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【GRACHAN】「治療が始まるからこの動画をアップしてほしい」──王座防衛後の阪本洋平が語っていたこと

9月9日(日)東京・大田区総合体育館にて「GRACHAN36」が行われた。

4階級の王座戦が組まれた「GRACHAN10周年記念大会」で、セミの山本琢也vs岸本泰昭による第13GRACHANライト級王座決定戦と並んで、メインイベントのGRACHANフェザー級タイトルマッチでも濃密な試合が展開された。

試合後、闘病中のT-BLOODの後輩にメッセージを送った勝者・阪本洋平のリクエスト通り、GRACHANは試合動画とともに試合後のマイクも収録した動画をアップした。その動画とともに、試合詳細を振り返りたい。

▼第14試合 GRACHANフェザー級タイトルマッチ 5分3R
○阪本洋平(T-BLOOD/初代GRACHANライト級王者、第2代GRACHANフェザー級現王者)
[1R 4分06秒 TKO] ※レフェリーストップ
×原井 徹(フリー/挑戦者)

※阪本は初防衛に成功

王者・阪本は2016年5月に元パンクラス・ウェルター級王者の宇良健吾を1R秒殺KOで降し、GRACHAN初代ライト級王座獲得。その後、階級を下げて、2017年5月大澤茂樹に2RKO勝利し、GRACHANフェザー級王者となり、二階級制覇を果たした。MMA12勝3敗3分。現在、約9年間負けなしだ。

対する原井はこれまでPANCRASE、DEEP、HEATなどを経て、現在はGRACHANが主戦場。大澤茂樹が保持していたGRACHANフェザー級王座に2度挑戦し、1度目はドロー、2度目はTKO負けで今回が3度目の挑戦となる。2018年2月には元PANCRASEライト級王者・昇侍に判定勝ちしており、4連勝で王座挑戦にこぎつけた。

試合は衝撃KO決着となった。

1R、ともにオーソドックス構えから、原井が先に右ローを蹴っていく。低いガードのままつかつかと近寄っていく阪本に、前蹴りでけん制する原井。右のオーバーハンドフックに阪本も左を合わせて狙いにいく。

圧力をかける阪本にサークリングする原井は右ハイ。ブロックする阪本が距離を詰めると、原井はダブルレッグをドライブして小外を合わせてテイクダウン! 尻まで着いた阪本は金網まで這い立ち上がると、バックを狙う原井のクラッチをはがして正対する。

その際で右を叩き込んだ原井だが、動じない阪本に大きく距離を取り直す。追う阪本は右のフェイント。そこで頭を下げた原井は低いダブルレッグに入るが、ここは阪本ががぶりヒザを突きながら押し込むと右でオーバーフックに巻いたまま、左でヒジを叩き込む。

ブレークで中央再開。セコンドの川尻達也からの「浮くなよ」の声に構えなおす阪本。原井の左前蹴りを見切ってかわすと、大きな右フック。そこに原井も頭を下げて左フックを合わせにいく。

「大きく狙わずに作ってから打て」という川尻の声。原井の左ローに合わせて阪本は右を振ると、近づいた際で右を振りながら組み付いてきた原井を切り、その際で右フックをヒット! 下がる原井を詰めると一気に力強い左右をボディ打ちも織り交ぜ打っていく。

金網に詰まりガード固めるも阪本の右フックに顔を飛ばされる原井。連打を浴びるが首後ろをつかみクリンチに持ち込む。首を抱えにきた原井の左脇を押し上げ頭を潜らせた阪本。そこにすぐさま原井は右バックフィストを狙うと、かすめた阪本は少し動きが止まりクリンチへ。

ブレーク。再びじりじりと圧力をかける阪本に金網に詰まった原井は、崩しもなくストレートに遠間からダブルレッグへ。頭を押し下げてさばいた阪本はすぐに原井を追うと、原井の右から左に対し打ち合いに。ここで左を被弾した阪本だが、受けて左右を振ると再び原井がダブルレッグに。これも頭を押して切った阪本は原井が両手をマットから離してヒザ立ちになった瞬間に、右フック!

後方に倒れた原井に阪本が表情を変えずに強いパウンドを6発入れると原井が失神。勝者は感情をかみ殺したような表情で勝ち名乗りを受けた。終始、落ち着いていた阪本。原井をのみこんで戦ったような試合ぶりだった。

試合後、マイクを握った阪本は、昨年から白血病で闘病中のT-BLOOD会員の神立大輝さんに向けてメッセージを語った。本来は会場に観戦に来る予定だったが、白血病で脳への転移が見られ、来場出来なくなったという。

◆阪本「今日、全然、別に言いたいことがあって、ジムの後輩の神立大輝という人間が、21歳の若さで白血病と戦っているんですけど、2週間前に神立を呼んで、話をしたんですけど、『何で今日、呼んだんですか?』って言われて、僕、そのときに答えられなかったんですけど、病院で『この試合は神立に観てもらうためにやる』って言ってました。その意思を確認するために僕は(2週間前に)呼びました。で、今日、お前は俺との約束を破ったな……なんか知らんけど、俺は嘘つくやつが一番嫌い言うたやろ。お前、必ず戻ってきて、俺と(阪本がかねてから対戦を希望している)高谷(裕之)さんとの試合を、生で、必ず観てください。で、自分の力で金を稼いで、俺と一緒に(※聞き取れず)行こう、必ず。明日から治療が始まるから、なるべく早く、この動画、アップしてもらってもいいですか。よろしくお願いします。今日はありがとうございました」

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