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【ONE-RIZIN】青木真也「ほかの日本人との違いは明確にある」&北岡悟「自分の器ギリギリのところで勝負しないと」=7月27日 ONE~7月29日 RIZIN.11

7月27日(金)『ONE Championship』マニラ大会で青木真也がシャノン・ウィラチャイと、7月29日(日)『RIZIN.11』さいたまスーパーアリーナ大会で北岡悟がディエゴ・ブランダオンと、それぞれ対戦する。

ロータス世田谷で行われた16日の両者による囲み取材では、本誌も含めた取材陣のお決まりの質問に対しイラ立ちを隠さず、それでもなお厳しい発言をすることで試合へ向き合う姿勢、思いをのぞかせた。

北岡の対戦相手ブランダオンは元UFCのフィニッシャー。2015年9月のUFC日本大会では菊野克紀を1Rわずか28秒でKOに降している強豪だ。右の高速ロングフックはまぎれもなく脅威で、多くのファイターをその1発で沈めている。

さらに、キャリアの初期から得意とする左ボディから右フックの対角線攻撃、左でもKOできる強打を誇り、左右の蹴りも織り交ぜるなど、試合巧者の面も見せる。組み技も力強く、ブライアン・オルテガをリフトしテイクダウンしたシングルレッグ、ダブルレッグ、レスリングでのコントロール、さらに5つの一本勝ちもマークするなど、死角といった死角が見当たらないオールラウンダーでもある。

あえて難点を挙げるとすれば、後半のスタミナと大きな打撃で脇を空けてテイクダウンを許す場面があるところか。MMA22勝12敗のキャリアのなかで仕留めどころを逃さないのも特徴的で、対戦相手は台風のような猛攻を凌ぐ力が試される。北岡が独特のステップと構えで、あの強打にどうアプローチするのか、そしていかに極めのチャンスを作るのか、あるいは相手を疲弊させるのか、注目だ。このカードをいまの日本で見られることは、メルヴィン・ギラードの参戦と併せて、稀有なことととらえたい。

【写真】UFCでも後半の黒星はコナー・マクレガー、ダスティン・ポイエー、ブライアン・オルテガら強豪中の強豪のみにしか敗れていないブランダオン。右のロングフックは脅威だ。photo by Fukuda Naoki

一方、ONEで青木と対戦するウィラチャイは、2012年からONEにレギュラー参戦するタイ人選手のエース的存在。青木が5月に一本勝ちしたラスル・ヤキャエフには、昨年12月に判定負けを喫しているが、三段論法が成り立たないのがファイトだ。

MMA9勝2敗1NCでヤキャエフ戦までは6連勝をマークしていた29歳のウィラチャイはONEではまだトップどころと対戦していないものの、2015年には強豪アミール・カーンにスプリット判定で競り勝つなど、タフファイトにも強さを見せている。

柔道、合気道、カンフーを身につけた後、ボクシング、レスリング、そして柔術を学んだというサウスポーのウィラチャイは、寝技より立ち技を好む。回転バックヒジ、二段蹴りなど大技も見せながら、直近のラフール・ラジュ戦では下がりながらの右フックでKO(オーソの相手によく狙っている)するなど、懐の深さも注意だ。photo by ONE

しかし、青木のような左構えでハイレベルなグラップラーの圧力を前にどこまで持ち味を出せるか。ヤキャエフ戦、ミッチ・チルソン戦のようにバックを許すようなことがあれば、スクランブルが通用しない危険な状態に追い込まれることも考えられる。

パワフルな首相撲からのヒザなど近距離での打撃も持つウィラチャイに対し、ムエタイでも戦える青木がどんな距離で戦い、どんなアプローチからいかに極めのセットアップをするのか注目だ。ヤキャエフ戦では引き込みからオモプラッタを見せたが……。

AbemaTVでの定期放送も決定し、ヤキャエフ戦からわずか2カ月のインターバルでの連戦に臨む青木が、群雄割拠、そして様々に変化するいまのONEでどんな存在感を見せるのか、見逃せない一戦だ。

(◆以下、囲み会見での一問一答)

──まず、7月29日「RIZIN.11」でディエゴ・ブランダオンとの対戦が決まったことについての心境をお聞かせください。

北岡 名前がある有名な選手と、RIZNIでやれるということで……いろいろな気持ちはありますけど、昂りみたいなものもあります。

──「昂った」理由は?

北岡 いや、いろいろですね。簡単に言えない……。

──ディエゴ・ブランダオンにどんな印象を持っていますか。

北岡 すべてがハイレベルで、そのうえで攻撃力が高い。強打があってサブミッションも持っている。

──打撃と組み技、よりどちらが脅威ですか。

北岡 MMAなんで、総合なので、どちらも……。

──青木選手から見て、今回の北岡選手の試合への期待感は?

