【SHOOT BOXING~RIZIN】RENAが語っていたこと──復帰戦&連戦初戦をクリア、そして7.29 浅倉カンナとの再戦へ

 7月6日の『SHOOTBOXING Girls S-cup~48kg世界トーナメント2018~』TDCホール大会で、2017年12月31日の浅倉カンナ戦以来の復帰戦にして、7月29日『RIZIN.11』も控えたMMA連戦の初戦をクリアしたRENA(SB世界女子フライ級王者)。

 対戦相手が1kgも体重超過するなか、メインイベントの責務を果たし、5分3R・計15分を戦い抜いた。

 盟友・浜崎朱加がセコンド不在ながら、ブラジルのアグレッシブファイター、エレイン“パンテラ”リアル(MMA5勝6敗)の寝技を凌ぎ、得意の打撃で優位に立ち、判定勝ちを収めたRENA。

 大晦日の敗戦から、RENAの変化はどこにあったのか。MMAの練習を積み重ねることで生まれた防御への自信と危うさを含んだ動き、得意の打撃を生かす手応えと連戦のプレッシャー──その際どいバランスのなかで、それでも試合から見えたのは、“ファイター”RENAの強気と覚悟だった。7.29 浅倉カンナとの再戦に向け、RENAは試合後、何を語ったか。

 ここでは、あらためてその動きを詳細に振り返るとともに、試合後のコメント全文から、大一番に向けた思いを感じてほしい。

【試合展開】

 RIZINの広いリングと比べると、一回り小さなリングに立ったRENA。エレインが序盤から左右を振り回して前進しロープに詰め、ロープの間の空間でクラッチを組んでくるのに対し、脇を差し返して体を入れ替えるなど対処。ダブルレッグへの移行や、バックに回ろうとするエレインも防いでいたが、力強いエレインに再度クラッチを組まれ身体を伸ばされるとサバ折&小外でテイクダウンを奪われてしまう。

 ハーフガードから背中はつけず、すぐに半身で右で脇を差しながら身体を起こしてきたRENAに対し、エレインは首を抱え、狙っていたギロチンチョ-クへ! 相手のクローズドガードのなかに入ってしまい、苦しいRENAだが、右手で相手のクラッチを掴み腰を上げて対処し首を抜くことに成功すると、すぐにエレインは三角絞めに移行。

 右腕を流されそうになるRENAに対し、エレインは頭を引き付けてヒザ裏で両足をロックし、三角絞めをセットアップ。ここもヒジを立てて上体を起こしたRENAに、さらに腕十字に変化するが、想定できているRENAがヒジを抜くと、今度はパウンドにきたRENAの左足に外掛けからヒールフックへ。ここもRENAは背中を見せながら回転して足を抜いたことで、序盤いきなりのピンチを凌いだ。

 ここでバックは取られなかったRENAだが、脇を差しなが立ってくるエレインのダブルレッグを左でネルソンに組んで切ろうとするところをロープに詰まっていることもあり、身体を絞られ下に。

 いったんはクローズドに入れたRENAだが、ここで単発ながらパウンドを浴び、目尻を腫らせてしまう。しかし、落ち着いているRENAは、下から手首を掴んで右足でエレインの左脇をあおり腕十字狙い。さらに右手で左足を手繰りながらスイープ狙い!

 ここでファンクロール的にヒジを着いて足を持ち上げて立とうとしたか、エレインも下から胴締めで足を手繰り、後転から足関節狙いへ。ここもすぐにヒザを抜いたRENAはすぐに強気のパウンドを打っていったところで濃密な1Rが終了。序盤のピンチを凌いだRENAと体力を使ったエレインだが、中盤以降のスタミナにどう響くか。

 2R、エレインの入りに拳を合わせるRENA。たまらずダウン気味にテイクダウンに入るエレインをRENAはしっかり切って足をさばいてパウンド。勝機を逃さずアグレッシブに出る、この強気がRENAの持ち味だが、下から足を外掛けヒールフックにとられ、「足関節が柔らかい」というRENAだが対処を間違えば危険な展開に。ここも足を抜いて立つRENA。

