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【空道】4年に一度の世界大会でエース清水がロシアによる全階級制覇を阻止するとともに休養表明。中村、因縁のコリャンとの死闘を制し、史上初の3大会連続決勝進出達成!=12月1日・2日「2018 世界空道選手権」

2018年12月1日~12月2日、愛知県・愛知県体育館にて4年に一度の世界空道選手権(国際空道連盟主催)が開催された。

9年前の第3回大会では、ロシアが全カテゴリーを制圧し、日本は屈辱の優勝者ゼロ。4年前の前回大会では、7カテゴリー中、ロシアが6つ、日本が1つの王座を獲得。そして、今大会では、8カテゴリーで、ロシアが7人、日本が1人、優勝。空道界における勢力地図を塗り替えるまでには至らなかったが、なんとか、空道母国としての面子を保ち、中村知大、野村幸汰といった国内のエース選手たちは引退を表明。若い世代に、4年後の復権を託すかたちとなった。激闘の結果は、以下の通り。(記事・写真提供=全日本空道連盟)

【写真】最重量クラスである270超級で準優勝したセルゲイ・ミナコフ(ロシア)の2回戦、パウリウス・ペセリウナス(リトアニア)戦でのKO劇。

全国際空道連盟「2018 第5回世界空道選手権」
2018年12月1~2日 愛知県・愛知県体育館

▼230以下クラス決勝戦(数字は身長+体重の数値=以下同)
〇ウラジミル・ミロシニコフ(ロシア/2014世界選手権U19 M-220優勝)
延長 旗判定4-1
×中村知大(日本、大道塾横浜支部/2014世界選手権-230優勝)

この階級、2009年第3回大会の決勝では、エドガル・コリャンが中村知大を下し、2014年第4回大会では、コリャンが決勝を棄権したため中村が不戦勝で優勝している。その大会での引退を発表したコリャンだが、大会後の共同記者会見時に、中村から決着戦を懇願され、4年後の再会を約束。かくして、今大会、両者は準決勝で、相まみえることとなった。コリャンが豪快な投げを決めれば、中村はハイキックで顔面を脅かす。本戦、延長を経たうえで、中村に2本、コリャンにも2本の旗があがるまったくイーブンの展開の末、最後は主審が中村の勝利を宣告した。こうして、日本人初の3大会連続世界選手権ファイナリストとなった中村、決勝でも残る気力を奮い立たせて右拳を振るうが、ロシアの新エース、22歳のウラジミル・ミロシニコフ(写真・青)はテンプルにクリーンヒットを浴びても、反撃を止めない。2回戦・目黒雄太戦でも、準決勝・谷井翔太戦でも、本戦で攻め込まれながら延長で競り勝っているミロシニコフは、決勝でも、中村を蟻地獄の巣に引きずり込む。投げの打ち合いで体力を消費した中村に速いフック連打を浴びせ、延長戦旗判定、4-1のスプリットで、世界王座を奪い去った。

▼240以下クラス決勝戦
〇ゲガム・マヴァジャン(ロシア/2014世界選手権-240優勝)
本戦終了時棄権
×ラウリ・ツタラウリ(ジョージア/2017ワールドカップ-240優勝)


ジョージアのMMA&キックボクシング王者、ラウリ・ツタラウリは、大会前に肋骨を折った状態(大会後に本人談)ながら、初戦となった2回戦は腕十字で一本勝ち、3回戦では曽山遼太からハイキックで効果を奪い、準決勝は前回世界選手権準優勝者のアンドレイ・グリシン(ロシア)をアキレス腱固めで下し、決勝進出。曽山曰く「規格外やったです。今まで経験のない感じ。パンチをガードしても体ごと持っていかれる。軸ごとズラされる…」。決勝は、このツタラウリと、前回世界選手権王者、ゲガム・マヴァジャン(写真・白)の対戦となったが、本戦の中盤から、ツタラウリは何度もセコンドの方をみて首を振り“もうやめたい”とジェスチャーで訴える。コーチ陣の“ダメだ、続けろ”という叱咤(ジョージア語につきあくまで推測)により、なんとか本戦終了までは闘い抜いたものの、インターバル間に、いよいよ心が折れた様子。セコンドも観念し、主審にギブアップを申し出た。


▼250以下クラス決勝戦
〇イゴリ・ペルミン(ロシア/2017ワールドカップ-250優勝)
延長 旗判定5-0 ※本戦で、パンチによりペルミンに効果1あり
×ロマン・クリエフ(ロシア/2018全ロシア大会-250優勝)

