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【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)『「死」とは何か』(5月12日、26日開催)

 5月に主催したABDのレポートです。『「死」とは何か』を2回全く別のグループに分けて、実験してみました。なるべく内容よりも「どのようにやったか」、ABDのやり方を中心に書いていこうと思います!

●今回のスタイル

参加人数:10人(ファシリテーター1名も参加)
合計時間:180分
ページ割:20~30ページ
オープニング:30分
コサマライズ:90分ちょっと
プレゼン:一人2.5分×10人
ギャラリーウォーク:1.5分×5回(ペア)
ダイアログ:15分(小グループ、模造紙使用)
エンディング:5分

この構成の工夫としては、以下の3つ。
①オープニングに時間をかける。
②本の内容理解を強める
③対話を重視

●今回の目的

 本書を1つの材料として、「死」を考える。

●読んだ本

 『「死」とは何か』

●著者

・シェリー・ケーガン
イェール大学教授。
道徳哲学、規範倫理学の専門家として知られ、着任以来、二十数年間開講されている「死」をテーマにした講義は、常に指折りの人気コースとなっている。

 ちなみにいろいろとシェリー先生の写真を探してみたのですが、ほとんどあぐらかいてます…

●内容サマリ

①死とは身体が作動し壊れる、ただそれだけ
 魂などない。人間とはパーソン機能(人格)を果たす身体に過ぎない。

②人生にはちょうどいい量がある
 人は未来に関心があるため、死=剥奪であれば悪い。しかし不死という望ましくない状況から救ってくれる。

③未来の人生の充実度はわからないので自殺は推奨しない
 人生にひどいことが起きたとき、「死なないほうがいい」は論証できないが、未来に回復する可能性を自ら消失させることになる。

●事前準備

①課題への対処
 過去に実施した『サピエンス全史』と『ホモ・デウス』で良くなかった点として、(1)人数多すぎ (2)量が多すぎ という課題感を持ちました。
 この問題の対処法として、(1)人数を減らす (2)全部を読まない ということをしました。 

 ただ、この対処法を採用すると、「本を全て読む」ということができません。そこで今回は「本を読む」のではく、この本を通して「死を考える」ことを目的として、ついで本書をつまんでみようという形にしました。

 なお、最終章の「自殺」については、やれたらやるくらいしました。ここの部分については、参加者が持ち帰り、考えてもらうでもいいのかなと思いました。

②パート分け
 「全部を読まない」ということですが、この本、とても難解…
 なので、1章から3章を事前にファシリテーターがサマリました。
 ページ割は以下のような形です。

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 それから、パート分けの部分と、サマライズのときに統一感を出すため、パートごとにタイトルページ1枚用意しました。(早めに来てくれた参加者に手伝ってもらいました!)

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③オープニングの準備
 さきほど3章までをあらかじめサマったと書きましたが、その意図としては、10人以下という人数に対応し、本書のあらましの共有、本の難易度と著者の論理展開を、それぞれが読み込み始める前に受け入れてもらうことにあります。

 また、「死」について考える時間をたくさん作ろうと思いましたので、僕としては初の模造紙を用意しました。

オープニング

オープニングで実施したのは、スライドによる今回のイベントの紹介、「死」についての事前対話、3章までのサマリプレゼン、本の裁断式。

 本の内容について、読み込む前に押さえておくと、サマリのときの吸収がいいと思います。例えば、本書はこういう本、という1枚。

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 ちなみに日本語訳版の『「死」とは何か』は、原書の前半部分ががっつり割愛されています(半分くらいらしい)。日本語版の1章では、省かれた部分重要なポイントが盛り込まれています。こういったことを知ってもらうと、入り込みやすいかも。

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コサマライズ

 哲学的で難解な内容でもあるので、90分を目安としてサマってもらいました。長い人で30ページを超えるので、90分でも結構厳しい。

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リレープレゼン

 一人最大2.5分を目安に考えました。小難しいことが書かれているため、どうしても長くなります…ただ、10人くらいのプレゼンは集中できます。参加人数はこのくらいが最大なのかもしれません。

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ギャラリーウォーク

 ギャラリーウォークは、認定ファシリテーター講座を受講した際に伝授された(笑)、ペアギャラリーウォークというので実施しました。
 写真を取り忘れたのでテキストで説明します(^_^;)

 ギャラリーウォークは、プレゼン後の内容の理解に役立つのですが、いまひとつまだ吸収率が悪いです。そこでペアを組ませ、サマライズされた紙の前にそれぞれペアを立たせ、話し合ってもらいます。これにより、①スライドを読みこませる ②対話でアウトプットを出すために考えさせる ことができます。

ダイアログ

 オープニング時に「死」について思うことを対話してらい、この後半の対話でギャップが出るかなと思い、15分程度時間を設けました。
 模造紙を使いましたが、これは失敗もありました。対話の記録を残すことと、そこから発展して新たな問いなどが出るといいな、という狙いですが、ちょっと実験をしてみました。

 まず、模造紙にいきなり書き込もうとするには勇気が必要です。思った通り、「模造紙に書き込んで行ってください」と言っただけの日は、②グループとも白紙でした。
 一方で、「中心に「死とは何か」と書いて下さい」と言った日は、結構書き込まれました。
 白紙の模造紙を汚すのは抵抗があるものの、書き込んでしまったら、もう汚すしかないからですかね。

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エンディング

 本の内容が難しいこともあり、もやっとするところもあった今回のABD。結びとしては、シェリー先生の言葉を引用しながら終了しました。
 ・私(シェリー先生)の主張を押し付けるものではない
 ・むしろ本書を「死」について考えるキッカケにしてほしい

リフレクション

 ABD終了後は、いつもの通りPDF化し、参加者に共有。今回は、別々のグループで2回実施したので、それぞれのサマリを共有しました。
 また、縮約された部分が文響社のサイトで公開されているので、そちらの案内もメッセンジャーグループに配信しました。

■『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義』の縮約した部分を無料公開 
https://bunkyosha.com/books/9784866510774/article/1

以上でレポートを終了します。


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satoru shoji

オリコングループの(株)oricon ME 顧客満足度調査事業本部長。 アクティブ・ブック・ダイアローグ協会認定ファシリテーター。MBA修士。

【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)のやり方

みんなで、楽しく、短時間で、記憶に残る読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)」を実践した記録です。ファシリテートする方向けに参考になればとアップしています。全体的なやり方や進め方(コンテンツ構成、時間配分、フォローアップ)の参考になると嬉しいです!
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