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(ABD)『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』を読み終えて

自社の組織で積極的アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)を取り入れようという意識から、やり方を参考にしようと思い、知人がファシリテーターをやっているABDに参加してきました。

今回のABDは一冊の本を4時間かけて取り組みました。コサマライズの時間は60分程度ですが、ダイアログの時間をじっくりとっていました。アクティブ・ブック・ダイアログというだけあって、ダイアログが重要なんですよね、というのを改めて実感しました。

【今回のスタイル】

参加人数:7人
ページ割:章ごと。一人40~60ページ
コサマライズ:60分→休憩含め90分くらい。
プレゼン:一人3分(実質4分)
ギャラリー:10分
ダイアログ:90分(小グループ→全体)

リレープレゼンでは、他人のプレゼンの時には自分のプレゼンのことは考えず、とにかく聞くことに集中することが大事。じゃないと、読んだことにならないので…

気になったところや、疑問、気付きなどを付箋にメモっておき、プレゼン後に貼っていくと、皆が気になったポイントから、新しい気付きもあります。

ダイアログは2~3人でまとまり、感想を言い合い、その後全体で実施しました。口火を切る人のコメントにどう被せるかが、その後の発展のポイントかもしれません。やはりここでも耳を傾け、問いかけることを意識すると対話が盛り上がっていきます。

ABDを通しての具体的な学びは以下の通りです。

【組織開発の探究】

●誰が書いたか

中原淳 氏
・立教大学経営学部教授
・「大人の学びを科学する」をテーマに、企業における人材開発・組織開発について研究(wikipediaから引用)

中村和彦 氏
・南山大学人文学部心理人間学科 教授
・トレーニングや組織開発コンサルティングなど、様々な現場における実践に携わるとともに、実践と研究のリンクをめざしたアクションリサーチに取り組む。(慶應丸の内シティキャンパスのサイトから引用)

●どんな意図で書かれているか

「組織開発」とは過去の過ちの繰り返しなので、過去の歴史から学ぼうというもの。本書は、組織開発に関係のあるすべての人に示唆を与える。

①「初心者」には概略の理解のために。
②「実践者」には歴史から組織開発を語れるように。
③「関心の」ある者には、自社におけるアクションのヒントに。

●内容

① 組織開発とは組織をworkさせる意図的な働き

企業であればビジネスの課題を解決する意図がある。
何をしてもいい。流派がどうのこうという決めつけは発展を阻害する。

② 組織開発の歴史は振り子

まず経験と振り返りにより「意識化」するという哲学的思想があり、次いで集団精神療法があってからの独自手法が展開される。
レヴィンの開発したTグループは、グループ内のみで、そこからグループ間の関係に及んでいったものが「組織開発」と言われるようになった。アプローチ方法は多様で、社会的、経済的背景にも影響される。オイルショックによる経済混乱は、企業戦略に柔軟性の思考をもたらし、組織開発にも規範的なベストウェイ思考ではなく、状況依存のコンティンジェンシーのアプローチが流行した。

③ ファシリテーターの力量に依存する

「あれダメ、これダメ」という手法に対して責任が問われ、組織開発は衰退する。実際は手法ではなく、情緒的な刺激と配慮するトレーナーやファシリテーターの力量不足。単に力量だけでなく倫理観も重視される。

④ マネージャーは組織開発の探求者であるべき

組織開発という言葉の協会が不明瞭。理論も手法も実践者の数だけある。
組織開発が「人」に資するか「経営」に資するかなど、どちらかに定めず、対話を通して統合させて合意を作っていく。マインドセットが変わるというのは、壮大なアンインストール。

●示唆

①リフレクション

ジョン・デューイ(1859~1952)は今から100年も前に、こう言っています。

「知が生まれるのは、経験を振り返るとき、リフレクションするときだ」

エビングハウスの忘却曲線では、1時間後に56%忘れ、1か月後には79%忘れる。結局のところ「振り返りをしないと経験が知にならない」ということは100年も前から言われていたんですね。引き続き内省を大事にしていきたいと思います。

②組織開発かくあるべしはない

過去から様々な手法が試され、環境の変化とともに組織開発のアプローチも変化していることが分かった。今も様々な手法が用いられていることから示されるように、完璧な手法は存在しないのだと理解しました。リーダー、メンバー、その構成、さらに外部環境、時代の変化によってもぶれ、常に組織を監視し続け対応していかないと、いつの間にか旧産物となり意味をなさない手法を撮り続けているかもしれない。

●問い

① 「組織開発」は必要なのか?

ABDの対話で、そもそも組織開発ってなんで必要なの?という問いかけがありました。ハッとする問いでしたが、一方で組織開発が不要な組織なんてあるの?という問いから考えてみました。

「組織開発なんていらない」と言うことができる状態って、「働きかけなくても勝手に組織が回っていく状態」ということですよね。そんな組織、あるんでしょうか?最近、言葉がブームになっているホラクラシー組織がそうなのかもしれませんが、それは最初からそいう意図をもって組織体制を築いている、すなわち最初に仕組化とメンバーの選抜をしているだけなのだと思います。

本気で「我が組織に組織開発はいらない」と思っているのであれば、課題に気が付いてないだけなのではないかなと、振り返って思いました。

② 「組織」を「開発」するってなんだ?

OrganizationをDevelopmentするとはいかに。開発というと何か新しいものが出来上がるというイメージが湧きやすいけど、発達、発展、成長という風に訳せば、捉え方が変わるような気がする。組織というのは企業に限らないので、「組織開発」は別に営利目的で利用されるものでもない。何か目的を達するために、組織を前進させるための取り組みということですかね。

●まとめ

何かやろうとするとき、何にでも言えますが、「何のために組織開発するんだっけ?」というその意図を言語化することと、「組織開発ってなんだっけ?」というそもそも的なことを考えさせられました。文字面はなんとなく偉いことやろうとしているように感じて、ちょっと気持ち悪さも感じました。

組織のアウトプットが決まっていて、「さあ、これからどういう組織にしたいか?」という意図をスタートにすれば、組織開発というある種の手法としての一手を意識し固執することなく、ゴールに向かうための概念くらいに留めておくのがいいのかと思います。


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satoru shoji

オリコングループの(株)oricon ME 顧客満足度調査事業本部長。 アクティブ・ブック・ダイアローグ協会認定ファシリテーター。MBA修士。

【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)のやり方

みんなで、楽しく、短時間で、記憶に残る読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)」を実践した記録です。ファシリテートする方向けに参考になればとアップしています。全体的なやり方や進め方(コンテンツ構成、時間配分、フォローアップ)の参考になると嬉しいです!
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