7月29日（日）さいたまスーパーアリーナにて開催された『RIZIN.11』の第6試合で、北岡悟（ロータス世田谷／パンクラスイズム横浜）が、元UFCの強豪ディエゴ・ブランダオン（ブラジル）と対戦した。

試合は、ブランダオンの一撃必倒の右をかい潜った北岡がテイクダウンを試みるもはじき返され、引き込みに。得意の足関節をセットアップするも、ブランダオンの強いパウンドの前に失神KO負けとなった。

現在進行形のワールドクラスの強豪を迎え撃った北岡は、勝負をかけた際で何を感じていたのか。勝者ブランダオンの次なる標的とは？　試合の詳報と試合後の両者のコメントは以下の通り。（写真＝RIZIN FF／Mizuaki Wakahara）

【試合展開】

第6試合 RIZIN MMA特別ルール 70.0kg契約 5分3R ※ヒジ打ちあり
○ディエゴ・ブランダオン（69.80kg／ブラジル）
[1R 1分30秒 KO] ※パウンド
×北岡 悟（69.80kg／ロータス世田谷／パンクラスイズム横浜／DEEPライト級王者）

1R、左構えの北岡、オーソのブランダオン。開始早々、ブランダオンの前足にシングルレッグは北岡。切るブランダオンに北岡はガードに。すかさずブランダオンはサッカーキックも北岡は足で防御。グラウンドに来ないブランダオンを見て北岡が立つと、その立ち際にブランダオンは右ハイキックを打ち込む。

再び足を触りにいく北岡。ここは深追いせず。ブランダオンの右ミドルハイはかわして右手ではたく北岡。そしてブランダオンは得意のスイングフック！ それを低くかいくぐり足を取りに行く北岡だが、ブランダオンはすぐさま後方に両足を飛ばす。

すぐにガードを取った北岡はその右手を掴んで腕取りから引き込みへ！

 ハーフガードの中に入っていくブランダオン。右へパスしにきたブランダオンを前方に流して右脇下に入り足も狙いにいく北岡だが、察知したブランダオンは右手を戻して北岡の首を枕に巻いて流されないように固定し、左手でパウンド。

北岡は下から左で脇を差しながら、右手でブランダオンの左腕を掴んで後方に送ると、すぐさま両足でロック。と同時に離した右手を上に戻してブランダオンの右腕を上から抑えて腕固めへ！ クルスフィックの状態で腕固めを極められたブランダオンが頭を下げて密着させにくると左はアンダーフックで固定したまま、北岡は右腕でヒジを即頭部に打ち込む！ 

しかし左腕を抜いたブランダオンはサイドからマウントへ。その際で左手でブランダオンの右足を手繰りにいく北岡。ブランダオンが上からパウンドを打つと、その瞬間に一気に右足を手繰るとブランダオンは後方に倒れる！

北岡はブランダオンの右足を肩口に抱え上げ、強い鉄槌を7発受けながらもブランダオンの右足に自身の右足を上から内がけでかけて三角に組み足を伸ばす！ さらに足首を脇下に挟みに！

しかし、その瞬間に上体を起こして右腕で北岡の頭を引き寄せて身体を近づけたブランダオンは右手で強いパウンド！ 北岡もアキレス腱固めをセットアップ。腹を出し煽って足を伸ばそうとするが、ブランダオンも左手をマットに着いて上体を立てたまま、右ヒザを立てて伸ばされないようにすると、右手で迷わず強いパウンドを連打！ 10発目で意識が飛び、12発目の瞬間にレフェリーが間に入った。

北岡の足関節を強打のパウンドで潰したブランダオンはコーナーに駆け上がり、咆哮。北岡が身体を起こすのをブランダオンは正座して待ち、ハグ。マイクを持つと日本語で「アリガトウ、サヨウナラ」と挨拶した。

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◆ディエゴ・ブランダオン「キタオカの表情はリラックスする為なんじゃないか」

――まずは試合を終えた率直な感想をお願いします。

「いろいろな問題があったけど、最終的には素晴らしい試合になった。ブラジルからいろいろな問題を抱えて日本に来た。一回フライトを失って乗りそこねたし、コーチも来ることができなかったんだ。木曜日に疲れ果てた状態で来日し、起きて体重を量ってまだ5kg落とさなければならなかった。それでも日本には仲間ができて、計量でどうにかぴったりに抑えることができた（※ブランダオンは公開計量前の初回計量で70.05kg、再計量で69.80kgに落とした）。日本では負けることは許されても体重超過は許されない。今日のためにだいぶエネルギーを蓄えてきたけど、いろいろ腹立たしいこともあって消耗した。でも、いまとなっては勝ったので、心が落ち着いているよ」

