立てた細かい角度をつけたステップから左ミドル、右ロー、そして左ストレート! 右ヒジも。ステップしてなかに入りながらシングルレッグも織り交ぜ、金網まで押し込み、足を離し際に右ヒジも狙う。

それをかわした砂辺は圧力をかけ返し、室伏の左をブロッキングして左ジャブを合わせると、室伏が後退。右ストレートで前に出ると、下がった室伏はシングルレッグへ。がぶりからニンジャチョークを一瞬、狙って腕を組みかえた砂辺に対し、すぐに立って押し込む室伏はヒザ蹴り。

金網背に左で差して回した砂辺はバックをうかがうが、そこを室伏は正対。しかし、砂辺もすぐにボディロックで回して再び金網を背にさせる。力のこもるケージ際の攻防。左で脇は差したまま右ヒザを突き上げる砂辺。右で小手に巻いた室伏は内股を狙うが、投げられず。今度はシングルレッグから左で小手に巻いて払い腰へ!

下になった砂辺は右で脇を差し立ちに行くが、そこに室伏はジャンピングガードに入れてのカウンターのギロチンチョーク! それをいったん抱えた砂辺は上体を立てて、左手を室伏のアゴ下に固定して、前方にジャンピングスラム! 受け身が取りにくい状態で室伏の後頭部をマットに叩き付けると、すぐさま右のパウンドをクリーンヒット。室伏の意識が飛び、すぐにレフェリーが間に入った。

デカゴンのなかで砂辺は、勝村周一郎、伊藤盛一郎らリバーサルジム勢やTheパラエストラ沖縄の松根良太とハグ。パンクラスストロー級のベルトを手に、周囲への感謝と格闘技への熱い想いを語った。

◆砂辺光久(マット上でマイク)

「1Rを見て分かるようにストロー級で最強の挑戦者だったと思います。静岡から室伏選手の応援で140人が来て、声を出されて凄く嫌でした。なんとかパンクラスに対する愛情で跳ねのけることができました。また室伏選手が上がってきた時は、140人と言わずたくさんの方で応援にきて、また圧力をかけてくれると嫌なので、室伏選手としては嬉しいと思います。

格闘技は儚くて、戦いたくても戦えない人もいて、生きたくても生きられない人もたくさんいます。宮下トモヤと大晦日約束したんですけど、その報告ができなくて、今こうやってベルトを賭けた戦いで宮下トモヤにちゃんと『一緒に戦えたぞ』って、『一緒にベルトを勝ち取ることができたぞ』と報告ができました。

こんなに素晴らしい仲間がいて、本当チームスポーツなんですよ。沖縄からもね、たくさん応援に来てくれてありがとう。沖縄もさっき試合をした曹竜也もそうなんですけど、沖縄もまだまだ格闘技熱いです。北海道から来ている方もいます。

まだまだ格闘技を……じゃないな、パンクラスを俺らで熱くして、沖縄大会や北海道でも試合をしたいです。それにはスポンサーの方々や応援に来てくれている方々の力が必ず必要です。この格闘技の灯を絶やさないよう、これからも格闘技、パンクラスを今後ともよろしくお願いします。(ベルトを見つめて)パンクラス王に俺は、なる!」

────────────────────

PANCRASE 295▼セミファイナル 第6試合 フェザー級 暫定王座決定戦 5分5R
×松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜/1位/9勝2敗)
[1R 4分34秒 反則]
○ISAO(NEVER QUIT/3位/22勝5敗)
※グラウンド状態のISAOの顔面に松嶋が反則のヒザ蹴り。ISAOが暫定王者に

フェザー級暫定王座決定戦として同級1位の松嶋こよみと3位のISAOが対戦

1R、松嶋のダブルレッグテイクダウンにISAOは下から腕十字を狙い、腕を抜いて来た松嶋に対してスペースが空くとすぐに立つ。それをがぶりながら立ち際に松嶋はヒザを入れる。かろうじて右手でブロックするISAO。この立ち際のヒザの印象が両者にどう影響したか。

左を伸ばして松嶋にブロックキングさせて、左ハイを放つISAO。松嶋も右前蹴り、右インローと落ち着いて蹴り返すと、互いに強い右が交錯。近距離では松嶋が右ヒジを狙う。さらに左を振ると、ISAOは首相撲にとらえヒザ。打ち終わりを詰めた松嶋は、再びダブルレッグで押し込むが金網背にするISAOは体を入れ替え離れる。

サウスポーから左ストレートで前に出るISAOをかわす松嶋は右前蹴り。さばくISAOは今度は左を伸ばしてニータップからTD狙い。これを右に回ってかわした松嶋に詰めるISAOはヒザ蹴り!