 エレインの力量を定めたか。消耗も激しいエレインに対し、スタンドはRENAの庭。右の前蹴りを腹に決めると一気に前へ。しかし、しぶといエレインは体を入れ替え、四つから右腕でかちあげRENAの横につくと脇をくぐりスタンドでバックへ。ここもRENAは正対して、突き放すことに成功する。

 その際ですぐに打撃で反撃に行くRENA。右の前蹴りからそのまま右のスーパーマンパンチへと繋ぎ前へ。組み付いてくるエレインに対し、コーナーを背にシングルレッグを差し上げ切ると、ボディロックもさせずに突き放す。続くダブルレッグも凌いだところで2Rが終了。

 3R、オーソから右の強打を打ち込むRENA。さらに右ボディストレートにエレインは苦悶の表情。腹に狙いを定めたRENAは右から左のレバー打ち、左三日月蹴りも。強引に詰めてきたエレインは金網と異なるロープの間でクラッチを組み崩そうとするが、ここもRENAは切ってみせる。打撃の圧力でテイクダウンプレッシャーに対抗するRENAは左フック! 打ち返してきたところに脇を潜り、スタンドの肩固めにもトライする。外れても前進し左ボディ。左前蹴り。

 たまらずRENAの蹴り終わりにシングルレッグに入ってきたエレインを切ると、躊躇なくサッカーキックへ! さらに右フックを効かせて首相撲でコカすと、再びすぐさまサッカーキック。マットに背中をついたエレインにジャンピングフットスタンプも入れたところでゴング。序盤のエレインの極めを凌ぎ、テイクダウンを切って打撃を入れたRENAが判定3-0で勝利した。

 パワフルなエレインのスタンドに打ち勝ち、関節技に長けたエレインに極めさせなかったRENAだが、壁を使ったケージレスリング主体のエレインと、ピュアレスリングも強い浅倉とはスタイルも異なる。

 RENAの試合を会場で観戦した浅倉は「上でも下でも寝技はそんなに恐くはない。やっぱり打撃で何度も効かせていたので、付き合わないように試合を組み立てていかなきゃいけない。RENAさんが年末以上に気合が入っているのは十分に感じるので、怖い部分はあるけど、それに惑わされずに自分のペースでいつもどおりやっていけたら」と語っている。

 Girls S-cupで異例のMMA戦となった今回の“実戦”でRENAは、あらためて浮き彫りになった課題と手ごたえを、23日後の『RIZIN.11』までにどう消化し、戦うか。これまで何度もリヴェンジマッチをクリアしてきたRENAは、苦しいなかでも腹を決めたときに強さを見せてきた。7・29はどうなるか?

              *

──まずは試合を終えた率直な感想をお願いします。

「RIZINのトーナメントで優勝することができなくて、今回、復帰戦(大晦日。浅倉カンナ戦の一本負けから)だったんですけど、半年試合が空いたのと、久々に負けてしまったというので、その間に、『私ってどうやって試合に勝っていたかな』と思ったりもあって。でも、やってきたことは、確実に出るし、強くなっているという思いを力に変えて試合に挑んだのですが、すごく調子も良くて、いけるかなと正直思っていたんですが、相手(エレイン“パンテラ”リアル)もパワフルで、危ない場面も2、3回あって。

 初めて総合で判定までいったんですが。29日(7月29日『RIZIN.11』で浅倉と再戦)のために、判定までいけたのは、ここまでKO・一本で勝ってきたけど判定になって、それでもすごいいい経験になったと思っています。ただ危ない場面が多すぎたのと、でも、それも防げたというのも自信にもなるし……、複雑な気持ちですが。とりあえずは復帰戦に勝てて、ホッとはしています。本当にこの一戦だけを思ってやってきたんですが、まだ(MMAに)対応しきれていなかったのと、判定までいったのも初めての経験なので、15分戦い抜けたことも。長かったなと感じました」

――シュートボクシングの大会で、MMAのルールをやるというのは、どんな感覚でしたか?

