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【RIZIN】山本美憂「SPIKE22のメルカ・マニブッセンがKIDが亡くなるまで最後までついていてくれて、『美憂はトレーニングに行って来い』と言ってくれた。格闘技の一番の師匠(KID)が、私にどうあってほしいかを考えたときに、やっぱり強くないといけないと思った」


9月30日(日)RIZIN.13さいたまスーパーアリーナ大会に向けて、アンディ・ウィンとの再戦に臨む山本美憂が囲み取材を行った。KIDの闘病のなかでのグアムでの練習、出場を決めた思い……美憂が語った言葉を、専門媒体として全文で紹介したい。

──いろいろな状況でコンディション調整も難しかったと思いますが、現在のコンディションは?

「状況的には、そうですね……。いろいろ皆さん、ご存知の通りありましたが、そのなかでも全然、自分がトレーニングはトレーニングで集中しなくちゃいけない、ということを常に小さい頃から教わってきたので、それは大丈夫です。あとは体重調整だけで、万全でリングに上がるのみです」

──アンディ・ウィンをどうとらえていますか。

「もう2回目なので、今回は勝ちます」

──試合への意気込みを。

「自分のやってきたことをそのまま緊張せずにリラックスして出すだけ。あとは結果がついてくるので、心配はしていないです」

──グアムSPIKE22での練習でカイル・アグオンらとどんな積み上げを?

「メインコーチはカイルで、その周りでいろいろ柔術やボクシングのコーチが前回の試合も見て、アドバイスしてくれました。前回、今までやってきたことをあまりリング上で出してこれなかったんですよ。試合前、5分前にやったことは試合でやったけど、その前に何週間も頑張ってきたことを全然、出せなくて怒られたので(苦笑)、今回はちゃんとリングで出せるように。でないと終わってからが怖い(笑)」

──グアムでの経験はどんなプラスに?

「グアムに行ってから、自分のMMAの幅が広がって、自分の出来なかったことができるようになって穴がどんどん埋まっていきました。私には家族がいて、子供たちが住みやすいところが一番で、家族が幸せじゃないとやっぱり戦っている意味もないので……」

──KID選手のこれまでの交流もあり、グアムには縁があった?

「そうですね。KIDがグアムを大好きだったんですよ。私はトレーニング状況とか分からずに、とにかくKIDについていく、沖縄にも一緒に行ったし、グアムにもついていこうと思って、で、行ってみたら、練習環境が私にとってすごくプラスだった。自分が足りないところをどんどん強くしてくれるところだったので、よかったです」

──KID選手はグアムのどんなところが好きだったんでしょうか。

「のんびりしたところや人の温かさ、兄弟のような人がグアムにいっぱいいたのと、人生のなかでの一番の大親友がSPIKEのヘッドコーチなんです。メルカ(・マニブッセン※1998年にピュアブレッド・グアム主宰)っていうんですけど、彼と一緒にいたくて、そのメルカがずっと最後までグアムに移ってからKIDが亡くなるまでずっと最後までついていてくれて、『美憂はトレーニングに行って来い』と言ってくれて、そういう状況を作ってくれました」(※今回、カイル、ジョン・タックらとともに来日)

──KID選手のことがあり、今回、どのように乗り越えられたのですか。

「やっぱり……うーん、KIDがどう思うか。それを考えたら、試合に、リングに立つことが彼が望んでいることだし……今まで教えてきてくれたことだと思う……以上」

──試合をキャンセルすることは考えましたか? 試合に出ようと考えたのは?

「自分がMMAをやっている目的や、家族、チームがひとつになっているので、みんながどういう気持ちなのかも考えて、自分の一番の師匠(KID)がなんていうかを考えたら、出るべきだと」

──今回の再戦を乗り越えた先の目標は?

「総合格闘技である以上、総合的に強くなりたいです。だから自分にまだまだ伸びしろがあることがすごく嬉しいです」

──精神的に強くいられるのは?

「自分がいままでやってきたこと、自分の家族、私のコーチ、格闘技の一番の師匠がどう思うか(涙ぐんで)、私にどうあってほしいかを考えたときに、やっぱり強くないといけない」

──今までの試合と精神的に違う?

「いっぱいありますね、状況的に違うのは。毎回、毎回、そのときそのときで対応していくのはレスリングのときもそうだし、MMAも。みんなそうだと思うし、人生はそういうものだと思います。いろんな状況のなかでみんなお仕事やいろんなことを頑張っているから」

──レスリングでのリヴェンジマッチのときの心境は?

「そのときも目の前の相手を倒すことが目的というか、そのために自分はマットに上がっているし、リングに上がっている。同じです」

──前戦のウィンとの試合と確実に違うと思えることは?

「あの頃はまだ2試合目でしたし、トレーニングや試合を積んできて、当時はまだまだ自分の足りないところばかりだったので、あの頃より成長したことだけは確かですね」

──どういうフィニッシュを?

「まあ、楽しみにしていてください」

──試合がセミでメインの2人はともにKID選手に憧れた選手です。

「私も彼みたいになりたくて……彼に憧れてMMAを始めたんで、みんなの気持ちがよく分かるし、いろんなところで愛されていることが、家族としてすごく嬉しい気持ちで、ほんとうにKIDが頑張って築いたことを、若い選手たちが愛情を持って育てて、MMAを引っ張って行ってくれれば、すごく彼も絶対喜ぶから」

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