四つ組みから松嶋が右ヒザを突くと、ISAOは右足で足払い! 崩れる松嶋に対し、すぐにマウントへ。しかし、乗り上げ気味のISAOに松嶋は左手でISAOの右足をすくいブリッジ、そして亀になりながら腰を上げ、ISAOを前に落とす。片ヒザ立ち状態のISAOにヒザ蹴りは打てず。ISAOは立ち上りすぐに体を離す。

スタンドで松嶋の前蹴りの動作に合わせて右ジャブ、左ストレートをヒットさせるISAO。押し戻した松嶋の前手がISAOの目に入るアイポークで試合が中断。再開後、右前蹴りからISAOが右フックを振ってきたところに、レベルチェンジした松嶋はダブルレッグへ。後方へ足を飛ばすISAOに対し、金網までドライブする松嶋は、右を深く差すと左で小手に巻いてきたISAOに対し、スタンドサイドについて小外気味にテイクダウン!

サイド奪う松嶋に対し、ISAOはケージウォークで後転して立とうとすると松嶋は腕がらみ狙いから、片ヒザをマットに着いたままのグラウンド状態のISAOの顔面に反則のヒザ蹴り。インターバル中にISAOが左目付近を大きく腫らし、骨折の可能性もあり、試合続行は不可能に。松嶋の反則負けとなり、ISAOが暫定フェザー級王者となった。

試合後、救急車で病院に直行したISAOは精密検査の結果、2カ所の眼窩底骨折により手術することを、SNSで報告。「お互いが必死で闘った結果ですので何とも言えません。格闘技や勝負事はなにが起きるか分かりません。また作り上げて最善を尽くすだけです」とツィートしている。

一方、故意ではないものの、グラウンド状態か見極められずにヒザ蹴りを繰り出してしまった松嶋はデカゴンのなかでISAOに謝罪すると、試合後もSNSで「立ち際を狙った膝が入ってしまい反則負けでした。対戦していただいたISAO選手、応援していただいた方々本当に申し訳ありませんでした。コンディションもすごく良かったので遣る瀬無い気持ちでいっぱいです。今回の結果も含めて今後の事はまた考えていこうと思います」と心境を記している。

────────────────────

▼第5試合 ライト級 5分3R
◯北岡 悟(ロータス世田谷/パンクラスイズム横浜)
[1R 4分44秒 ヒールフック]
×タラス・サパ(Swarm Street Fighters/ウクライナ)

サパ戦に向けて「アプローチを意識して練習した」と語っていた北岡。サパの右ストレートを左にかわしながら北岡がダブルレッグテイクダウン。右で脇を差しながら金網側に左足を抜きハーフになると、いったん両手でクラッチして顔に胸を押し当てて行く。さらに左腕でサパの頭を抱え、牛殺しの体勢も取りつつ、上体を放すと左手で鉄槌・パウンド!

サパがニーシールドを取ろうと左ヒザを内側に入れてくると、北岡はその足を右手で取りに。いったんは足を抜いたサパだが、蹴り上げて立とうとするサパの、今度は右足を取った北岡は、左足は外掛けで、右脛を股間に当て、内ヒールへ。最後は腹を突き出し、右足を4の字でロックしてタップを奪った。

一本勝ちの北岡はケージに登り、両手を後ろにしたボクシングのクリス・ユーバンク・ジュニアばりのポーズを取ると、デカゴンに着地し、飛行機ポーズで一周。

マイクを握ると、「僕は何も諦めていないです。PANCRASEでも本当のトップとってないです。PANCRASEでも一番になるし、 RIZINでもトップを取ります。MXさんにはご迷惑をかけたこともありました。生中継ありがとうございます……。夏にフジテレビで会いましょう!」と、RIZIN再出撃を宣言した。

────────────────────

▼第4試合 フェザー級 5分3R
×内村洋次郎(イングラム)
[判定1-2(27-30,29-28,28-29)]
◯牛久絢太郎(K-Clann)

