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【ZST】伊藤盛一郎との新旧王者対決を制した竿本樹生「RIZINで海外の強豪と対戦したい」=10.28「ZST.62」


10月28日の「ZST.62」横浜大さん橋ホール大会で、現フライ級王者の竿本樹生(BRAVE GYM)が、前王者の伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム)に判定3-0で勝利した

竿本は1996年10月4日生まれの22歳。地元の和歌山では、高校卒業までにレスリングでJOC杯2位、インターハイ3位、全国高校グレコローマン選手権で2位の実績を誇る。高校卒業後に上京。宮田和幸代表率いるBRAVEジムに入門し、内弟子となると、ジムの2階に住みこみキッズたちにレスリングを教えながら、MMAの練習を積んできた。2015年7月のプロデビューから10勝2敗。「20歳までにベルトを巻く」目標から1年遅れて21歳でZSTフライ級王者となった。

今回、対戦した伊藤盛一郎は怪我が続き、2017年4月RIZINでの才賀紀左衛門戦での判定勝利以来の試合だったが、竿本は5月に加マーク納を破り王座戴冠、8月には元柔道全日本強化選手の駒杵嵩大にも勝利し、ここまで6連勝をマークしていた。

得意のレスリングに加え、強い体幹から繰り出す左構えでの右の打撃。5月の加マーク納との王座戦では宮田代表の「こういう時は一番得意なやつを出さないと負ける。変に色気を出して打撃とか寝技でやると負けるので、とにかくレスリングを出せと言った」の言葉通り、加マークの変則的な打撃・しつこい寝技も断ち切り、組み力で王者に輝いた。しかし今回の伊藤戦では一転、「スタンドで戦え」という宮田代表の指示を完全遂行する進化も見せた竿本。前夜のBRAVEの武田光司に続く、ボクシング&レスリングでノンタイトル戦ながら現王者の意地を見せた。

前王者越えを果たした、22歳の若き王者に試合後、聞いた。

──前王者・伊藤盛一郎選手との接戦を制した現王者の竿本樹生選手です。試合を終えた率直な感想からお願いします。

「思っていた以上にうまくいった試合でした。自分の動きができて、パンチも当たって、自分のペースで試合ができたと思っています」

──左構えの竿本選手と右構えの伊藤選手の試合でした。伊藤選手の打撃をどうとらえていましたか。

「相手の右のパンチが効くというか、いいパンチを持っているので、右のパンチだけ気を付けて、左はもらっても大丈夫という感じで臨みました」

──竿本選手はサウスポーですが、右の打撃をヒットさせていました。利き手は……。

「僕は右利きサウスポーなので、左よりも右ばかりでしたね。前の手で打つことが多いのですが、右フックは結構、当たった手応えがありました」

──レスリングでは利き手を前にする選手も多いですが、竿本選手は速い踏み込みから2Rにも右をクリーンヒットさせて、伊藤選手が思わず引き込む場面も見られました。

「ちょっと、怖かったですね。引き込まれたときは」

──右腕を巻かれましたが、竿本選手の右の圧力で引き込ませたともいえると思います。

「そうかもしれませんが、試合中はそう考えられなかったです。ヤバい、相手のペースに巻き込まれると思って警戒しました」

──そうだったんですか。組みの展開は立ちでは互角なように感じました。伊藤選手の柔道ベースと竿本選手のレスリングベースと、組みの種類は異なる部分もあると思いますが、実際に組んでどう感じていましたか。

「思っていた以上に、組みの展開ではこれはヤバいという感じはなかったです。むしろ引き込まれたときに注意しないと、と思いました」

──伊藤選手が小手に巻いて、払い腰でロープ側に投げをうってきました。あのとき、腰に乗ってしまい、ロープにひっかかりました。一瞬、ロープを掴む形になりましたが、あれは助かった?

「そうですね……でもあのまま手を出さないとロープに顔面から突っ込む形だったので、仕方なかったというのもあります」

──それほどスペースがなかったのですね。互いにテイクダウンもありました。最初の伊藤選手のニータップは切ったものの、2度目はテイクダウンされて、コーナーを背にすぐに立ちました。竿本選手からのテイクダウンは……。

「僕はもう、テイクダウン行こうと思ってなかったです。立って打撃で戦うという作戦でした」

──レスラーが組み力をテイクダウンデフェンスに使う。打撃で戦うというのは宮田和幸BRAVE代表からの作戦でもあったのですか。

「はい。宮田先生が『ボクシング&レスリングで行け。寝技にはできるだけならなように』と言われていました」

──まるで前日に北岡悟選手と対戦した武田光司選手のように……。

「そうですね。武田さんもやっていたので、あのようにできればと思っていました。武田さんも練習のときからボクシングをやっていましたから、その練習の動きをそのまま試合で出していたので、さすがだなと感じていました」

──竿本選手もその練習の動きが試合で出たと。

「自信になりました。自分の動きができたという意味では」

──BRAVE勢の活躍が目立ちます。竿本選手も現在は練習に集中できる環境にあるのでしょうか。

「集中できてます。BRAVEは強い選手ばかりなので、互いに相乗効果というか刺激を受けています」

──今回はノンタイトル戦でしたが、ベルトを返上した前王者に勝利しました。今後の目標は?

「伊藤選手に勝って、次の相手がいなくなっちゃったので、RIZINとかいろんな大きな舞台に出たいと思っています。もともとは伊藤選手とRIZINで戦いたかったというのもあって、これからは……メジャーな舞台で、外国人選手、海外勢とも対戦していきたいです」


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