「すごく違和感でしかなかったです。やはり、みんながグローブをつけている中で、私だけオープンフィンガー(グローブ)で。私と未奈さんの試合がMMAだったんですけど。でも、控室もMIOと同じで、ちょっと違和感。同じ練習もできるわけではないので、ちょっと違和感はあったんですが、女子格闘技も進化しているということで、いろいろなシュートボクシングファン、MMAファンに、両方のいいところを見せられたと思うので、格闘技としては良かったと思います」

――対戦相手が1kg体重超過でした。これまでもあったと思うんですが、メインの責任も感じていたと思います。精神的にハンデを感じていませんでしたか。

「(RIZINの)トーナメントの1回戦で対戦相手が体重オーバー(アンディ・ウィンが250gオーバー)ということで、トーナメントなのになんでオーバーなのか、なんでやらなきゃいけないのか、というのを乗り越えてきて、(また)今回だったので……、ただ今回、欠場ということは一切頭になくて。シュートボクシングの1年に1回しかない特別な大会で、今のところなかなか出られないので、その中で欠場ということは頭になくて。(相手の)体重が何キロオーバーだろうと、結局はやらなきゃいけない。でも、今まで49kgでやってきて、今回51kg契約で、すごいパワーも感じたので、いい経験になりました。あれほどのパワーがある人とは、今までやってきていなかったので、まだ身体の使い方的に、もうちょっと工夫がいりますが。経験できて良かったなと思います」

――ギロチンチョークは相手のクローズドガードのなかに入り、三角絞めも頭を下げさせられていて、苦しそうに感じましたが、極まり具合は?

「そうですね、苦しかったですね。でも、やはり、やられてやられて覚えてきたので。そこで負けるのは駄目だと思うし、根性ですね。セコンドの声、阿部(裕幸・AACC主宰)さんの声が的確で。今回、浜崎朱加選手、チャンピオンも来れなかったので、多少、不安もあったんですが……でも、ずっと練習はしているので、そこは私の強みです。危ない場面があったとしても切り抜けられる練習はしているので。とりあえず、そこが出せたのは一番大きいです」

――RIZINのリングと違って、ちょっと小さいので、距離を取りたいときに難しくなかったですか?

「やはりどうしても、打ち合い、組み合い、膠着状態というのがすごく多くなりました。本当にやりづらかったです。でも、あれ以上狭いリングでやることはあまりないと思うので。でも、そこで諦めることなく、打撃でも多少上回ることもできて、狭いリングの上でよく動けたほうではないかなと思います」

――打撃の試合に比べ、総合での試合はわりと距離を取って戦う感じだったと思いますが、今日はリングの小ささもあって、ああいうもみ合うような状況とか、引き込まれるような状況というのは、想定はしていました?

「そうですね。やはりリングが狭い分、打ち合いにはなるだろうと。試合の映像を見たんですが、今回の試合同様、押し込む力が強い選手なので、それに対してどうするかという対策はしていたんですが、やはりなかなか難しかったですね。普段と全然違う距離なので。あと、やはり、今まで倒せていたのに、今回、耐えられてしまった。相手もすごい根性を出して立って、諦めない心というものを見せてもらいました。今までだったら終わっていたんですが、これからはそういう試合も多くなると思うので、その中で、自分自身も諦められずに戦えたことが、すごく自信にはなりました」

――効かせた感触があったのはミドルですか? 三日月蹴り?

「三日月もそうですし、ボディストレートとかもけっこう効いていたので、抑えつけられたときに、ヒザ蹴りとかもしたかったんですが、体をくっつけられ、その距離にもさせてもらえなかったので、倒し切ることができなかったです。これからたぶん、厳しい戦いはどんどん増えてくる。そこでも倒し切る、一本を取るということを、また頑張りたいなと」

――今、体で痛いところはないですか?

「いっぱい殴ったので、親指あたりが痛いですが、今のところなんともないです」

――何度か足関節もかけられていますが、それは大丈夫だった?

「足関節は全然大丈夫でした。(自分の)足の関節が柔らかいのか、足関があまり極まらないので、いつも、大丈夫かなと思っています。(受けながら)ちょっと休憩していたときもあったんですが。でも、そこをうまい選手は極めてくるので、それをやられないように、今後は無くしていけたらなと」

――阿部(裕幸・AACC主宰)さんの指示はほぼ100パーセント、聞こえていた?