青木 RIZINが作っている世界観とはまったく真逆の世界観だと思います。多くの人が、このディエゴ・ブランダオンとやる意味合いだとか、ディエゴ・ブランダオンがいま日本に来るっていう意味を全くわかっていないので。そこの意味で、選手の立場から率直な意見を言えば、やめておいたほうがいい。でもだからこそ、そこに挑む価値があると思うし。

──今日、公開練習がありましたが、改めて青木選手との練習は北岡選手にとってどういうものですか?

北岡 僕にとっては稽古というか、これが練習だと思っています。約15年間、当たり前にやらせてもらっていますが、贅沢なことだと思いますが、これが当たり前なので。

──青木選手はONE Championshipのマニラ大会に出場しますが、マニラでの試合は初めてとなります。現地の印象は?

青木 マニラに初めて行ったのは7、8年前ですね。その当時から盛り上がり自体を感じていたし、ONEの最初の旗揚げ戦を見たときに「フィリピンってこれから来るだろうな」と僕はけっこう早い段階で言っていたのですが、まさに日本でこれから試合ができなくなるし、とにかく自分で動かないといけなくなる。そう思っていたことが予想通りになったという感じです。

──タイからMMAで実績を積んで来た対戦相手のシャノン・ウィラチャイについてどう感じていますか。

青木 彼自身には何もないです。勝たなきゃいけない相手だし、自分で未来の輪郭を描くために、必ず勝つ。僕自身この位置に満足していないから。もう一回勝負しないといけないかなと思っています。

──北岡選手はSNSで「何よりまだ何も諦めてないから」と書かれていました。今回の試合にはどんな意味合いを感じていますか。

北岡 ああ、PANCRASEで勝ったときにそう言いました。意味合い? RIZINに出て強い奴と戦う。それだけでいいでしょ?

──ディエゴ・ブランダオン戦のオファーに迷ったり、逡巡したりはしなかったですか。

北岡 何もしていない。

──ブランダオンがコメントで「キタオカのスタイルは古き良きスタイルだ」と言っていたことについてどう思いますか。

北岡 うん。どうも思わない。そういうのはどうでもいいです。試合で勝つか負けるか、勝てば正解。負ければ不正解。

──いまONEには日本人枠があり、日本人選手が多く参戦していますが、早くからONEに参戦していた青木選手としては、自分とは違うという思いもありますか。

青木 それはもう明確にあると思っています。インディーと一緒にするなという気持ちはずっと持っている。格闘技業界は、いまONEと言っていますが、今更とも思うし。すごくざっくり言うとバカが多い。だって、5年前に俺が言っていたこと、いま思うと正論でしょ? その時は、みんな「違う」って言っていたけど。そういうのも含めて「よく考えろよ」とは思うかな。でもバカがいるから(自身が)目立つということはあるから、そこはありがたい。

──その意味でも今回の試合は絶対に負けられない試合になりますね。

青木 それも含めて圧倒的な存在感と圧倒的な試合、絶対的なものを見せるだけの自信、強さはあると思います。

──青木選手から見て、ブランダオンと北岡選手の試合は何が鍵になると思いますか?

青木 苦しい試合になるんじゃないですか。傷みつけられる、我慢する試合になると思う。でも(北岡は)その覚悟を持っているので。普通の人以上の覚悟を持っているから。そこに望みというか気持ちを懸けるしかないですね。

──そのコメントを訊いて、北岡選手としては?

北岡 まあ、ここで言うことではないから……ただ、こないだONEで下石(康太)と徳留(一樹)、僕と試合をしたことがある選手が試合して負けたんですけど、その下石の試合に対して格闘技ファンの人がSNSで「自分をわきまえていないで勝負しているから、ああなってしまう」というようなことを書いていて、それは僕は正論かなとは思うんですけど、でも、わきまえていたら本当の勝負ってできないですからね。バランスだとは思いますけど、わきまえつつも、自分の器ギリギリのところで勝負しなきゃいけないんじゃないかなと僕は思います。少なくとも僕はそうやってきたキャリアなんで、それをやめる気はない。人それぞれやり方はあるけど、僕はそうやってきた。次の試合もそういうものだと思うし、僕は全部ベットして思い切りやる。まあ、当たり前のことだけど勝負しに行きます。

RIZIN笹原圭一広報 はい、これでよろしいですか。

青木 あれ、対抗戦やらないの?

RIZIN笹原圭一広報 いえ、全然いいですよ。

青木 マスコミ、都合の悪いこと全然、訊かないんだもん。ONEとRIZINで……QUINTETで5対5の対抗戦どう? 口頭契約は成立するんでしょ?(笑)。どうなの?

北岡 いや、一回、RIZIN出ているからあなたRIZINチームだから。

青木 口頭契約は契約なんでしょ? 俺、2年くらい前に、1回、それでやるって言ったけど有耶無耶に……(苦笑)。

RIZIN笹原圭一広報 まあそれを言ったら止まらなくなるので、このへんで(笑)。

北岡 (インスタライブに向かって)サヨウナラ……。

【放送】


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