1R、サウスポーの内村は左ミドル、スーパーマンパンチ。その蹴りの打ち終わりのヒザ裏をつかみ、左手は腰に回した牛久がダブルレッグTD。内村はいったんクローズドとなり背中つく。足を解く内村だが引き付けての防御。牛久の足関節狙いに蹴り上げて立つ。スタンドでは左ミドル、ヒザを入れる内村。牛久は左フックを返す。

2R、内村はサウスポーから左ロー、左ST。そこにカウンターのダブルレッグは牛久も内村立つと左ミドルを当てる。

3R、ダブルレッグをドライブし、ボディロックから大内刈TDは牛久。両足束ね寝かせ、立ち際にバック回りかけるが内村が正対。牛久を落として試合終了。判定は総合的に攻めた牛久がスプリットで勝利した。

────────────────────

▼第3試合 ストロー級 5分3R
×早坂優瑠(CORE QUEST KUSIRO)
[1R 2分07秒 ネックロック]※リバースフルネルソン
◯曹 竜也(闘心)

左構えの曹にオーソから蹴りは早坂。遠い間合いからローシングルで踵を掴んで押し倒すと、曹はサイドを取らせながらも両脇を差してスイープ。リバースネルソンにとらえると、早坂のフックガードの両足を越え、マウントに。クラッチしたまま頭をマットに着いてサイドに回ると、内側の足を早坂の右腕の下に入れて固定、リバースフルネルソンで背筋で後方に上体を傾け首を極めた。

曹竜也「フライ級から階級をストロー級に下げましたが、ベルト以上にやりたい人がいるんで、KING(砂辺光久※元同門の先輩)に最短で近づきます」

▼第2試合 ライト級 3分3R
×草MAX(TEAM CLIMB)
[3R 2分34秒 TKO]※右フック
◯菊入正行(NEVER QUIT)

※1R、サウスポーから左ロー、ミドルの草は菊入の蹴り足取りTD。2R、右ST当て組む菊入。草は首相撲ヒザ。3R、菊入が右フック当て草がダウン、パウンド。

▼第1試合 ライト級 3分3R
◯松岡嵩志(パンクラスイズム横浜)
[2R 1分10秒 TKO]※パウンド
×深谷 誠(和術慧舟會 HEARTS)

※1R深谷が左STでフラッシュダウン奪うも2R、松岡が右フック当て連打からパウンド。

────────────────────

◆2018年 第24回 ネオブラッドトーナメント①~⑤

【フェザー級 8人制トーナメント】(3分3R) ※他は3月に2試合

▼フェザー級 8人制トーナメント(3分3R)⑤
○齋籐拓矢(ALLIANCE)
[1R 1分39秒 チョーク]
×寿 太郎 (力ジム/りきジム)※初参戦

▼フェザー級 8人制トーナメント(3分3R)④
×鬼山斑猫(KRAZY BEE ※PUREBREDから移籍)
[2R 0分13秒 TKO] ※パウンド
○DARANI DATE(Team DATE)

【バンタム級 8人制トーナメント】 ※他は3月と5月大会

▼バンタム級 8人制トーナメント 3分3R ③
○野村優眞(NEVER QUIT)
[判定3-0(29-28×3)]
×北村侑麿(フリー)

▼バンタム級 8人制トーナメント 3分3R ②
○大橋悠一(P's LAB大泉)
[1R 1分57秒 腕十字]
×田代悠生(パラエストラ千葉)

【フライ級 8人制トーナメント】 ※他は3月に2試合と5月大会

▼フライ級 8人制トーナメント(3分3R)①
○赤崎清志朗(香取道場)
[3R 2分21秒 チョーク]
×岡野竜己(KRAZY BEE)

【プレリミナリーファイト】

▼プレリミナリーファイト フェザー級 3分3R
○TAG(ERUPT)
[1R 2分47秒 TKO]※パウンド
×加藤泰貴(RODEO STYLE)

▼フライ級 3分3R
×渡辺竜也(MAX GYM/RINGS)
[1R 2分04秒 三角絞め」
○アンドレ・モレラ(アスレティック・アドバンス/COSTA RICA)

────────────────────

『ゴング格闘技ベストセレクション 1986-2017』がイースト・プレスより発売中。本文二段組、560頁に及ぶ第1弾の今回は歴史篇。柔道、柔術、レスリング、バーリトゥード、MMA、空手、キック、立ち技格闘技──ゴン格31年の取材史に書き下ろしコラムも収録! → http://goo.gl/Enmvrc

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?