前回大会、清水亮汰にハイキックで効果を奪われ、決勝進出を逃したイゴリ・ペルミン。その後、「巌流島」に参戦し、菊野克紀と接戦を繰り広げた(結果は3R判定負け)のち、昨年の空道ワールドカップを制し、今大会でも世界選手権史上初の大道塾以外の団体所属の日本代表である加藤智亮から右ストレートで効果を奪い、決勝に駒を進めた。対するは安富北斗、山崎順也を制したロマン・クリエフ(写真・青)。クリエフには、世界王者となって、来場させたフィアンセにプロポーズする計画があったが、ペルミンはパンチで効果を奪い、そのシナリオを打ち砕いた。


▼260以下クラス決勝戦
〇清水亮汰(日本、大道塾総本部/2014世界選手権-250準優勝)
延長 旗判定4-0
×加藤和徳(日本、大道塾吉祥寺支部/2014世界選手権-260ベスト4)


昨年、空道創始者である東孝・国際空道連盟理事長のひとり娘である由美子さんと結婚し、東理事長の義理の息子となり、今年6月には父親となった(生まれたのは男の子で東塾長にとって初孫)清水亮汰が、前回世界選手権出場時より、階級を一つ上げての優勝を果たした。

決勝は、優勝候補筆頭であったアダム・カリエフ(プロMMAで連戦連勝を重ね、空道でも前回、前々回大会と世界選手権連覇)の後ろ回しを封じ込めて勝ち上がってきた加藤和徳(写真・白)との日本人対決であったが、受け返しを確実に重ねてのスマートな闘いぶり。

試合後には「子どもの頃からずっと競技を続けてきたので、これで一区切りとしたい。しばらくは休んで、その後、どうするか考えたい」と、23歳にして引退の可能性を匂わせた。


▼270以下クラス決勝戦
〇コンスタンチン・カラウリヌイッフ(ロシア/2014世界選手権-270優勝)
最延長 有効優勢勝ち ※再延長で、左中段回し蹴りによりカラウリヌイッフに有効1あり
×アンドレイ・チェルニック(ロシア/2011ワールドカップ-270準優勝)

前回大会優勝者であるコンスタンチン・カラウリヌイッフが連覇達成。準決勝では、唯一人の日本代表、目黒毅から、中段回し蹴りやパンチ連打で効果4つを奪った後に、腕十字で一本勝ち。決勝では、アンドレイ・チェルニック(写真・青)から左ミドルでダウン(有効)を奪取した。


▼270超クラス決勝戦
〇マラット・アリアスハボブ(ロシア/2017ワールドカップー270優勝)
延長 旗判定5-0
×セルゲイ・ミナコフ(ロシア/2018全ロシア大会-270優勝)


日本の2トップ、野村幸汰と岩﨑大河は、準決勝で敗退。決勝では、野村を下したアリアスハボブが写真の「ミドルキックキャッチ→引き込んで→裏アキレス腱固め」のような、いかにもコンバットサンボ経験者らしい攻めをみせ、2回戦で豪快なハイキックKOを決めたセルゲイ・ミナコフを延長旗判定5‐0で制した。


▼女子220超クラス決勝戦
〇クリスチナ・スチエパニャン(ロシア/2018全ロシア大会優勝)
延長 効果優勢勝ち ※延長で、ニーインベリーからのキメ突きによりスチエパニャンに効果1あり
×アレクサンドラ・サビエチバ(ロシア/2014世界選手権U19 FM-225優勝


優勝候補であったジョージアのプロMMA選手、リアナ・ドジョジュアは、準決勝でアレクサンドラ・サビエチバに延長旗判定4‐1で敗退。決勝で、そのサビチエバからニーインベリーからのキメ突きにより効果を奪ったスチエパニャン(写真・青)が優勝を果たした。

▼女子220以下クラス決勝戦
〇アナスタシア・モシキナ(ロシア/2018全ロシア大会優勝)
延長 旗判定3‐1
×クリスチナ・サンドルキア(ロシア/2014世界選手権U19 FM-225優勝)

優勝したモシキナ(写真・青)は、決勝進出までの3試合すべてで打撃により3ポイント以上(一本=8P、技あり=4P、有効2P、効果=1P)を獲得。決勝こそ、接戦を演じたものの、ロシア選手特有の肩甲骨ごと投げだすかのようなパンチの伸びと、拳の硬さを感じさせた。

【第5回世界空道選手権】

■男子 270+/Male 270+ class
優勝/1st マラット・アリアスハボフ(Marat Aliaskhabov)(Russia)
準優勝/2nd セルゲイ・ミナコフ(Sergei Minakov)(Russia)
3位/3rd 野村 幸汰(Nomura Kota)(Japan)

■男子 -270/Male under 270 class
優勝/1st コンスタンチン・カラウリヌイッフ(Konstantin Karaulnykh)(Russia)
準優勝/2nd アンドレイ・チェルニック(Andrei Chernykh)(Russia)
3位/3rd 目黒 毅(Meguro Tsuyoshi)(Japan)