――北岡選手の印象は？

「経験豊かな選手だけど、相手はこのディエゴ・ブランダオン、トレーニングをやり尽くして身体も出来上がっている。危険な男だよ。彼はおかしな目つきで俺を見たけど怖くはない。でもいま思うと彼自身がリラックスする為にああいった顔をやっていたんじゃないかなと思うよ。とにかくいい試合をしてくれたので感謝している。ダメージから回復していることを祈るよ」

――RIZINの大会をどう感じましたか。

「夢が叶ったと思ったよ。でもさいたまスーパーアリーナはUFCでKO（vs菊野克紀）しているから2度目だったんだ。今回はヴァンダレイ・シウバの曲で入場したし、KO勝利したし、ハイテンションだったよ」

――今後もRIZINに？

「ぜひお願いするよ」

――70kgで戦うのはいかがでしたか。またこの階級にいる五味隆典選手についてどう思っていますか。

「FightNightで何回もキャンセルがあって試合から遠ざかっていたんだ。70kgに落とすのが大変でしばらくやっていなかったけど、今日戦ってみて調子がいいと感じたよ。これからも70kgでやっていけたらいいね。日本のスターであるゴミとチャンスがあればやりたいし、いい試合になるだろう。俺のアグレッシブな姿を見せられる。（携帯が鳴り）地元の友達やファンからのメッセージがいっぱい来て携帯の電池が切れてしまったよ（笑）」

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◆北岡悟「負けたので席は譲るべきじゃないかなと思う」

――試合を振り返って、覚えていますか。

「ちゃんと（意識を）飛ばされまして、覚えてはいなくて、さっき映像で見て確認しました」

――ブランダオンと対峙した印象は？

「強かったですね。圧力がありました。ちゃんと組むこともできなかったし、テイクダウンを取りたかったわけですけど、テイクダウン出来そうな感じもなく。立ち技も練習はしてきてはいましたが、別にアプローチ出来たといえば出来たんですけど、とてもテイクダウン出来るような組み方ではなかったですよね、映像を見直したら」

――試合開始直後にまずタックルに行きました。

「まぁテイクダウンして攻めるっていうのは決めてましたけど、テイクダウンしてアプローチしてっていう……まぁ映像見る限りは差があったなと思います。差がある中で勝負を仕掛けてやられた、という感じでしたね。もう少しいろいろな準備、いろいろな事を想定して入り方を考えていたのですが、そこに至ることもできずというような内容でしたね」

――アプローチはできてもテイクダウンが出来なかった場合のオプションとして、引き込みは作戦だったのでしょうか。

「引き込んですぐロールするみたいなことですよね。四点ヒザもサッカーボール（キック）もある中で、リスクはあるけど“際”はできるんじゃないかな、ということで、だから、一応潜れてアキレス腱固めに入る形を作ることができたと無理やり言えなくもないですけど、で、あの通りだったということです」

――足関節を狙いにいきました。

「足（関節）は考えていたんですけど……まぁ上からやりたかったですよね。全然、負けるべくして負けただけなんで」

――最後のパウンドは上手く当てられた、想定外に伸びてきたという感じでしたか？

「いや、打てるでしょう、近かったし。もっと煽りかたとかうまくできるのかもしれないけど、僕ができるのはあれが精一杯ということじゃないでしょうか。あれは僕が打たれるかもしれないけど、極めれるかもしれないというのを僕が作った、作ったというかあれしか手はなかったという感じですね。一応言った通り、やられる覚悟を持ってやりには行ったという。かなり程度は低いですけど」

――今後の展望は？

「DEEPの防衛戦とかをオファーされるのではないかと思うんですけど、ちょっとどうしたものかなという感じですね。『RIZIN』は席が無い中、こうやってチャンスをもらって見事に負けたので、ファンがどう思うのか知らないですけど、席は譲るべきじゃないかなと思うので。僕は勝負させてもらった事だけでもありがたい事だなと思っています。勝負に負けたんだから引っ込めっていうのは当然じゃないかなと思います」

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