「聞こえています。ちょっと逆らったりもあったんですが(笑)。『回るんだよ! 回るんだよ!』と言われて、“ちょっと待って”と思いながら(笑)。でも、本当に的確なアドバイスをくれるので。やはりセコンド、練習仲間ということにはすごく恵まれています。打撃の強みがあるのがシュートボクシングで、今回はそこに助けられたのと、ずっと今まで3年間(2015年の大晦日イリアーナ・ヴァレンティーノ戦がMMAデビュー戦)やられて覚えたことが出せて、極められずに抜けられたというのは、すごく収穫になりました」

――すぐに次戦に向けて気持ちは切り替えられそうですか?

「もう、このままじゃあ駄目だなと。逆に、こういう判定で自分でももやもやして、今のままじゃあ駄目だって思えたことをプラスに。ここで“スカ勝ち”していたら、また調子に乗っちゃうと思うので。駄目な部分、そして、自分の強みである部分を出せたことで、自分でもう1回見つめ直すことができたというか。リングに立ったら(観客席の浅倉が)目の前にいて目も合ったので、このままじゃあ駄目だなと。やはり挑戦者なので。ちょっとしんどいですけど、格闘技人生終わってもいいくらいの追い込み方をしないと、と思っています」

――手応えをつかんだ部分は?

「今までで一番冷静に戦えたというか。本当にいろいろ考えながら試合ができました。シュートボクシングでは、ずっと(試合中に)考えながらできていたんですが、総合となるとどこかしら、倒されそうになって焦ったり、下になったら焦ったりというのが結構あったんですが、最近は焦ることが無くなってきたので、そこは成長したし、自信が多少ついたから、安心して戦えているのかなと思います」

――ほとんど顔を腫らすことのないRENA選手ですが、序盤で鉄槌でしたか。少し左目を腫らしました。

「なんか、痛あと思いました(苦笑)」

――そのときも冷静に?

「そうですね。痛っとは思いましたけど。やっぱりこういうの飛んでくるんだと思って。久々に頭を殴られた感じがします」

――今までと違うコスチュームですが、テーマがあるんですか?

「ちょっと“黒いRENA”を見せようかなと。そのまんまじゃないか、みたいな感じですが(笑)。心機一転、世間的にちょっとヒールになったので、その波も活かしていこうかなと(笑)。だから、29日も、より“黒いRENA”でいけたらなと」

――戦いの中でも黒さは出ましたか?

「ハハハ、でも躊躇なくサッカーボールキックが出せたので、そこはすごく成長したかなと思います。初めて、四つん這いの人の顔を蹴れました」

――気持ち良かったですか?

「気持ちがいいものではないですけど(苦笑)。でも多少は、“怖さ”を出せたんじゃないかなと。でも、こんなものではないので、もっと“悪いRENA”を29日は見せたいです」

――MIO選手の試合(48kg世界トーナメント)は見られましたか?

「ちょこっとだけ。準決は見られなかったですが、1回戦と決勝は陰で見ていたんですが、1回戦すごくいい動きで、これいけるなということで、2回戦にダウンを取っていい波に乗ったなと思ったんですが。1、2Rはドローかなと思ったんですが、3R、ちょっと甘さが出たというか、(首相撲ヒザで)押されてしまって、そこで印象点を取られてしまったかなという印象でした。ただ、アイツも頑張ってきたので、来年また開催してもらえるのであれば、アイツはまた強くなって帰ってくると思うので……。姉貴分としてはすごく悔しいですが、『また頑張ろう』とリングでも言えたので、今後に期待していただけたら嬉しいです」

――ファァンにメッセージを。

「リング上でも言いましたが、リベンジというものは不可能だと言われていますが、今のこの現状では、私も不可能だと痛感したので、残り日数、死にものぐるいで頑張って、不可能を可能にできるように、精一杯頑張りますので、皆さんのお力をお借りして、リベンジを成功させたいと思います」

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