■男子 -260/Male under 260 class
優勝/1st 清水 亮汰(Shimizu Ryota)(Japan)
準優勝/2nd 加藤 和徳(Kato Kazunori)(Japan)
3位/3rd アダム・カリエフ(Adam Khaliev)(Russia)
4位/4th イワン・シュペッド(Ivan Shpedt)(Russia)

■男子 -250/Male under 250 class
優勝/1st イゴリ・ペルミン(Igor Permin)(Russia)
準優勝/2nd ロマン・クリエフ(Roman Kuliev)(Russia)
3位/3rd 加藤 智亮(Kato Tomoaki)(Japan)
4位/4th 山崎 順也(Yamazaki Junya)(Japan)

■男子 -240/Male under 240 class
優勝/1st ゲガム・マナヴァジャン(Gegam Manavazian)(Russia)
準優勝/2nd ラウリ・ツタラウリ(Rauli Tutarauli)(Georgia)
3位/3rd 服部 晶洸(Hattori Akihiro)(Japan)
4位/4th アンドレイ・グリシン(Andrei Grishin)(Russia)

■男子 -230/Male under 230 class
優勝/1st ウラジミル・ミロシニコフ(Vladimir Miroshnikov)(Russia)
準優勝/2nd 中村 知大(Nakamura Tomohiro)(Japan)
3位/3rd エドガル・コリャン(Edgar Kolyan)(Russia)
4位/4th 谷井 翔太(Tanii Shota)(Japan)

■女子 220+/Female 220 over class
優勝/1st クリスチナ・スチエパニャン(Kristina Stepanyan)(Russia)
準優勝/2nd アレクサンドラ・サビチエバ(Aleksandra Savicheva)(Russia)

■女子 -220/Female under 220 class
優勝/1st アナスタシア・モシキナ(Anastasiia Moshkina)(Russia)
準優勝/2nd クリスチナ・サンドルキナ(Kristina Sandrkina)(Russia)

※最優秀勝利者賞(北斗旗)獲得:ゲガム・マナヴァジャン

【第2回世界空道ジュニア選手権】

U13 F-42 勝利者/WINNER 相内 春花(Aiuchi Haruka)(Japan)
U13 F-52 勝利者/WINNER 神 舞優(Jin Mahiro)(Japan)
U13 M-42 優勝/1st 鈴木 廉(Suzuki Ren)(Japan) 準優勝/2nd アルセン・アヴェチシャン(ARSEN AVETISIAN)(Russia)
U13 M-52 優勝/1st 酒井 晃希(Sakai Koki)(Japan)
U16 F-43 優勝/1st 稲垣 琴愛(Inagaki Kotoa)(Japan)
U16 F-53 勝利者/WINNER 小野寺 玲奈(Onodera Reina)(Japan)
U16 F-63 優勝/1st アンゲリナ・スタロベロヴァ(Angelina Staroverova)(Russia)
U16 M-48 優勝/1st 今井 健太郎(Imai Kentro)(Japan) 準優勝/2nd チムル・ボルコフ(Timur Volkov)(Russia)
U16 M-58 優勝/1st バデイム・ルキナノフ(Vadim Lukinanov)(Russia) 準優勝/2nd 吉田 優太(Yoshida Yuta)(Japan)
U16 M-68 優勝/1st デニス・ズボフ(Denis Zubov)(Russia) 準優勝/2nd 鶴田 陸(Tsuruta Riku)(Japan)
U19 F-215 優勝/1st ビクトリア・ノスコバ(Viktoriia Noskova)(Russia)
U19 F-225 優勝/1st イアナ・マレバヌナヤ(Iana Malevannaia)(Russia)
U19 F-235 優勝/1st クセニア・ヤコベンコ(Kseniia Iakovenko)(Russia)
U19 M-220 優勝/1st エルビン・カザノフ(Elvin Gasanov)(Russia)
U19 M-230 優勝/1st エブゲニー・ノビコフ(Evgenii Novikov)(Russia)
U19 M-240 優勝/1st ダニル・マコゴノフ(Danil Makogonov)(Russia)準優勝/2nd アレクサンドル・ソポフ(Alexander Sopov)(Russia)
U19 M-250 優勝/1st 曽山 智輝(Soyama Tomoki)(Japan) 準優勝/2nd デミアン・ブンドザ(Demian Bundza)(Ukraine)
U19 M-260 優勝/1st ダニル・ダニロフ(Danil Danilov)(Russia)
U19 M-270 勝利者/WINNER コンスタンチン・イワノフ(Konstantin Ivanov)(Russia)
U19 M270+ 勝利者/WINNER ミハイル・スツヂョノフ(Mikhail Studenov)(Russia)


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